異国の王子と結ばれるならどんな爵位でも構いません~家出王子との二十日間

二廻歩

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求め合う者

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シャワーを浴び匂いを纏ってから部屋へ。
王子をお泊めするのはとても神経を使う。
家の者には絶対王子だと気づかれていけませんからね。
お婆様はどうにかごまかせた。
お母様は夜は起きて来ない。
さっきみたいにいきなりお姉様が訪ねて来られでもしなければ問題ないはず。
家出中の王子を預かるのだから屋敷の中とは言え警戒は怠らない。
問題はメイドたち。いきなりやって来ることはないが目撃される可能性も。
先に口止めをしておくべきでしょうか?
うーん。でも正直に話せない。お婆様に知られでもしたら厄介。

おっと忘れるところだった。
間もなく一時間。そろそろ起こしてあげますか。
我がまま王子のお世話は何かと苦労が絶えない。

ふふふ…… 気持ちよさそうに寝てるんだから。
情けない我がまま王子を優しく揺する。
「ううん…… まだ眠いよ」
「王子様。王子様。起きてください! 」
「駄目だって眠いんだ…… 」
まったく起きるつもりがない。寝ぼけたままの王子。
本当に世話の焼ける方。

「王子。もう困った子。仕方ないんだから」
「うん? クレーラ? 重いぞ! それに何だか苦しい」
「我慢してください。こっちだって恥ずかしいんですから」
「おい。それ以上はよせ。もう取り返しがつかないことに…… 」
どうやら王子も私を求めていたらしい。でも本当に応えられる? 自信がない。
未だに目を開けようとせず甘えてばかりの王子。

「しっかり見開いて現実を受け止めてください! 
それがあなた様が見る絶望なのですから」
「クレーラ。私は恐らく君のことが…… 」
駄目らしい。王子との生活も二日目。
つい我慢しきれなくてこんな事態を引き起こす。

でもどうしても求める者と求める者が合えば過ちは起こるもの。
これは必然。避けられないこと。
私がどうすることもできないように恐らく王子だってどうすることもできない。
もう感情のままにただ身を任せるしかない。
たとえそれがどんな結果を招こうが関係ない。
でも王子は本気なのでしょうか?
 
せめて同じ人間であれば祝福もされるでしょうが。
でも私が言うのもなんですが違う。
あまりにも住む世界が違い過ぎる。二人。いやもう人間ではない。ここは二匹と。
しかしそれではあまりに王子に悪い気がします。
しかもこれはある意味私が仕掛けたこと。
神に誓ってもいい。これはすべて私が悪い。二匹に責任はないのです。

「ほら王子。しっかりと目を開けて現実を見るのです!
あなたが拒否しても私は続けるでしょう。だから早く。怖がらずに」
「分かった。君を見ようと思うクレーラ。でもなぜかな。君がすごく遠くに感じる」
「王子酷い! こんなにもお慕いているのに。ふふふ…… 」
「何を笑っている? それに何だか臭い。体を洗ったのではないのか? 」
「それもすべてその目で確かめください。ほら目を開けて」
ようやく王子は目を見開いた。
これで過ちは回避されたでしょうか?

アアン!
「もうダメだってパンキー! 大人しく寝てなさいと言ったでしょう? 」
「あれ…… クレーラじゃない」
「ふふふ…… 今頃気づいたんですか? ちょっと王子をからかってみたんです。
どうです? 少しは疲れも取れましたか? 」
王子をからかうのがこれほど楽しいとは思わなかった。

「勘違いされては困ります王子。あなたはお父様を追放した憎むべき存在。
だからどんなことがあってもそれは変わりません。
残念ですが王子の気持ちには応えられません」
パンキーを使って王子を揺さぶってみた。
もし王子が私への強い思いを隠せず己を失ってたらあるいはあり得たかもしれない。
ですが王子は真相を知るといつもの冷静な王子に戻られた。それでは応えられない。
「それくらい理解してる。だが爵位の回復をすればもうその感情も消えるはず。
その時に君がどうするか楽しみにしてるさ」
「はいはい。その時が来ることを楽しみに待っております」
こうしてつまらない余興を終える。

「そろそろ行くとしようか? 」
切り替えの早い王子。
もう少し浸れていたらなと思わなくもない。
「そうだ王子。一時間経ったら起こせって言ってましたね」
「お前も付き合え。どうせこうして私と一緒に居たいのだろう? 」
再びの勘違い王子。誰がそんなことを求めてるんですか?

王子をお父様の部屋までご案内する。

               続く
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