異国の王子と結ばれるならどんな爵位でも構いません~家出王子との二十日間

二廻歩

文字の大きさ
81 / 101

あの日何が起きたのか?

しおりを挟む
馬車で王宮方面に。
「ではそろそろ参りましょうか」
「そうだな」
こうして昼間に移動を繰り返し夜遅くに王宮のある都を超え隣町へ。

前回と同じでは縁起が悪く危険もはらむので逆隣りの町を拠点にする。
さすがに前回と同じ町には留まれないだろうとピエール先生の判断から。
まさか気付かれてないでしょうがここは慎重にも慎重に。
疑われても怪しまれてもいけない。
今のところ異常なし。裏切り者もなし。
ただ気になることが一つだけ。
我々は一体誰と戦ってるの? 
見えない敵を相手にするほど難しいことはありません。

隣町・パリリントン。
早朝襲撃のためには王宮のある都が最適。
ただ前回同様警備の目が光ってるのでここが限界。
日が昇る前に行動開始しなくては。

コンコン
コンコン
「はーい。どうしたんです王子? 」
夜だと言うのに非常識な王子だから。美容と健康に悪いでしょう?
「済まない。ちょっと来てくれないか? 」
「何です王子? 眠れないんですか? 分かりました。添い寝してあげますね」
今王子はマッギと一緒。
マッギを追い出して王子と二人きりにならないと添い寝は難しい。
「いや違う…… そんなことは一度も頼んだことがない! 」
そんな真剣な目で否定されても困るんですけど。
だってプレゼーヌとしてならある訳で。あれ? 王子でもあったような……
決死の戦いを前に興奮して眠れないのは分かりますが。

「とにかくこっちに来てくれないか」
そう言って無理やり連れ出す王子。強引な方。
「はいはい。王子の魂胆は見え見えですよ。さあ愛を語り合いましょう」
あれ王子とはどこまで行ったんだっけ? よく覚えてないや。まああいいか。
「ほら早く入るんだ! 」
何だか様子がおかしい。まるで隠しごとをしている子供のよう。

なぜか部屋にはお父様の姿が。どう言うこと?
「こらクレーラ。王子に迫るのでない! みっともないぞ」
お父様からありがたいお言葉を頂く。
もうダメ。恥ずかしくて耐えられずに俯いてしまう。もう顔を上げられない。
「いえ…… これは違うんです」
「どう違うと言うんだクレーラ? 」
王子とのおふざけを他人にしかもお父様に見られるなんてどれだけ恥ずかしいか。
もういい加減からかうのはよそうかな…… 一日ぐらいは。

「まあいい。実は王子には私の方から頼んでもらったんだ」
「もうお父様! いちいち誤解を抱くようなことしないでください! 」
いつもいつもそう。こっちはずっと迷惑かけられっぱなし。
辛い思いも苦い思いも寂しい思いもついでに恥ずかしい思いも。
「まあまあそれくらいで勘弁してくれ。王子に迫ったことは黙っててやるから」
「もうお父様嫌い! 」
「ほらほらクレーラ。そんなことより冷えただろう? 」
そう言うと温かいホットチョコを淹れてくれた。
それくらいでは誤魔化されませんよ。

「どうだ美味いだろ? 」
下品にも飲みながら頷く。一応はお嬢様なんですけどね。
「そうかそうか昔よく作ってやったな。あれはお前が随分小さい頃だったな…… 」
昔話。長くなるから困るんですが。付き合うしかないのかな?
まるで国王様みたい。そう言えば今国王様はどうされてるのでしょう?
無事だといいのですが。そうでないと救出奪還作戦が意味をなさなくなってしまう。
つい余計なことを考えてしまう。でも王子が大丈夫だって言ってたし……

「それくらいで」
王子が先に進むように促す。
「実は二人に話しておきたいことがあるんだ。聞いてくれるかな? 」
「どう言うこと? 」
「あの日のことを話そうと思うんだ」
いきなりあの日のことと言われましても思い当たるのは爵位を失った…… 

「クレーラには悪いがこの男をいまいち信用してない」
王子はそう言いますが本人目の前ですよ。一応私のお父様なんですけどね。
「王子様。それはあまりに心外です。
あの時私が下手を打ったことで反乱の兆候を読み取ったのですから。
そして私を追放なさった。その恨み今でも…… 」
「話が逸れてるぞ。私が知ってるのはお前が仲間と結託し陥れようとしたことのみ。
一体そこまでに何があったんだ? 」
王子の追及にお父様は黙ってしまった。

「どうした? すべて話すと言うから時間を取ったのだぞ」
王子もお父様も当時の関係に戻ってるかのよう。
「言い過ぎですよ王子」
「しかしクレーラ…… 」

「あれは前日の夕刻。話があると誘われるまま。話を聞けば謀反の勧め。
陰謀うごめく宮廷内とは言え堂々と陰謀を巡らせる者たち。
私は話を聞き笑い流した。しかし皆笑み一つ見せなかった。
これは本気だなと。もう後戻りできない。
お前は仲間だ。陰謀を企てる謀反人だと無理やり従わされてしまう」
そこで一旦話を切る。

あれ? 何だか様子がおかしい。お父様は笑っているし王子は震えてるし。
私はと言うと難しい話とホットチョコで眠くて堪らない。
このまま永遠に眠ってしまいそう。

                  続く
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

「最高の縁談なのでしょう?なら、かわってあげたら喜んでくれますよね!」

みっちぇる。
恋愛
侯爵令嬢のリコリスは20歳。立派な嫁きおくれである。 というのも、義母がなかなかデビューさせてくれないのだ。 なにか意図を感じつつも、周りは義母の味方ばかり。 そん中、急にデビュタントの許可と婚約を告げられる。 何か裏がある―― 相手の家がどういうものかを知り、何とかしようとするリコリス。 でも、非力なリコリスには何も手段がない。 しかし、そんな彼女にも救いの手が……?

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました

由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。 尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。 けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。 そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。 再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。 一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。 “尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。 静かに離婚しただけなのに、 なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。

【完結】冷遇され続けた私、悪魔公爵と結婚して社交界の花形になりました~妹と継母の陰謀は全てお見通しです~

深山きらら
恋愛
名門貴族フォンティーヌ家の長女エリアナは、継母と美しい義妹リリアーナに虐げられ、自分の価値を見失っていた。ある日、「悪魔公爵」と恐れられるアレクシス・ヴァルモントとの縁談が持ち込まれる。厄介者を押し付けたい家族の思惑により、エリアナは北の城へ嫁ぐことに。 灰色だった薔薇が、愛によって真紅に咲く物語。

白い結婚で結構ですわ。殿下より、私の自由のほうが大事ですので

鍛高譚
恋愛
「第二王子との婚約? でも殿下には平民の恋人がいるらしいんですけど? ――なら、私たち“白い結婚”で結構ですわ。お好きになさってくださいな、殿下」 自由気ままに読書とお茶を楽しむのがモットーの侯爵令嬢・ルージュ。 ある日、突然“第二王子リオネルとの政略結婚”を押しつけられてしまう。 ところが当の殿下は平民の恋人に夢中で、 「形式上の夫婦だから干渉しないでほしい」などと言い出す始末。 むしろ好都合とばかりに、ルージュは優雅な“独身気分”を満喫するはずが…… いつしか、リナという愛人と妙に仲良くなり、 彼女を巡る宮廷スキャンダルに巻き込まれ、 しまいには婚約が白紙になってしまって――!? けれどこれは、ルージュが本当の幸せを掴む始まりにすぎなかった。 自分を心から大切にしてくれる“新しい旦那様”候補が現れて、 さあ、思い切り自由に愛されましょう! ……そして、かの王子様の結末は“ざまぁ”なのか“自業自得”なのか? 自由気ままな侯爵令嬢が切り開く、 “白い結婚破談”からの痛快ざまぁ&本当の恋愛譚、はじまります。

処理中です...