123 / 125
最終回(前編) ご主人様の帰還
その頃お屋敷では……
謁見の間にて執事がご主人様の代理で指示を送っている。
現在脱走者の行方を捜索中。
「おい! まだ見つからんのか? 」
「はい、全力で捜索に当たっておりますがまったく…… 」
「馬鹿を申せ! あの裏切者共がどこに消えたと言うのだ? 」
「いえ、ご主人様ですから…… 」
「ほう忠誠を誓って見せるか? それも良い。だがもうあの女は居ない。
居ない者に義理立てする必要はまったくない。違うか? 」
非情な執事はもうご主人様を存在しないものとして扱っている。
「まあ良い。それでどこで姿を消した? 」
「それがボロ様の家に現れたそうです。それ以降はどこへ行ったのか皆目見当が。
恐らく南下し港へ向かったと思われますがそれ以降はまったく。どこへ行ったやら」
「良い。引き続き任に当たれ。報告は怠るなよ! 」
旦那様失踪に始まりセピユロス収監及び脱走、ご主人様逃亡と屋敷内は混乱状態。
その間執事が指揮を執り人々をまとめ上げていた。
その上で次期当主選び。新たなご主人様を画策。それがヴィーナ。
一時的に混乱していたものの国王様の後ろ盾もありヴィーナがご主人様に。
こうして屋敷の混乱はどうにか収まったが……
ヴィーナの部屋。
「申し訳ありません。お探しになられていたディーテ様とセピユロス様ですが……
残念ながら遺体で見つかりました。どうやら逃亡生活に疲れ果て身を投げたかと。
何と述べたらいいか言葉もありません。引き続き情報収集に努めてまいります」
執事は何の躊躇いもなく嘘を吐き存在を消す。
「そうですか…… 」
「それで今日はご主人様にご紹介したい者がおります。よし入って参れ! 」
執事の号令により一人のメイドが部屋へ。
「失礼します。今日からご主人様の身の回りの世話を致しますマーガラです」
眼鏡を掛けた俯きがちのメイド。
「このマーガラはお隣のロック村出身で元々はブラックウッド家のメイド。
ご相談の際は自分かこのマーガラに」
「ありがとう。マーガラもご苦労様」
「それで例の件なんですが…… 」
「まだ何とも。その話はもう少し時間を要します」
「ですからそう言う時のマーガラです。お役に立つと思いますよ」
「分かりました。では取り敢えずキャロルを呼んできてくれませんか」
「ははあ! 仰せのままに! 」
ヴィーナを一人残し執事は部屋を離れる。
「まったく慎重な女だ。ようやく念願が叶うと言うのにまったく…… 」
「あらご機嫌斜めね執事さん」
「これはマーガレット…… 」
「ここではマーガラですよ」
ボノを虜にした魔性の女マーガレット。
「それでどうしましょう? 」
「私に聞かないで! この格好も楽じゃないのよ。
全権を掌握できるって言うから任せたのに。無能なんだから」
「申し訳ありません。ですが鉱山がどこか知らされてないようで難航してます。
娘には知らせてるものとばかり思ったが甘かった」
「言い訳は良いの! ブラックウッド様がお越しになるまでに必ず突き止めるの。
こんな田舎には鉱山以外大した価値はないんだから。
あなたが優秀だから協力を求めたのよ。
これ以上手こずるならあの女を始末するしかないわね」
「それだけは…… 」
「あなたたちを裏切り若い男に走った女。その娘に義理立てする訳?
いいのよ。あなたが裏切者だって息子さんに教えてあげても」
絶世の美女のマーガレットは心が醜い。
「それだけは…… 」
「まったく煮え切らない人ね。まあいいわ。明日までに探し出すのよ。
知ってそうな者を片っ端から絞めあげて場所を突き止めるの!
それでも無理なら明日の日没までに自分の足で探し出しなさい!
絶対領内のどこかには存在するんですからね。
そうだ。面倒臭いからこのお屋敷もエイドリアスみたいに燃やしましょうか?
そうすれば捜索も楽になるでしょう」
脅しをかけプレッシャーを与え続けるマーガレット。
執事は震えるばかり。
「ではごきげんよう」
「お待ちください! マーガレット様! 」
きゃああ!
その時だった。お屋敷中に異常を知らせるメイドたちの絶叫。
それは恐怖や絶望ではなく喜びと感動の声の集合体。
「ちょっと何ですかこの騒ぎは? 」
たまらずに騒ぎのする方へ。
「ああマーガラ! ご主人様が! ご主人様が! 帰って来た! 」
大喜びのキャロル。
「はあ? どう言うこと? 」
執事もその騒ぎを嗅ぎつけ様子を見る。
「どうなさいましたか? 」
ヴィーナも駆けつける。
こうして屋敷は一時大混乱となった。
「はいそこの二人動かないでね」
「無礼者! 我が屋敷に土足で上がりこむ不届き者よ! 」
執事は怒り狂う。
「あら元気ですね。ご主人様が戻ってきては迷惑だったかしら? 」
混乱の中で姿を見せたご主人様。
「まさか…… ご主人様? 」
行方不明となっていたご主人様の姿がなぜか屋敷にある。
「どど…… どう言うことですか? 」
頭が追い付かずにパニック状態の執事。
「ご主人様? 」
「いやあああ! 」
「どれだけ心配したか。ご主人様! 」
ご主人様帰還に屋敷の者は安堵の表情を浮かべるかご主人様と絶叫し続けるか。
失神して倒れてしまう者まで。涙を流す者多数。
その中にヴィーナの姿が。
「お母様! お戻りになられたのですね? 」
いつもの生意気なヴィーナはそこには存在しなった。
ご主人様の跡を継ぎ立派になったヴィーナの姿があった。
最終回(後編)に続く
謁見の間にて執事がご主人様の代理で指示を送っている。
現在脱走者の行方を捜索中。
「おい! まだ見つからんのか? 」
「はい、全力で捜索に当たっておりますがまったく…… 」
「馬鹿を申せ! あの裏切者共がどこに消えたと言うのだ? 」
「いえ、ご主人様ですから…… 」
「ほう忠誠を誓って見せるか? それも良い。だがもうあの女は居ない。
居ない者に義理立てする必要はまったくない。違うか? 」
非情な執事はもうご主人様を存在しないものとして扱っている。
「まあ良い。それでどこで姿を消した? 」
「それがボロ様の家に現れたそうです。それ以降はどこへ行ったのか皆目見当が。
恐らく南下し港へ向かったと思われますがそれ以降はまったく。どこへ行ったやら」
「良い。引き続き任に当たれ。報告は怠るなよ! 」
旦那様失踪に始まりセピユロス収監及び脱走、ご主人様逃亡と屋敷内は混乱状態。
その間執事が指揮を執り人々をまとめ上げていた。
その上で次期当主選び。新たなご主人様を画策。それがヴィーナ。
一時的に混乱していたものの国王様の後ろ盾もありヴィーナがご主人様に。
こうして屋敷の混乱はどうにか収まったが……
ヴィーナの部屋。
「申し訳ありません。お探しになられていたディーテ様とセピユロス様ですが……
残念ながら遺体で見つかりました。どうやら逃亡生活に疲れ果て身を投げたかと。
何と述べたらいいか言葉もありません。引き続き情報収集に努めてまいります」
執事は何の躊躇いもなく嘘を吐き存在を消す。
「そうですか…… 」
「それで今日はご主人様にご紹介したい者がおります。よし入って参れ! 」
執事の号令により一人のメイドが部屋へ。
「失礼します。今日からご主人様の身の回りの世話を致しますマーガラです」
眼鏡を掛けた俯きがちのメイド。
「このマーガラはお隣のロック村出身で元々はブラックウッド家のメイド。
ご相談の際は自分かこのマーガラに」
「ありがとう。マーガラもご苦労様」
「それで例の件なんですが…… 」
「まだ何とも。その話はもう少し時間を要します」
「ですからそう言う時のマーガラです。お役に立つと思いますよ」
「分かりました。では取り敢えずキャロルを呼んできてくれませんか」
「ははあ! 仰せのままに! 」
ヴィーナを一人残し執事は部屋を離れる。
「まったく慎重な女だ。ようやく念願が叶うと言うのにまったく…… 」
「あらご機嫌斜めね執事さん」
「これはマーガレット…… 」
「ここではマーガラですよ」
ボノを虜にした魔性の女マーガレット。
「それでどうしましょう? 」
「私に聞かないで! この格好も楽じゃないのよ。
全権を掌握できるって言うから任せたのに。無能なんだから」
「申し訳ありません。ですが鉱山がどこか知らされてないようで難航してます。
娘には知らせてるものとばかり思ったが甘かった」
「言い訳は良いの! ブラックウッド様がお越しになるまでに必ず突き止めるの。
こんな田舎には鉱山以外大した価値はないんだから。
あなたが優秀だから協力を求めたのよ。
これ以上手こずるならあの女を始末するしかないわね」
「それだけは…… 」
「あなたたちを裏切り若い男に走った女。その娘に義理立てする訳?
いいのよ。あなたが裏切者だって息子さんに教えてあげても」
絶世の美女のマーガレットは心が醜い。
「それだけは…… 」
「まったく煮え切らない人ね。まあいいわ。明日までに探し出すのよ。
知ってそうな者を片っ端から絞めあげて場所を突き止めるの!
それでも無理なら明日の日没までに自分の足で探し出しなさい!
絶対領内のどこかには存在するんですからね。
そうだ。面倒臭いからこのお屋敷もエイドリアスみたいに燃やしましょうか?
そうすれば捜索も楽になるでしょう」
脅しをかけプレッシャーを与え続けるマーガレット。
執事は震えるばかり。
「ではごきげんよう」
「お待ちください! マーガレット様! 」
きゃああ!
その時だった。お屋敷中に異常を知らせるメイドたちの絶叫。
それは恐怖や絶望ではなく喜びと感動の声の集合体。
「ちょっと何ですかこの騒ぎは? 」
たまらずに騒ぎのする方へ。
「ああマーガラ! ご主人様が! ご主人様が! 帰って来た! 」
大喜びのキャロル。
「はあ? どう言うこと? 」
執事もその騒ぎを嗅ぎつけ様子を見る。
「どうなさいましたか? 」
ヴィーナも駆けつける。
こうして屋敷は一時大混乱となった。
「はいそこの二人動かないでね」
「無礼者! 我が屋敷に土足で上がりこむ不届き者よ! 」
執事は怒り狂う。
「あら元気ですね。ご主人様が戻ってきては迷惑だったかしら? 」
混乱の中で姿を見せたご主人様。
「まさか…… ご主人様? 」
行方不明となっていたご主人様の姿がなぜか屋敷にある。
「どど…… どう言うことですか? 」
頭が追い付かずにパニック状態の執事。
「ご主人様? 」
「いやあああ! 」
「どれだけ心配したか。ご主人様! 」
ご主人様帰還に屋敷の者は安堵の表情を浮かべるかご主人様と絶叫し続けるか。
失神して倒れてしまう者まで。涙を流す者多数。
その中にヴィーナの姿が。
「お母様! お戻りになられたのですね? 」
いつもの生意気なヴィーナはそこには存在しなった。
ご主人様の跡を継ぎ立派になったヴィーナの姿があった。
最終回(後編)に続く
あなたにおすすめの小説
兄妹じゃないとわかったのでお兄様と結婚したら、全部仕込みでした
こじまき
恋愛
【20260401読みやすいように話を分割しました】
伯爵令嬢ヘイゼルは、兄アリステアに恋をしている。叶わないと知りながら、それでも諦めきれなかった。
しかし子ども時代の「取り違え」が発覚し、子爵令嬢ロレッタとして“正しい場所”で生き直すことに。
そして妹ではなくなった彼女に、アリステアは求婚する。
運命のねじれは正されて、望んだとおりに最愛の人と結ばれた――
けれど――その「正しい運命」は、兄アリステアによって用意されたものだった――
※「小説家になろう」にも投稿しています。
【完結】遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
【残り数話を持ちまして3月29日完結!!】
夫にも子どもにも、私は選ばれなかった。
長年の裏切りを抱え、離縁状を置いて家を出た――。
待っていたのは、凍てつく絶望。
けれど同時に、それは残酷な運命の扉が開く瞬間でもあった。
「夫は愛人と生きればいい。
今さら縋られても、裏切ったあなたを許す力など残っていない」
それでも私は誓う――
「子どもたちの心だけは、必ず取り戻す」
歪で、完全な幸福――それとも、破滅。
“石”に翻弄された者たちの、狂おしい物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
行き遅れ令嬢の再婚相手は、ダンディな騎士団長 ~息子イケメンの禁断の守護愛~
柴田はつみ
恋愛
貧乏貴族の行き遅れ令嬢リアナは、28歳で社交を苦手とする大人しい性格ゆえに、結婚を諦めかけていた。
そんな彼女に王宮から政略結婚の命令が下る。再婚相手は、妻を亡くしたダンディな騎士団長ギルバート。
クールで頼れる40代のイケメンだが、リアナは「便利な道具として選ばれただけ」と誤解し、切ない想いを抱く。
さらに、ギルバートの息子で爽やかイケメンのエリオット(21歳)が義理の息子となる。
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
異世界から来た華と守護する者
桜
恋愛
空襲から逃げ惑い、気がつくと屍の山がみえる荒れた荒野だった。
魔力の暴走を利用して戦地にいた美丈夫との出会いで人生変わりました。
ps:異世界の穴シリーズです。
『お前の針仕事など誰でもできる』——なら社交界のドレスの裏地を、めくってごらんなさい
歩人
ファンタジー
「地味な針仕事しかできない令嬢は要らない」——公爵家の嫡男にそう言い渡された伯爵令嬢ティナは、
裁縫道具だけを持って屋敷を出た。その翌週、社交界が凍りつく。王妃の夜会服も、公爵令嬢の舞踏会
ドレスも、第一王女の外交用ローブも——仕立てた職人が消えたのだ。しかもティナが十年かけて縫った
全てのドレスの裏地には、二重縫いで隠された署名が残されていて——。
辺境の小さな仕立て屋で穏やかに暮らすティナの元に、王都から使者がやってくる。