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戻された時間

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意識が戻る。

ここはどこだ? まさか伝説の都市ドコダシティー?

いや違う。ここは確か……


怒鳴り声が響いた。

「イシコロ村の奴は時間を守ることさえできないのか! 」

あれ…… なぜかお城に戻っている。

どういうこと? とにかく行くしかないか。

「遅くなりました! 」

「ようやく来たか百番目の勇者よ! 」

「主人公は遅れてやってくるものさ」

どっかで言ったセリフだなあ…… デジャブって奴か。

「よしついて来い! 」

なぜか出発地点に戻された。

前回と同じ道のりを辿る。

この後はたぶん謁見だろうか。


その頃魔王城では。

「魔王様準備が整いました。ご命令を」

「ふふふ…… サーマ姫は俺様の物だ」

「どうやら馬車ではなく歩きのようです。何を考えてるのかまったく…… 」

「良いか。奴らの邪魔をし隙を見てサーマ姫をかっさらうのだ。分かったな? 」

「ういいい! 」

「よしサーマ姫を捕えた奴には特別にボーナスをやろう! 」

「ういいいっす! 」

「ふふふ…… まさか徒歩とは馬鹿な奴らだ」

「侮れませんよ魔王様。馬車では危険と判断し徒歩を選ぶなど」

「気にするな。しかし百人も護衛を着けるとはな。

ますますやる気が出ると言うものだ。まあ確かに侮れないがな」

「魔王様? 」

「いいかお前ら。橋を渡る時が入れ替わる絶好のチャンスだ。

多く入れ替わればそれだけ有利だ。王子の元に着けばもう二度と手が出せなくなる。

失敗は許されないぞ。分かったな? 」

「ういいいい! 」


翌朝。

「出発! 」

サーマ姫は百人の護衛を着け王子の元へ向かう。

かつてないハードな長旅となるだろう。


一行は橋に差し掛かった。

うわああ!

魔王の手下の細工でもろく崩れ落ちる橋。

「サーマ姫! 」

前回と同じ展開。

必死にサーマ姫をお守りする。

崩落に巻き込まれた護衛たちは川底へ。自分と数人の者が難を逃れた。

「ういいい! 」

まるで酔っぱらいのような奴が陸に上がってきた。

何者? 明らかに怪しいのが数名。変な口癖の奴が混ざる。

一行は再び歩き始めた。


村には昼前に到着。

歓迎を受ける。

アイネ村へようこそ。

サーマ姫は村人からの絶大な人気がある。

戦場では戦士たちを癒す歌姫として活躍された。

「ではお返しに」

サーマ姫は歌い上げる。

その声に聞き惚れる村人たち。

ウエスティンに後を任せ持ち場を離れる。


「爺! 爺! 」

いくら探しても爺の姿が無い。仕方なくリザを頼ることに。

「アプラッチ! 」

リザを作動させる。

「爺はどこにいる? 」

「お答えできません」

「では神様を感じられるか? 」

「はい近くで感じられます」

「ありがとう」


群衆がサーマ姫に歓喜する。

「ブラボー! 」

「アモ―レ! 」

「誰だい? 訳の分からない言葉で騒いでるのは? 」

「あんたんとこのサンペイだろ」

「おい爺さん! 叱ってやってよ! 」

「儂は神なんじゃが…… 」

「はああ? 」

「ああ、居た! 居た! 」

「何じゃ気付いたか」

「神様お願いです。ルーレットを! 」

「良かろう。では回すがよい」

ルーレットを勢いよく回す。

逆回りって変なの。

ルーレットは一を通過し八で止まった。

またかよ。

「惜しい! だがこれも運命。受け入れるがよい! 」

そう言うと神は群衆に紛れ姿を消す。

再び即死モード。


宴を終えて部屋に通される。

「いいかお前ら! よく聞くがよい」

へらへら
へらへら

「こら酒を飲むでない! まだお勤めは終わっていないのだぞ」

「うるせえ! もう夜だ。俺らはなあ…… へへへ…… 」

飲んだくれの爺よろしくぶっ倒れる。もちろんまだガキだが。

「フフフ…… いいだろうお前はここまでにしてやる」

追放官の逆鱗に触れ捕えられる。

「いいかお前ら! 役立たずはここでオサラバだ。いいな? 」

「ヘイ」

「返事が小さい! 」

「ヘイ! 分かりました! 」

追放官の命令は絶対。仮に酔おうが体調が悪かろうが関係ない。

「ではお前らで役立たずを決めてくれ」

追放官と目が合う。

「よしお前に任せる。あと二人を決めろ」

前回とは少し違う。

前回五人だった追放者が三人に減らされている。

これも神のなせる業?


「おいお前だよ! 聞いてるのか? 」

「俺? 決めるの? 」

皆の視線が注がれる。

ラッキー。俺が決める方に回れば追放されることはない。

たとえ即死モードであろうと問題ない。

いやでも柄じゃないんだけどな……

照れて見せる。

「よしではまず自己紹介から…… 」

余裕をこく。そうすると隙が生まれる。

果たして生き残るであろうか?

それとも再び追放の憂き目に遭うのか?

                 続く
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