66 / 115
ヘルマー予想
しおりを挟む
お助けキャラ・大統領と別れ目的地へ。
「ねえこれからどうする? 」
サーマはもう疲れたと駄々をこねる。
さっきまで座ってただけなのに。
「ではウエスティンに抱きかかえてもらえばよかろう」
爺がとんでもないことを抜かす。
「ははは…… いや僕なら構わないけど」
「それは無理だ。その荷物でサーマは抱えられない。
俺のように鋼の鎧があれば別だが無理をするなウエスティン」
心配する振りしてどうにか止める。さすがに見過ごせないよな。
サーマが多少男に目が行こうが言い寄られようが気にしない。と言うか見ない振り。
だがいくら同郷で友で仲間だとしてもウエスティンには任せられない。
これは譲れない。サーマは俺の姫だ。
「ならばアモ―クス。お主が代わってやれ」
無茶苦茶言うな。俺だって…… とりあえず聞くか。
「どうするサーマ? 」
「大丈夫。もう歩ける」
あっさり拒否。ちょっと期待したがこんなものさ。
俺はウエスティンや他の奴に触られたくないだけ。
邪な考えがある訳ではない。
だからこれはこれで仕方がない。
最悪の事態は避けられたのだからよしとしよう。
「仕方ないのう。儂が背負ってやるとするか」
まだ枯れてなかったのか爺?
「師匠。何もそこまでしなくても…… 」
「あのどうしました? 」
見かねた親切な地元の方に車で送ってもらうことに。
「変なメガネの住む家まで」
行き先を伝える。
「師匠。あまりに失礼ですよ」
「そうか。では数学者で変わり者の家まで一っ跳び」
「はあ…… 心当たりの者が一人。分かりましたお送りしましょう」
カーブの続く山道を抜けると集落が見えて来た。
「ああ、あそこが我が家です」
どうでも良い情報を垂れ流す。
「寄って行きますか? 」
せっかくなので遠慮する。
「ここからちょっと揺れますよ」
近道だと小川を突っ切る。何と大胆で激しいのか。
「ここです。ここがたぶんそうかと」
親切な地元の協力を得てついに目的地へ。
長かった辛かったでも……
おえええ!
ウエスティンが吐く。
続けて元神も豪快に。
車で吐かなかったのがせめてもの救い。
恩を仇で返すことにならずに済んだ。
ふうふう
ふうふう
俺が師匠の世話を。
サーマがウエスティンの背中をさする。
納得いかないがこれも旅だ。
落ち着いたところでベルを鳴らす。
だが反応がない。
「あれ…… いないみたいですね」
間を開けずに爺が鳴らす。
だがやはり返事がない。
「ふん。これしきのことで」
迷惑なことに押し続ける非常識な爺。
「ちょっと止めなさいよ! 」
「ふん。こ奴の魂胆は見えておるわ」
ただの近所迷惑の爺になってしまった。
「うるさい! 」
ついに家主登場。
「おう久しぶりだな」
「あんたはいつかの迷惑爺さん」
男は開けたことを後悔している様子。
「またかよ」
まだ若そうだが。どうやら本当に数学の研究者らしい。
「師匠。この方は? 」
「うむ。哀れな子羊だ」
「くそまた俺を馬鹿にしやがったな! 」
「ふふふ…… 負け犬であったかな」
かなり迷惑そうでしかも忙しそうな男。
とりあえずお邪魔することに。
茶を出されるが歓迎されてない様子。
「あの…… 実は…… 」
サーマが切り出す。
「分かってるよ。どうせ冷やかしだろ。俺が失敗するところを見に来たんだろ。
まったくどうしていつも大事な時期に邪魔をするんだこの爺さんは」
本当に忙しいらしい。
とにかく話を聞く。
「俺は一応この辺で名の知られた科学者。まあ数学者だな」
「算数じゃったかな? 」
「専門は数学だ! 」
「おおそうじゃった。そうじゃった」
爺は悪びれる様子もなく寛ぐ。
「今月までに世紀の難問を解き明かしつもりだったのにな。
またあんたが来たのでやる気を失くしたよ」
人のせいにする困った数学者。
どうやら相当な恨みがあるようだ。
当時の話を詳しく聞く。
「それで何をしたんですかこのお爺さんは? 」
やはり聞き役はサーマ。
「ははは! 何ってこの爺さんは俺がせっかく解き明かそうとした難問を邪魔した」
「はあ…… 具体的には? 」
「こ奴は自分の失敗を棚に上げてるだけの負け犬じゃ」
手厳しい爺。
「何だと! 」
熱くなる数学者。
「はいはい。それで難問って何? 」
「ヘルマー予想さ」
「そんなんだったかの? 」
すっかり忘れている爺さん。
「ヘルマー予想とは…… 」
ダメだ。頭が痛くなりそうだ。
数学の難問。算数さえまともにできないのに俺では太刀打ちできない。
ちょっとトイレに。
ピタゴラスがどうとか。二等辺三角形がどうとか。
二乗が三乗がn乗がどうとか。聞こえてくる呪文。
その時トイレで例のモノを発見する。
「師匠! ありましたよ! 」
ついにルーレットを発見。
これでクリアか?
続く
「ねえこれからどうする? 」
サーマはもう疲れたと駄々をこねる。
さっきまで座ってただけなのに。
「ではウエスティンに抱きかかえてもらえばよかろう」
爺がとんでもないことを抜かす。
「ははは…… いや僕なら構わないけど」
「それは無理だ。その荷物でサーマは抱えられない。
俺のように鋼の鎧があれば別だが無理をするなウエスティン」
心配する振りしてどうにか止める。さすがに見過ごせないよな。
サーマが多少男に目が行こうが言い寄られようが気にしない。と言うか見ない振り。
だがいくら同郷で友で仲間だとしてもウエスティンには任せられない。
これは譲れない。サーマは俺の姫だ。
「ならばアモ―クス。お主が代わってやれ」
無茶苦茶言うな。俺だって…… とりあえず聞くか。
「どうするサーマ? 」
「大丈夫。もう歩ける」
あっさり拒否。ちょっと期待したがこんなものさ。
俺はウエスティンや他の奴に触られたくないだけ。
邪な考えがある訳ではない。
だからこれはこれで仕方がない。
最悪の事態は避けられたのだからよしとしよう。
「仕方ないのう。儂が背負ってやるとするか」
まだ枯れてなかったのか爺?
「師匠。何もそこまでしなくても…… 」
「あのどうしました? 」
見かねた親切な地元の方に車で送ってもらうことに。
「変なメガネの住む家まで」
行き先を伝える。
「師匠。あまりに失礼ですよ」
「そうか。では数学者で変わり者の家まで一っ跳び」
「はあ…… 心当たりの者が一人。分かりましたお送りしましょう」
カーブの続く山道を抜けると集落が見えて来た。
「ああ、あそこが我が家です」
どうでも良い情報を垂れ流す。
「寄って行きますか? 」
せっかくなので遠慮する。
「ここからちょっと揺れますよ」
近道だと小川を突っ切る。何と大胆で激しいのか。
「ここです。ここがたぶんそうかと」
親切な地元の協力を得てついに目的地へ。
長かった辛かったでも……
おえええ!
ウエスティンが吐く。
続けて元神も豪快に。
車で吐かなかったのがせめてもの救い。
恩を仇で返すことにならずに済んだ。
ふうふう
ふうふう
俺が師匠の世話を。
サーマがウエスティンの背中をさする。
納得いかないがこれも旅だ。
落ち着いたところでベルを鳴らす。
だが反応がない。
「あれ…… いないみたいですね」
間を開けずに爺が鳴らす。
だがやはり返事がない。
「ふん。これしきのことで」
迷惑なことに押し続ける非常識な爺。
「ちょっと止めなさいよ! 」
「ふん。こ奴の魂胆は見えておるわ」
ただの近所迷惑の爺になってしまった。
「うるさい! 」
ついに家主登場。
「おう久しぶりだな」
「あんたはいつかの迷惑爺さん」
男は開けたことを後悔している様子。
「またかよ」
まだ若そうだが。どうやら本当に数学の研究者らしい。
「師匠。この方は? 」
「うむ。哀れな子羊だ」
「くそまた俺を馬鹿にしやがったな! 」
「ふふふ…… 負け犬であったかな」
かなり迷惑そうでしかも忙しそうな男。
とりあえずお邪魔することに。
茶を出されるが歓迎されてない様子。
「あの…… 実は…… 」
サーマが切り出す。
「分かってるよ。どうせ冷やかしだろ。俺が失敗するところを見に来たんだろ。
まったくどうしていつも大事な時期に邪魔をするんだこの爺さんは」
本当に忙しいらしい。
とにかく話を聞く。
「俺は一応この辺で名の知られた科学者。まあ数学者だな」
「算数じゃったかな? 」
「専門は数学だ! 」
「おおそうじゃった。そうじゃった」
爺は悪びれる様子もなく寛ぐ。
「今月までに世紀の難問を解き明かしつもりだったのにな。
またあんたが来たのでやる気を失くしたよ」
人のせいにする困った数学者。
どうやら相当な恨みがあるようだ。
当時の話を詳しく聞く。
「それで何をしたんですかこのお爺さんは? 」
やはり聞き役はサーマ。
「ははは! 何ってこの爺さんは俺がせっかく解き明かそうとした難問を邪魔した」
「はあ…… 具体的には? 」
「こ奴は自分の失敗を棚に上げてるだけの負け犬じゃ」
手厳しい爺。
「何だと! 」
熱くなる数学者。
「はいはい。それで難問って何? 」
「ヘルマー予想さ」
「そんなんだったかの? 」
すっかり忘れている爺さん。
「ヘルマー予想とは…… 」
ダメだ。頭が痛くなりそうだ。
数学の難問。算数さえまともにできないのに俺では太刀打ちできない。
ちょっとトイレに。
ピタゴラスがどうとか。二等辺三角形がどうとか。
二乗が三乗がn乗がどうとか。聞こえてくる呪文。
その時トイレで例のモノを発見する。
「師匠! ありましたよ! 」
ついにルーレットを発見。
これでクリアか?
続く
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる