ジミート チート神を探して神々の森へ 追放されし三人の勇者故郷を救え!

二廻歩

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狂った世界 大王様のお食事

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その頃。
リサイクル卿は馬を飛ばし陸ルートを駆ける。

確か奴の城はこの道を真っ直ぐのはず。
急がねば!

うん?
小さな一本道に障害物がある。
目の前には馬車が塞ぐように立ち往生していた。

これは敵の作戦?
何かの罠?

「おお! お助け下さい! 」
「済まぬ。先を急いでいる。通してもらおう! 」
「頼みます。どうか。どうか」

聞き覚えのある声が聞こえた。
何者?

「おお! 誰かと思えばリサイクル卿ではないですか」
「リサイクル卿? それは助かった」

馬車の中にはどうやら数人いるようだ。

一人の男が出てきた。

「サウスドコダの者だ」
「何? それで皆無事か? 」

「そうでもない。大半が連れ去られた上に村は焼かれちまった」
「やはりそうか。恐れていた事態が現実となってしまったな」

「そちらはどうでしたか? 」

「ああ、温泉郷を襲った奴は追い払ったよ。
敵将のジュニアの捕獲に成功。
その男から大王鬼神の居場所も聞き出した。
ドコダ地域の争いも収まり、危機も去った為このまま大王討伐に向かうつもりだ」

「そうでしたか。ではカンたちの加勢をお願いします」
「カンが向かったと言うのか? 」
「ええ、水路で向かいました。我々よりも先ですのでそろそろ着く頃かと」

「カンを行かせるとは! せっかく脱出させたと言うのにまったく」
「連れ去られた者を助けなくてはなりません。
奪還作戦には彼らの力が必要なのです」

「ふう、困ったな。仕方ない。加勢するしか無いようだ」
「ありがとうございます。俺らも馬車が直り次第向かいます」
「分かった。気をつけろ! 」

「それから…… 」
「まだ何かあるのか? 」

「他の部隊は? 」
「ああ、先に向かっている。心配するな! 」

馬車を動かしてもらい先を急ぐ。

「さあ行け! 」
馬は勢いよく駆けて行った。


大王鬼神の城。

大王の命により大規模な改築が行われていた。

城内は立ち入り禁止。

仮の住まいで不自由を強いられる大王。

「おい! まだか? 」
「急ピッチで進めております。もう少々の辛抱でございます」

「もう良い! 食事じゃ! 用意しろ! 」

「またでございますか。少々時間を置かれてはいかがでしょう? 」
「口答えをするな! 誰がお前を大臣にしてやったと思っているんだ。うん? 」
「もちろん大王様のおかげでございます」

セック大臣は男女を問わず引きつける魅力の持ち主。
その人望を買われ若くして大臣に抜擢された切れ者。

後継者のジュニアたちと比べても見劣りしない。いやそれ以上の切れ者。
大王無き後は彼がともっぱらの評判。

しかしその彼も良くいえば大王お付の腹心。
実態はただのお世話係。

果たしてこのままでよいのかと焦りが見え隠れする。

「大王様お食事でございます」
「おお! 旨そうじゃな。これは何だ? 」
「この土地で捕れた地元の食材を生かしたものです」

「こちらはステーキ」

「脂ののったこってりしたものとあっさりしたものを用意いたしました。
レアになっております。
お気をつけてお食べください」

「うむ。レアが一番。どうせ口に入れば炭のようになってしまうのだからな」

大王の口の中はひどく熱くなっておりまるでマグマのよう。
一度中に入れれば一瞬のうちに黒焦げだ。

「あち! 」

慎重に口に運んでやる。

大王に少しでも触れれば大やけど。

燃え盛る炎の中に手を突っ込むような恐怖。

「うむ旨いぞ! しかし自分で食えないのはいささか不便であるな」
「大王様の体形では致し方ありませんよ」

大食期の大王は無尽蔵の胃袋で全てを食い尽くす。
何一つ残らない。

巨大な皿が次々運ばれていくる。

「これは山奥で捕れたジビエでございます」

続いて極寒の地で育った引き締まった上質のお肉。
一週間寝かせた発酵肉。
缶詰肉。
西の端の湖で捕れた幻の一品。
刺身。
活け造り。

涎が出るほどのごちそう。

目の前は皿で埋め尽くされた。

「どうでしょう。お口に合いますでしょうか? 」
「うむ。どんどん持って来るがよい! 」

大王の機嫌を損ねぬようにおもてなしをする。

報告が入った。

「ドコダ地域の食材が手に入りました。
現在選別作業に入っております。
終わり次第仕込みに移りますので少々時間がかかります」

「急いで頼む! 大王様の気分次第で我々などひとたまりもないからな」

「何をコソコソしておるそこ! 」
「大王様申し訳ありません。急がせております」

恐怖で支配する大王鬼神。
その実力は計り知れない。
不死身とも言われている。

ポカポカした陽気に触発されたのか食事会は庭で行われている。

モグモグ
ガリガリ
パクパク

大王は食事の手を緩めない。

一皿平らげるごとに腹が膨らんでいく。
そして腹と共に巨大化していき醜き化け物へと姿を変える。
大食期のモンスターは徐々に手に負えなくなる。

うぐうう

もはや言葉にもならない。

何かを叫び何かを命令する。

仕方なく大王の通訳に努める。

大王の口から煙があがった。
煙はモクモクと広がっていき辺りを覆い尽くす。

そして木々や草花を冒す。
水や緑が徐々に汚染されていく。
人体にも影響があるかもしれない。

恐ろし大王の贈り物。
止める術はあるのか?


大王の城へ接近中。

水路でカンたちが。
陸路でリサイクル卿が。
馬車を変え親方たちが。

昼過ぎ。

リサイクル卿は第一部隊と第二部隊に合流した。
これにより戦力は充実した。

リサイクル卿部隊は速度を上げる。


最終決戦。

「疲れた! 」
「まだっすかね? 」

プラスティ―の導きに従い歩みを進める一行。

カンを先頭にパック、プラスティ―と続きモッタが最後尾。

「プラスティ―? 」
「大丈夫。このまま進んで。大王の城があるから」
「城! 城! 大王の城っと」

「大きなお城だと思うからかなり目立つはず。
見えない? もうそろそろ見えてみいいんだけどなあ。間違えたのかしら」

「えー? しっかり頼むよプラスティ―! 」

「兄貴あれは何すっか? 」
遠くの方まで見渡せるパックの並外れた視力。

一体何を捉えたのか?

どれどれ……
歩を進める。

「何があったパック? 」

「バ…… バケモノ! 」

パックは膨れ上がった大王鬼神に腰を抜かす。

「あんな奴相手にするなんて無茶にもほどがあるっす」

歩を進め、目の前までたどり着いた。

「あいつは何者? 」
得体の知れないモンスターに凍り付く。

                  続く
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