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最終回前編 アル―の真実 涙の再会
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神社へ走る。
「アル―!
今迎えに行くよ! 」
「待ってくだせい兄貴! 」
「はあはあ…… カン! 」
「アル―! 」
「アル―! 」
「落ち着いて! そんなに急がなくても大丈夫! 」
温泉郷の中心地を超え泊まっていた旅館も通り過ぎる。
そして神社に辿り着く。
「兄貴! 」
「カン! 」
境内へ侵入。
何事かと爺が走ってくる。
「何奴? 」
「アル―を! 」
「はあ? アグー? 」
「アル―が! 」
「何を言っておる? 」
「兄貴それじゃ伝わらないっす」
「ほらカン落ち着いて」
「おう。誰かと思えば…… お主らか。よくやったぞ! 」
「この神社で一時的にけが人を受け入れていると聞いたんですが。
人を探してるんです。アル―って子」
「ああ。昨夜運ばれてきた者たちは確かにここにおるが。
しかし肉体的にも精神的にも限界で無理はさせられない。
申し訳ないが会わすことはできない!
大人しく帰ってもらおうか」
「そんなあ! 」
「アル―! アル―いるんでしょう?
会わせてください! お願いします! 」
爺の肩を掴む。
「放せ馬鹿者! こ奴を何とかせい! 」
「兄貴! 行きますよ」
「お願いお爺様。何とかならないの? 」
「うーん。そこまで言うのなら仕方ない」
「じゃがアル―などと言う娘。娘でいいのだろ?
そんな名前の子は…… 」
「お願いします! アル―を! 」
「うるさい! 騒ぐな!
確認して参る。少々待たれよ」
爺はそう言うと駆けて行った。
すぐに爺と入れ替わるように足音が近づいてくる。
それに気づく者はいない。
「アル―! 」
私を呼んでいる?
「アル―! 」
聞こえる。誰かが私の名前を呼んでいる。
ゴホゴホ
ゴッホゴッホ
あまりの出来事に体を壊し風邪をひいてしまったみたい。
ゴホゴホ
「アル―! 」
聞こえる私を呼ぶ誰か……
「アル―! 」
聞き覚えのある声。
「アル―! アル―! 」
深い悲しみと愛に満ちた叫び。
あなたはまさか?
「アル―! 」
カンなの……
「アル―! 」
「カン! カーン! だめ。声にならない」
風邪の影響で喉の調子が良くない。
かすれ声ではカンには届かない。
「アル―! 」
声のする方に歩みを進める。
見えた。あれは間違いなくカン。
なぜカンあなたがここへ?
カンの他に二人。
同い年ぐらいの男女。仲間?
カンは少女の胸を借りて泣いている。
彼女と目が合った。
何が何だか分からない。
「アル―! 」
「兄貴! 」
「カン。ごめんなさい。言わなければならないことがあるの! 」
「プラスティ―? 」
「ドコダの皆を救出したでしょう?
その時彼女の姿を誰も見ていない。
三人も四人もいて誰一人よ。
おかしいでしょう? 」
「初めからいなかったって考えるのが自然よ。
それではなぜいなかったか。
恐ろしい事に大王鬼神の味見に回された。
だから温泉郷をいくら探しても見つからない。
最後の望みだったここでもアル―らしき人はいなかった。
いくら探しても無駄よ。そう思わない? 」
「食われたって言うのか?
そんなこと俺は認めない!
必ずどこかにいる! 」
「カン落ち着いて! パックはどう思う? 」
「自分は…… 自分もそんな気がします…… 兄貴…… すんません」
カンは泣き崩れた。
プラスティ―に支えられて何とか立っていられる状態。
希望は打ち砕かれ我を失う。
「アル―! アル―! 」
絶望に打ちのめされ迫ってくる足音に気付かない。
「兄貴! 」
「もう…… いいんだ」
「ふふふ…… 」
「プラスティ―? 笑うところじゃないよ」
「カンってば! 」
何を笑っている? こんな状況で笑うなんてどうかしている。
「カン振り向いて! 」
「プラスティ―? 」
「兄貴! よかったすね」
「ええ? 」
「カン! 」
「プラスティ―? 違う? 」
「カン! 」
振り向くと目の前にはアル―の姿があった。
「アル―? 」
「カン! 」
「アル―? いるじゃないか! 」
「カン! 」
「アル―! 」
二人は抱き合った。
そこに爺がタイミング悪く戻ってきた。
「あれ? アルミさんじゃないか。どうした寝ていねばいかんぞ! 」
「アルミさん? 」
「ああこの子はアルミさんじゃ」
「アル―? 」
「私はアルミよ。村の皆からはアル―って呼ばれてる」
「知ってたカン? 」
「いや、アル―じゃないの? 」
「ダメだこりゃ」
「アル―! 」
「カン! 」
「あーもう。うっとうしい。行くわよパック! 」
「兄貴…… 」
「ほらお爺さんも邪魔しないの! 」
プラスティ―は二人を引っ張っていった。
その後カンとアル―は愛を育んだ。
翌日アル―は全快。
後編へ
「アル―!
今迎えに行くよ! 」
「待ってくだせい兄貴! 」
「はあはあ…… カン! 」
「アル―! 」
「アル―! 」
「落ち着いて! そんなに急がなくても大丈夫! 」
温泉郷の中心地を超え泊まっていた旅館も通り過ぎる。
そして神社に辿り着く。
「兄貴! 」
「カン! 」
境内へ侵入。
何事かと爺が走ってくる。
「何奴? 」
「アル―を! 」
「はあ? アグー? 」
「アル―が! 」
「何を言っておる? 」
「兄貴それじゃ伝わらないっす」
「ほらカン落ち着いて」
「おう。誰かと思えば…… お主らか。よくやったぞ! 」
「この神社で一時的にけが人を受け入れていると聞いたんですが。
人を探してるんです。アル―って子」
「ああ。昨夜運ばれてきた者たちは確かにここにおるが。
しかし肉体的にも精神的にも限界で無理はさせられない。
申し訳ないが会わすことはできない!
大人しく帰ってもらおうか」
「そんなあ! 」
「アル―! アル―いるんでしょう?
会わせてください! お願いします! 」
爺の肩を掴む。
「放せ馬鹿者! こ奴を何とかせい! 」
「兄貴! 行きますよ」
「お願いお爺様。何とかならないの? 」
「うーん。そこまで言うのなら仕方ない」
「じゃがアル―などと言う娘。娘でいいのだろ?
そんな名前の子は…… 」
「お願いします! アル―を! 」
「うるさい! 騒ぐな!
確認して参る。少々待たれよ」
爺はそう言うと駆けて行った。
すぐに爺と入れ替わるように足音が近づいてくる。
それに気づく者はいない。
「アル―! 」
私を呼んでいる?
「アル―! 」
聞こえる。誰かが私の名前を呼んでいる。
ゴホゴホ
ゴッホゴッホ
あまりの出来事に体を壊し風邪をひいてしまったみたい。
ゴホゴホ
「アル―! 」
聞こえる私を呼ぶ誰か……
「アル―! 」
聞き覚えのある声。
「アル―! アル―! 」
深い悲しみと愛に満ちた叫び。
あなたはまさか?
「アル―! 」
カンなの……
「アル―! 」
「カン! カーン! だめ。声にならない」
風邪の影響で喉の調子が良くない。
かすれ声ではカンには届かない。
「アル―! 」
声のする方に歩みを進める。
見えた。あれは間違いなくカン。
なぜカンあなたがここへ?
カンの他に二人。
同い年ぐらいの男女。仲間?
カンは少女の胸を借りて泣いている。
彼女と目が合った。
何が何だか分からない。
「アル―! 」
「兄貴! 」
「カン。ごめんなさい。言わなければならないことがあるの! 」
「プラスティ―? 」
「ドコダの皆を救出したでしょう?
その時彼女の姿を誰も見ていない。
三人も四人もいて誰一人よ。
おかしいでしょう? 」
「初めからいなかったって考えるのが自然よ。
それではなぜいなかったか。
恐ろしい事に大王鬼神の味見に回された。
だから温泉郷をいくら探しても見つからない。
最後の望みだったここでもアル―らしき人はいなかった。
いくら探しても無駄よ。そう思わない? 」
「食われたって言うのか?
そんなこと俺は認めない!
必ずどこかにいる! 」
「カン落ち着いて! パックはどう思う? 」
「自分は…… 自分もそんな気がします…… 兄貴…… すんません」
カンは泣き崩れた。
プラスティ―に支えられて何とか立っていられる状態。
希望は打ち砕かれ我を失う。
「アル―! アル―! 」
絶望に打ちのめされ迫ってくる足音に気付かない。
「兄貴! 」
「もう…… いいんだ」
「ふふふ…… 」
「プラスティ―? 笑うところじゃないよ」
「カンってば! 」
何を笑っている? こんな状況で笑うなんてどうかしている。
「カン振り向いて! 」
「プラスティ―? 」
「兄貴! よかったすね」
「ええ? 」
「カン! 」
「プラスティ―? 違う? 」
「カン! 」
振り向くと目の前にはアル―の姿があった。
「アル―? 」
「カン! 」
「アル―? いるじゃないか! 」
「カン! 」
「アル―! 」
二人は抱き合った。
そこに爺がタイミング悪く戻ってきた。
「あれ? アルミさんじゃないか。どうした寝ていねばいかんぞ! 」
「アルミさん? 」
「ああこの子はアルミさんじゃ」
「アル―? 」
「私はアルミよ。村の皆からはアル―って呼ばれてる」
「知ってたカン? 」
「いや、アル―じゃないの? 」
「ダメだこりゃ」
「アル―! 」
「カン! 」
「あーもう。うっとうしい。行くわよパック! 」
「兄貴…… 」
「ほらお爺さんも邪魔しないの! 」
プラスティ―は二人を引っ張っていった。
その後カンとアル―は愛を育んだ。
翌日アル―は全快。
後編へ
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