この度、猛獣公爵の嫁になりまして~厄介払いされた令嬢は旦那様に溺愛されながら、もふもふ達と楽しくモノづくりライフを送っています~

柚木崎 史乃

文字の大きさ
45 / 58

45.才能

 ふと、背後から誰かが私たちを呼び止める声がした。
 振り返ると、慌てて走ってくるユリアンの姿があった。
 その輝くような金髪が乱れることを気にする様子もなく、彼は私たちの元に駆け寄る。

「……申し訳ございません。ご無礼をお許しください、殿下」

 ジェイドはそう言うと、深々と頭を下げた。

「大丈夫だよ、気にしないでくれ。それに、別に出て行く必要はなかったと思うよ。僕がうまくフォローするから、そのままダンスを続けてくれても良かったのに……」

 ユリアンは眉尻を下げつつも、そう言った。

(相変わらず、ユリアン様はお優しい方ね……)

 私はそんなことを思いながら、ちらりとジェイドの様子を窺う。
 自分のせいでダンスを中断させてしまったことに責任を感じているのか、彼は浮かない顔をしていた。

「いえ……これ以上、殿下のお手を煩わせるわけには参りません」

 ジェイドはそう言うと、再び頭を下げる。
 そんな彼を見て、ユリアンは苦笑した。

「本当に君は真面目だね」

(確かに……)

 私は、ユリアンの言葉に心の中で同意する。

「そうだ、今からちょっと付き合ってくれないかな? 以前も言ったと思うけど、コーデリアの発明品について色々と話を聞きたいんだ」

「え? 今から、ですか……?」

 尋ね返すと、ユリアンはにこにこと微笑みながら頷く。

「ああ。……コーデリア。君の発明は本当に画期的だ。僕は、君の才能を買っている。だから、ぜひとも話を聞かせてほしい」

「……! 身に余る光栄でございます」

 領民たちのことを思ってしたことだが、まさかユリアンがそこまで高く評価しているとは思わなかった。
 内心驚きつつ、私は恭しく礼をする。

「立ち話も何だし、場所を変えようか。とりあえず、僕が普段使っている執務室に行こう。あそこなら、誰にも邪魔されないから」

 私たちはユリアンの後に続いて、城の奥へと進んでいった。

「さあ、入って」

 ユリアンはそう言うと、執務室の扉を開いた。
 中には豪華な調度品が置かれており、見るからに高そうなものばかりだった。

(すごい……)

 私は心の中で呟くと、部屋の中へと足を踏み入れる。
 すぐにソファに腰掛けるよう促されたので、私とジェイドは一礼してから腰掛ける。
 ユリアンは向かい側の席に座ると、おもむろに口を開いた。

「じゃあ、早速聞かせてもらおうかな」

 ユリアンがそう言ったので、私は緊張しつつも自身が発明してきた魔導具について説明を始めた。
 話しているうちについ熱が入りすぎてしまったが、ユリアンは真剣な表情で私の話を聞いてくれていた。

「……なるほど。噂に聞いていた通り、すごいね。特に、治癒石は様々な医療現場で役立ちそうだ」

 一通り話を終えると、ユリアンはそう言って頷いた。その表情はとても満足そうだ。

「いえ、そんな……恐縮です」

 褒められて嬉しい反面、恐れ多いので私は慌てて首を横に振る。

「さっきも言ったけど、僕は君の発明品に可能性を感じているんだ。どうだろう? 君のその力をより多くの人々のために役立ててみる気はないかな?」

「え……?」

 ユリアンの提案を聞いて、私は目を瞬かせる。

「僕は、君ほどの才女を埋もれさせたままでいるのは勿体無いと思っている。ぜひ、君が作った発明品を多くの人たちに使ってもらえるような仕組みを作りたいんだ」

(これって……つまり、スカウトなのかしら?)

 まさか王太子直々にお声掛けをいただくとは思わず、私は戸惑っていた。

「勿論、君が発明品を世に出したくないというのであれば無理強いはしない。でも、もし発明品をもっと多くの人に届けたいという気持ちがあるなら……できる限り、力になりたいんだ」

 ユリアンはそう言って、私を見つめる。そんな彼の瞳には強い光が宿っていた。
 彼は私が思っている以上に、常日頃から国民のことを思って行動しているようだ。

「ジェイド。君はどう思う? 彼女の才能をこのまま眠らせておくのは勿体ないと思わないか?」

 ユリアンは今度はジェイドに問いかけた。ジェイドは少し考える素振りを見せた後、口を開く。

「そうですね……彼女の発明品が有益であることは間違いありません。ただ、彼女がどうしたいかが一番重要です」

 ジェイドはそう言うと、私の方を見る。
 彼の視線を受けて、私は思わず俯いた。

(私がどうしたいか……か)

 そんなの、決まっている。
 私は──

「私は、今まであまり自分に自信が持てずにいました。ご存知の通り、生まれた時から魔力に恵まれませんでしたし、それは今でも変わりません。でも、こんな風に殿下やジェイド様に認めていただけてすごく嬉しくて……もっと、色々な人に私の発明品を使ってもらいたいと思いました」

 私は顔を上げて、真っ直ぐにユリアンを見つめた。

「だから──私、もっと沢山の人に発明品を届けたいです。そのためには、殿下のお力添えが必要だと思っています。ご協力いただけますか?」

「そうか……! ああ、勿論協力させてもらうよ。今後とも、よろしく頼むよ。コーデリア」

 ユリアンは嬉しそうに微笑むと、右手を差し出してきた。私はその手をしっかりと握り返し、彼と握手を交わす。

(まさか、私が王太子と手を取り合う日が来るなんて……人生って本当に何が起こるか分からないものね)

 そんなことを思いながらも、私は不思議と高揚感を覚えていた。

 不意に、荒々しくドアがノックされた。私たち三人は顔を見合わせる。

「失礼いたします!」

 そう言って、使用人と思しき男性が慌てた様子で部屋に入ってきた。

「どうしたんだい?」

 ユリアンが尋ねると、使用人は息を整えてから口を開いた。

「そ、それが……実は城門付近に犬が一匹迷い込んだらしく、門番が手を焼いているとの報告が上がりまして……」

「犬……?」

 ユリアンは怪訝そうな顔で首を傾げる。

「近くに飼い主はいないのか? 迷い犬なら、早く飼い主を捜してあげないと……」

「いえ、その……どうやら、普通の迷い犬ではないようなのです。というのも、その犬は王族の証である金と青のオッドアイを持っているとかで……」

 使用人の言葉を聞いた瞬間、ユリアンの表情が強張ったように見えた。

「なんだって……? その色の目を持っているのは、王家の一員かその親戚のみのはず。ましてや、犬がそれを持っているはずが……」

 ユリアンが信じられないといった様子で呟くと、使用人がさらに言葉を続けた。

「もしかしたら、あの犬は失踪したエリオット様と何か関係があるのでは──」

「……! まさか、そんな……」

(エリオット……?)

 私は首を傾げる。ユリアンと使用人の様子を見るに、どうやら非常に重要な人物らしい。

「でも、そんなことがあり得るのだろうか……」

 ユリアンは明らかに動揺していた。額からは汗が滲んでいる。

「あの、殿下。エリオット様というのは一体どなたでしょうか……?」

 私は思い切ってユリアンに尋ねた。

「──エリオットは、僕の弟だよ」

「……!」

 私は驚きのあまり言葉を失った。
 そういえば、以前、噂で第二王子が行方不明になったと聞いたことがある気がする。
 私は実家では新聞やゴシップ誌を読むことすら制限されていたから、世の中の出来事には疎かった。
 そんな私でも知っているくらい、第二王子の失踪事件は世間を賑わせたのだ。

(でも、ちょっと待って……その犬って……)

 一瞬、脳裏にある考えがよぎった。それは隣にいるジェイドも同じだったようで、僅かに眉を寄せている。

「ジェイド様。……私、なんだか嫌な予感がします」

「……ああ、俺もちょうど同じことを考えていたところだ」

 ジェイドはそう言うと、険しい表情で頷いた。
 恐らく、彼もその犬が「レオン」だと睨んでいるのだろう。一体、彼がどうやって王都に辿り着いたのかは分からない。
 しかし、「金と青のオッドアイを持っている犬」となると、やはり彼しか思い当たらないのだ。
感想 27

あなたにおすすめの小説

【完結】 笑わない、かわいげがない、胸がないの『ないないない令嬢』、国外追放を言い渡される~私を追い出せば国が大変なことになりますよ?~

夏芽空
恋愛
「笑わない! かわいげがない! 胸がない! 三つのないを持つ、『ないないない令嬢』のオフェリア! 君との婚約を破棄する!」 婚約者の第一王子はオフェリアに婚約破棄を言い渡した上に、さらには国外追放するとまで言ってきた。 「私は構いませんが、この国が困ることになりますよ?」 オフェリアは国で唯一の特別な力を持っている。 傷を癒したり、作物を実らせたり、邪悪な心を持つ魔物から国を守ったりと、力には様々な種類がある。 オフェリアがいなくなれば、その力も消えてしまう。 国は困ることになるだろう。 だから親切心で言ってあげたのだが、第一王子は聞く耳を持たなかった。 警告を無視して、オフェリアを国外追放した。 国を出たオフェリアは、隣国で魔術師団の団長と出会う。 ひょんなことから彼の下で働くことになり、絆を深めていく。 一方、オフェリアを追放した国は、第一王子の愚かな選択のせいで崩壊していくのだった……。

追放された聖女ですが、辺境で幸せにお務めをしています  〜追放の主犯の姉は、聖女の務めに耐えられず破滅しました〜

ゆうき
恋愛
幼い頃から聖女として酷使され、家族にも愛されなかったベル。 双子の姉に婚約者を奪われ、ついには「聖女の務めを放棄し、姉に押し付けた」という濡れ衣を着せられ、危険な辺境へ追放されてしまう。 ――こんな地獄から解放されるなら、どこへでも行く。 しかし、辿り着いた地でベルを待っていたのは、温かい歓迎と、人々の優しさだった。 中でも辺境伯で騎士団長のリオネルは、厳つい姿とは裏腹に穏やかで優しく、ベルを大切にしてくれた。 一方、王都では姉が聖女の務めに追い詰められ、次第に破綻していく。 さらに、リオネルの隠された秘密と、辺境を覆う瘴気の謎が、ベルの運命を大きく揺るがす――。 ☆全四十六話。予約投稿済みです。タイトルを変えました。前タイトル『婚約破棄に追放? 謹んでお受けいたしますので、もう放っておいてください』☆

「嫌われ者の公爵令嬢は神の愛し子でした。愛し子を追放したら国が傾いた!? 今更助けてと言われても知りません」連載版

まほりろ
恋愛
 公爵令嬢のアデリナ・ブラウフォードの人生は実母の死後大きく変わった。  公爵は妻の葬儀が終わって間をあけず再婚。公爵と後妻の間には、再婚前に作った子供までいた。  アデリナは継母と異母妹に私物を奪われ、「離れ」と名ばかりの小屋に押し込められる。  腹違いの妹はアデリナを悪者に仕立て、周囲はそれを信じた。  本来ならアデリナの味方にならなくてはならない婚約者の王太子も、異母妹の魅力に骨抜きにされ全く頼りにならない。  学園の教師も、生徒も、生徒の保護者も王太子と異母妹の味方だ。    そんなアデリナにも唯一の味方がいる。それはトカゲのクヴェル。クヴェルは美少年に変身し、家事も炊事も裁縫も完璧にこなす不思議な存在だ。  実はクヴェルはこの国の建国に携わる水竜で、アデリナは三百年前に水竜を救った初代女王の生まれ変わりだったのだ。  アデリナを蔑ろにする国に嫌気がさしたクヴェルは、アデリナを連れて旅に出る。  神に去られた国は徐々に荒廃していき……。  一方その頃、祖国の荒廃を知らないアデリナはクヴェルとのグルメ旅を満喫していた。  「ん~~! このアップルパイは絶品! 紅茶も美味しい!!」 ・人外×人間、竜×人間。 ・短編版は小説家になろう、pixivにもアップしています。 ・長編版を小説家になろうにも投稿しています。小説家になろう先行投稿。 「Copyright(C)2025-まほりろ」 ※タイトル変更しました(2025/05/06) ✕「卒業パーティーで王太子から婚約破棄された公爵令嬢、親友のトカゲを連れて旅に出る〜私が国を出たあと井戸も湖も枯れたそうですが知りません」 ✕「嫌われ者の公爵令嬢は国外追放を言い渡される。私が神の祝福持ちだと王家が気付いた時には国の崩壊が始まっていました」 ◯新タイトル「嫌われ者の公爵令嬢は神の愛し子でした。愛し子を追放したら国が傾いた!? 今更助けてと言われても知りません」 ・2025年5月16日HOTランキング2位!  ありがとうございます! ※表紙イラストは猫様からお借りしています。

【完結】捨てられた皇子の探し人 ~偽物公女は「大嫌い」と言われても殿下の幸せを願います~

ゆきのひ
恋愛
二度目の人生は、前世で慕われていた皇子から、憎悪される運命でした…。 騎士の家系に生まれたリュシー。実家の没落により、生きるために皇宮のメイドとなる。そんなリュシーが命じられたのは、廃屋同然の離宮でひっそりと暮らすセレスティアン皇子の世話係。 母を亡くして後ろ盾もなく、皇帝に冷遇されている幼い皇子に心を寄せたリュシーは、皇子が少しでも快適に暮らしていけるよう奮闘し、その姿に皇子はしだいに心開いていく。 そんな皇子との穏やかな日々に幸せを感じていたリュシーだが、ある日、毒を盛られて命を落とした……はずが、目を開けると、公爵令嬢として公爵家のベッドに横たわっていた。けれどその令嬢は、リュシーの死に因縁のある公爵の一人娘……。 望まぬ形で二度目の生を享けたリュシーと、その死に復讐を誓った皇子が、本当に望んでいた幸せを手に入れるまでのお話。 ※本作は「小説家になろう」さん、「カクヨム」さんにも投稿しています。 ※表紙画像はAIで作成したものです

忘れられた幼な妻は泣くことを止めました

帆々
恋愛
アリスは十五歳。王国で高家と呼ばれるう高貴な家の姫だった。しかし、家は貧しく日々の暮らしにも困窮していた。 そんな時、アリスの父に非常に有利な融資をする人物が現れた。その代理人のフーは巧みに父を騙して、莫大な借金を負わせてしまう。 もちろん返済する目処もない。 「アリス姫と我が主人との婚姻で借財を帳消しにしましょう」 フーの言葉に父は頷いた。アリスもそれを責められなかった。家を守るのは父の責務だと信じたから。 嫁いだドリトルン家は悪徳金貸しとして有名で、アリスは邸の厳しいルールに従うことになる。フーは彼女を監視し自由を許さない。そんな中、夫の愛人が邸に迎え入れることを知る。彼女は庭の隅の離れ住まいを強いられているのに。アリスは嘆き悲しむが、フーに強く諌められてうなだれて受け入れた。 「ご実家への援助はご心配なく。ここでの悪くないお暮らしも保証しましょう」 そういう経緯を仲良しのはとこに打ち明けた。晩餐に招かれ、久しぶりに心の落ち着く時間を過ごした。その席にははとこ夫妻の友人のロエルもいて、彼女に彼の掘った珍しい鉱石を見せてくれた。しかし迎えに現れたフーが、和やかな夜をぶち壊してしまう。彼女を庇うはとこを咎め、フーの無礼を責めたロエルにまで痛烈な侮蔑を吐き捨てた。 厳しい婚家のルールに縛られ、アリスは外出もままならない。 それから五年の月日が流れ、ひょんなことからロエルに再会することになった。金髪の端正な紳士の彼は、彼女に問いかけた。 「お幸せですか?」 アリスはそれに答えられずにそのまま別れた。しかし、その言葉が彼の優しかった印象と共に尾を引いて、彼女の中に残っていく_______。 世間知らずの高貴な姫とやや強引な公爵家の子息のじれじれなラブストーリーです。 古風な恋愛物語をお好きな方にお読みいただけますと幸いです。 ハッピーエンドを心がけております。読後感のいい物語を努めます。 ※小説家になろう様にも投稿させていただいております。

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

地味で役に立たないと言われて捨てられましたが、王弟殿下のお相手としては最適だったようです

阿里
恋愛
「君は地味で、将来の役に立たない」 そう言われ、幼なじみの婚約者にあっさり捨てられた侯爵令嬢の私。 社交界でも忘れ去られ、同情だけを向けられる日々の中、私は王宮の文官補佐として働き始める。 そこで出会ったのは、権力争いを嫌う変わり者の王弟殿下。 過去も噂も問わず、ただ仕事だけを見て評価してくれる彼の隣で、私は静かに居場所を見つけていく。 そして暴かれる不正。転落していく元婚約者。 「君が隣にいない宮廷は退屈だ」 これは、選ばれなかった私が、必要とされる私になる物語。

さようなら、私を「枯れた花」と呼んだ貴方。~辺境で英雄を救って聖女と呼ばれたので、没落した元婚約者の謝罪は受け付けません~

阿里
恋愛
「お前のような見栄えの悪い女は、俺の隣にふさわしくない」 婚約者アレクに捨てられ、辺境へ追いやられたセレナ。 けれど、彼女が森で拾ったのは、アレクなど足元にも及ばないほど強くて優しい、呪われた英雄ライアンだった。 セレナの薬草が奇跡を起こし、王都を救う特効薬となったとき、かつて自分を捨てた男との再会が訪れる。 「やり直そう」と縋り付くアレクに、セレナは最愛の人と寄り添いながら静かに微笑む。 ――あなたが捨てたのは、ただの影ではなく、あなたの未来そのものだったのですよ。