【完結】魔女のおしごと

かまり

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12話 こんなところに置いておけない!

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カーティスは魔女の名前を呼ぼうとしたが、

そういえば知らないことに気づいた。 


『奇跡の魔女』では長すぎて面倒なので、名前を聞いたが、

まさか、名前がないと言われるとは思わなかった…


魔女は皆それぞれ自分で好きな名前を付けたり、

気に入った奴に付けさせたりする。


なんで名前がないのか不思議だったが、

自分で付けないなら、呼ぶに呼べないし、

名前を俺が直々に付けてやることにした。


俺に付けて欲しがる奴はゴマンといる。

俺にはよくわからないが、

俺が付ける名前にはそれなりの価値があるらしい。

だから俺が付けてもいいだろう。


まぁ、今までどんなに頼まれようが付けてやっことはないがな。


奇跡にちなんだ名前を付けてやったが、困った顔をしていた。

どうも奇跡に引っかかっているようだが、

自信を取り戻す第一歩と思えばいいだろう。

とりあえず了承はしたので、その名前でいくことにした。


話はまとまったので、早く魔王城へ連れて行くことにした。


リカルドに、

念でこの部屋の荷物をまとめて持ってこいと伝えると、外に出た。しかし…


振り返ったら着いて来ていなかった…!


本当に引きこもりすぎて、行動が緩慢になりすぎだ!


触りたくないが、手を引いて、歩いて行く。

村の先にワープゾーンがあるから、そこまで行けばいい。


驚いている感情が手から伝わってくる。


歩いていると、耳に煩い声が飛び込んで来た。

しかも至る所から…


村の魔界人たちが、この魔女を見て、

うわっ、出てきたぞっ!
やばい、逃げた方がいいかな?
はっ!あんな奴なんにもできねぇよ!
破滅の魔女が今は腑抜けの魔女さっ

確かに!ハハハハ

クスクス、見て?あの格好。
いつもあれじゃない?
汚いフードローブ!
どんな顔してるか見たことないわよね。
きっとすごい醜いんじゃない?

やだ~!アハハハ

まだまだ…ずっと続く陰口。


俺の耳は聞こえすぎるから、陰口になっていないが。


それにしても…なんで手からこれに対する嫌な気持ちが流れ込んでこないんだ…

普通聞こえてなくても、コイツらの目をみれば嫌な感情が湧くはず。

おかしさに気づいてカーティスは歩みを止め、急に立ち止まった。


ミラに問い詰めたら、やられていることはわかっていたようだ。

やはり聞こえないフリをしているらしい。


本当はいいわけない。何でもないわけないんだ。

こんなクズ共の中を歩かせるわけにはいかない…


そう思ったカーティスは、

本当は触れる部分が多くなればなるほど、

さらに強く感情が伝わるので、

できればやりたくはなかったが…


ミラを抱き上げて、宙へ浮いた。


しかし、上まであがると、 

ひどく怯えた感情が流れ込み、震えてもいたので、


この風を感じるのが気持ちいいんだがな…


と、喜ばれなかったのを残念に思いながらも、

バリアを張って絶対落ちない空間を作ってやる。


少し怯えた感情がましになったので、魔王城へ向かってスピードを上げた。

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