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31話 本当のこと
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パカラ、パカラ、
「どうどう」
とアレスは言うと、馬を止めた。
目の前にはこの国の王城が見えている。
そろそろ暗くなってきたのでわかりにくいが、多分小さな村なら10個ほど入ってしまいそうな敷地の中に、その大きな城は佇んでいた。
あの魔界の最果ての奇妙な空間、恐ろしく切り立った崖、その上に聳え立つおどろおどろしい魔王城に慣れ親しんだミラにとって、他の城を見ても驚くことはなかったが、
真っ白の壁に、尖った塔の屋根の紺色がとてもよく合っていて、それを照らし出す灯りや窓から漏れている橙色の光が、その城を優しい雰囲気に見せていた。
「ミリア、少し話さないといけない事があるんだ」
アレスは真面目な顔をしてそう言うと、ひらりと馬から降り、ミラを抱きかかえて地面に降ろした。
馬をセラフィに任せると、ミラの前に立ち、
スッと片膝を付いて騎士の礼をした。
「どうか、この先の城にいる私の父、国王ウィリアム=エストリアをお救い頂きたい。
私の名はアレス。
アレスフォード=エストリア
この国の第一王子だ。
国王は今病床に伏し、城で抱えている医師からは不治の病と言われ、このままだとあと半年の命だと一か月程前に告げられた。
隠してきたが、あろうことかその医師から情報が漏れ、私がまだ18歳で跡を継げないのを良いことに、父の弟が王位を狙い始めている。
しかし、弟は国のことより自分の欲を満たしたいだけの汚い人間。
あの弟に王座を渡すわけにはいかない。
この国では20歳になれば王として政治が行えるんだが、それまでは、もし王位を継承しても、政治の権限は代理の者が持つことになる。しかしその代理になれそうな国を思う者がいない。
私が戴冠するまであと2年。
なんとか父に生きて欲しくて、これまで腕がいいと評判の医師を探し、頼んではみたが、
この事情を漏らすわけにはいかないので詳しく話さないまでも、身分を明かすと責任の重さを怖がって断られたり、逆に治せもしないのに報酬欲しさに謀ろうとしたりする者がいたり、城に医師を入れようとすると狙われたり、結局治せなかった。
「どうどう」
とアレスは言うと、馬を止めた。
目の前にはこの国の王城が見えている。
そろそろ暗くなってきたのでわかりにくいが、多分小さな村なら10個ほど入ってしまいそうな敷地の中に、その大きな城は佇んでいた。
あの魔界の最果ての奇妙な空間、恐ろしく切り立った崖、その上に聳え立つおどろおどろしい魔王城に慣れ親しんだミラにとって、他の城を見ても驚くことはなかったが、
真っ白の壁に、尖った塔の屋根の紺色がとてもよく合っていて、それを照らし出す灯りや窓から漏れている橙色の光が、その城を優しい雰囲気に見せていた。
「ミリア、少し話さないといけない事があるんだ」
アレスは真面目な顔をしてそう言うと、ひらりと馬から降り、ミラを抱きかかえて地面に降ろした。
馬をセラフィに任せると、ミラの前に立ち、
スッと片膝を付いて騎士の礼をした。
「どうか、この先の城にいる私の父、国王ウィリアム=エストリアをお救い頂きたい。
私の名はアレス。
アレスフォード=エストリア
この国の第一王子だ。
国王は今病床に伏し、城で抱えている医師からは不治の病と言われ、このままだとあと半年の命だと一か月程前に告げられた。
隠してきたが、あろうことかその医師から情報が漏れ、私がまだ18歳で跡を継げないのを良いことに、父の弟が王位を狙い始めている。
しかし、弟は国のことより自分の欲を満たしたいだけの汚い人間。
あの弟に王座を渡すわけにはいかない。
この国では20歳になれば王として政治が行えるんだが、それまでは、もし王位を継承しても、政治の権限は代理の者が持つことになる。しかしその代理になれそうな国を思う者がいない。
私が戴冠するまであと2年。
なんとか父に生きて欲しくて、これまで腕がいいと評判の医師を探し、頼んではみたが、
この事情を漏らすわけにはいかないので詳しく話さないまでも、身分を明かすと責任の重さを怖がって断られたり、逆に治せもしないのに報酬欲しさに謀ろうとしたりする者がいたり、城に医師を入れようとすると狙われたり、結局治せなかった。
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