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4話 恋する2人

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…危険だ!
あの弟、血が繋がってない上に、もう14歳だぞ?普通、姉にその歳で抱きつくか?

…あれは絶対可愛い弟のフリしてるだけで、エレナを狙ってる…

エレナも、いつまでもルーカスを子どもだと思って警戒しなさすぎなのもいけない。
今度しっかり教えてやらないとだめだな…

いや、ぼんやりしたエレナのことだ、
そんなこと教えてわかるのか?

…エレナをこの家に置いておくのは危険だな
早く結婚したい…

「アーク様?」

「ん?何?」

アークは、早くルーカスの居るこの邸を離れようと、無意識に急ぎ足で歩きながら聞き返した。

「迎えに来てくださってありがとうございます」

アークはそう言われて振り返ると、

エレナが手を引かれ、慌ててアークについて行きつつ、それでもとても可愛らしく微笑んで礼を言う姿に一瞬見惚れて、立ち止まる。

「…ごめん、早く歩いてしまって」

自分だけに向けられたエレナの笑顔を見て冷静になったアークは、

無理に自分の速さについて来させていたことを反省した。

「いえ、大丈夫ですよ?遅刻してはいけませんものね。私の方こそ歩くのが遅くてごめんなさい」

エレナは優しく微笑んで、アークを責めるどころか、自分を責めた。

「い、いや。俺の方こそ、すまない。
エレナ、さっき言いそびれたが、

その白い制服、エレナの薄紫の髪に良く似合ってる。とっても可愛いよ」

微笑んで言うアークに

「アーク様こそ、天から降りていらっしゃったのかと思うほど、とっても素敵です」

と言って微笑み返す。

エレナは本当にそう思っていた。 

銀色の髪と白い制服が、窓から差し込む日の光を帯びて、そのアークの美貌と共に輝いて見えた。

いつ見ても本当に美しい方だけど、初めての制服姿は新鮮で、いつにも増して素敵だわ…

と、エレナはぽーっとなってアークを見つめていた。

相思相愛で幸せな雰囲気を漂わせる2人は、アークのエスコートでエントランスの階段をゆっくり降りると、

アークが乗ってきた王家の馬車へ一緒に乗り込んだ。


やっぱり夢よね?
こんなに優しい笑顔のアーク様が、あんな風に変わってしまうなんてこと、きっとないわ…

私だって、こんなに大好きな人なのに、復讐したい気持ちでいっぱいになるなんて、なんてこわい夢だったのかしら…

エレナはやはり夢だったんだと、確信した。

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