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22話 魔力暴走

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「みなさん、今日は、そろそろ魔法の扱い方も上手になってきているでしょうから、

火魔法がある人はオーブンの火をつけて、火加減の調整を

洗い物は水魔法で、水量の微調節をしながら出してみましょう。

繊細な使い方もできるようにならないといけませんからね。

では、お互い持っている魔法で助け合って取り掛かってください。」

料理クラブ担当の先生がそう言うと、生徒たちがざわめいた。

今までオーブンも水道も既に魔力が通されていて、スイッチ1つで動かせる便利なものを使っていたのに、

急に自分たちで魔法を調整して使うよう言われ、戦々恐々とした。

しかし、それも鍛錬のうちということなら、やるしかない。

みんな渋々いつものグループに分かれてそれぞれの調理台についた。

かなり自由度の高いクラブで、好きなグループを作ってよかった為、

入った当初から、エレナ、マーガレット、フェリスは3人一緒だった。

他の女生徒たちはフェリスに黄色い声を上げて近寄って来たが、

エレナとマーガレットにはしない、冷たい氷のような目で追い払われて以来、遠巻きにして眺めていた。


「…じゃあ、先にオーブンを温め始めようか?マーガレット、頼める?」

フェリスはそう言うと、マーガレットを見た。

「えっ⁈あっ、ああ、そうよね?
この中で火魔法使えるのは私だけだもんね…
…やりますよ…ええ、やれますとも」

エレナとフェリスは自信なさげな顔をするマーガレットに、少し嫌な予感がした。

「大丈夫かい?マーガレット。君ほどの魔力量だと、こんな小さなオーブンの火加減は大変なはずだ。他の子に頼もうか?」

聞き耳を立てている女子たちが、

私火魔法使えるわ!
私も!
え?私もだけど?

と、口々に言い始める。

それが聞こえたマーガレットは、

エレナとフェリスに頼られているのは私なのよ!がんばりなさい!マーガレット!

と、自分を励ました。

「大丈夫!私やれます!」

と、オーブンの前に立った。

「ふむふむ。火を少しだけ出してこの穴に注ぎ込めばいいのよね…

少し…だけ」

と、手のひらをオーブンにかざして力を込めた…


ごおおおおおおおお

「きゃー‼︎逃げてー‼︎」

マーガレットがそう叫ぶ間にも、手から出た大火が教室を飲み込もうとしていた。

そんなこともあろうかと、フェリスが水を出す準備をしていたので、すぐに水の玉を出して消火しようとした時

ドンッドドドド

と、たくさんの女生徒たちが狭い教室を逃げ惑って、次から次へとぶつかってくるものだから、体勢を崩して狙いが定まらない。

「ちょっ、ちょっと!落ち着いて!大丈夫、消せるから、邪魔しないで!」

フェリスが叫んでいる間にも火は広がり、焦ったマーガレットは自分を止められなくて泣き叫んでいる。


「どうしたんだ!」

アークは生徒会を終えて来てみると、教室から怯えた生徒が飛び出てきて、

その出てきた教室の中が真っ赤に染まっていく異変に気づき飛び込んできたが

泣き叫ぶマーガレットの隣にいたエレナは、アークの声には気づかなかった。



これ以上生徒たちや学園に被害を与えては、マーガレットもショックを受けてしまうわ!

でも私の弱い水ではマーガレットの火に太刀打ちできない!

何とかしないと!何とか…どうしよう!

お願い、助けて‼︎


と、エレナは目を閉じて無我夢中で祈った。

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