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45話 ルーカスの後悔
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「エレナ、今日は僕が送ってあげるから、一緒に帰ろう。そのままじゃ家の人もびっくりするだろう?」
そう言って、幼い子のようにただ泣き続けるエレナの肩を、優しく抱きながらフェリスは馬車へ向かった。
馬車の中で散々泣いたエレナは目が赤く腫れて、家に着いたエレナのその様子を見たルーカスが驚いて問い詰めると、また思い出して泣き出してしまった。
いったんフェリスとルーカスはエレナを部屋に送り、フェリスは部屋の外で涙の理由をルーカスに話した。
「…なんてことを!殿下!姉上をこんなに泣かせるなんて!…許せない!
何やってんだよ!
そんなよくわからない女なんかとっ!
それに、姉上の魔法の悪い噂をそのままにしておくなんて!約束と違うじゃないか‼︎
だから言ったんだ……やっぱりあの時研究所へ行かせるべきだった…
あの時2人を引き離しておけばこんな事には…
クソッ!俺が甘い顔なんてしたせいだ…!」
両拳を脚の横で強く握りしめると、ルーカスは険しい顔で、エレナに聞こえないよう小さく怒鳴る。
「ルーカス、落ち着いて。
兄上が本当に申し訳ない。何でカトリーナとそんなことになってるのか、僕の方から聞いておくよ。
事と次第によっては、僕だって許さない…
だけど、話を聞いてみないことにはまだ何とも言えないから…
だから今日はすまないが、ルーカスがエレナについていて貰えるかな」
「もちろんだよ。
はぁ…せめてフェリス殿下が婚約者であってくれればなぁ…俺もこんなに苦しくないのに」
「…あれ?そういえばルーカス、いつも自分のこと僕って言ってなかった?」
「あっ、いや、何でもない。間違えただけだよ、気にしないで?」
「ふふっ、年頃だからね。どっちでも君に似合うと思うよ。
それより、エレナを僕の婚約者にだなんて、嬉しいけど滅多なことを言ってはいけないよ?
君の家は由緒正しい歴史ある公爵家だ。
こちらの家門に連なる勢力は国を二分するほどの大きさ。
それが、第一王子勢力なんだから、その公爵家の令嬢が第二王子の僕の婚約者になってくれることなんてないんだからね?
特にこの家の家督を継ぐ君がそんなこと言ってるのがわかったら、その隙をつかれて国を揺るがすような内紛だって起き兼ねないんだ。
どこで聞かれているかもわからないんだから、気をつけないと、ね?ルーカス?」
教え諭すようにフェリスは真面目な顔で言った。
「は、はい。すみません」
ルーカスはフェリスには弱い。
いつも強く賢く優しいフェリスを、ルーカスは昔から兄のように慕っていた。
「ごめん、ごめん、ちょっと脅しすぎたかな?僕は争うつもりはないし、仲良くしてほしいと思ってるから…」
フェリスは少し困った顔で微笑んで言うと、
「はい、それはもちろん分かっています。
僕もフェリス殿下と争いたくなんてありません。負ける気しかしませんよ」
と、ルーカスは冗談ぽく笑って言った。
「ははっ、買い被りすぎだ。それじゃあエレナを頼んだよ」
そう言うと、フェリスは公爵邸を後にした。
そう言って、幼い子のようにただ泣き続けるエレナの肩を、優しく抱きながらフェリスは馬車へ向かった。
馬車の中で散々泣いたエレナは目が赤く腫れて、家に着いたエレナのその様子を見たルーカスが驚いて問い詰めると、また思い出して泣き出してしまった。
いったんフェリスとルーカスはエレナを部屋に送り、フェリスは部屋の外で涙の理由をルーカスに話した。
「…なんてことを!殿下!姉上をこんなに泣かせるなんて!…許せない!
何やってんだよ!
そんなよくわからない女なんかとっ!
それに、姉上の魔法の悪い噂をそのままにしておくなんて!約束と違うじゃないか‼︎
だから言ったんだ……やっぱりあの時研究所へ行かせるべきだった…
あの時2人を引き離しておけばこんな事には…
クソッ!俺が甘い顔なんてしたせいだ…!」
両拳を脚の横で強く握りしめると、ルーカスは険しい顔で、エレナに聞こえないよう小さく怒鳴る。
「ルーカス、落ち着いて。
兄上が本当に申し訳ない。何でカトリーナとそんなことになってるのか、僕の方から聞いておくよ。
事と次第によっては、僕だって許さない…
だけど、話を聞いてみないことにはまだ何とも言えないから…
だから今日はすまないが、ルーカスがエレナについていて貰えるかな」
「もちろんだよ。
はぁ…せめてフェリス殿下が婚約者であってくれればなぁ…俺もこんなに苦しくないのに」
「…あれ?そういえばルーカス、いつも自分のこと僕って言ってなかった?」
「あっ、いや、何でもない。間違えただけだよ、気にしないで?」
「ふふっ、年頃だからね。どっちでも君に似合うと思うよ。
それより、エレナを僕の婚約者にだなんて、嬉しいけど滅多なことを言ってはいけないよ?
君の家は由緒正しい歴史ある公爵家だ。
こちらの家門に連なる勢力は国を二分するほどの大きさ。
それが、第一王子勢力なんだから、その公爵家の令嬢が第二王子の僕の婚約者になってくれることなんてないんだからね?
特にこの家の家督を継ぐ君がそんなこと言ってるのがわかったら、その隙をつかれて国を揺るがすような内紛だって起き兼ねないんだ。
どこで聞かれているかもわからないんだから、気をつけないと、ね?ルーカス?」
教え諭すようにフェリスは真面目な顔で言った。
「は、はい。すみません」
ルーカスはフェリスには弱い。
いつも強く賢く優しいフェリスを、ルーカスは昔から兄のように慕っていた。
「ごめん、ごめん、ちょっと脅しすぎたかな?僕は争うつもりはないし、仲良くしてほしいと思ってるから…」
フェリスは少し困った顔で微笑んで言うと、
「はい、それはもちろん分かっています。
僕もフェリス殿下と争いたくなんてありません。負ける気しかしませんよ」
と、ルーカスは冗談ぽく笑って言った。
「ははっ、買い被りすぎだ。それじゃあエレナを頼んだよ」
そう言うと、フェリスは公爵邸を後にした。
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