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5 惨殺死体が!
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なんて堂々とカッコつけて言っているキラキラ殿下には申し訳ないけど言わせてもらおう。
「ラートウィンクルム殿下」
あ、あまりにもくだらない話に苛ついて低い声が出てしまった。その私の声に殿下はビクリと反応して、どもった声を返す。
「な、なんだ」
「そもそもですね。私はとても忙しく満足に学園に通えない日々を送って来たわけですよ。なので、そのアルレット伯爵令嬢様をいじめる暇なんてないのですよ」
「そんなもの周りの奴に命令したのだろう!」
「殿下。私は王命で殿下の婚約者として充てがわれました。この婚約の意味はおわかりですよね」
「はん?そんなもの暴力を振るうしか脳のない貴様に役目を与える為だろ?しかし、ミエーヌは本物の聖女だ。貴様のような偽物ではない!」
へぇ。そういう設定なの。それなら王位争奪戦にも参戦できる可能性があるということか。
「本物か偽物の話は私はしておりません。この婚約の意味を問うているのです」
「意味などありはしない!」
「そうですか。それでは殿下は公爵を名乗ることはできなさそうですね。」
「何を言っている!」
「殿下。あの王家直轄領の場所はある意味私の為に用意された土地なのですよ。ですから、殿下はアルレット伯爵家に婿に入られるつもりなのですね。と言っているのです」
「うるさい!うるさい!貴様など国外追放などぬるい。竜の谷に行け!衛兵!この女を今すぐ竜の谷へ連れて行け!」
そんなラートウィンクルム殿下の命によって貴族籍を剥奪され、竜の谷に連れて来られたのだ。
あれから、2年がたった。私は殿下に死に場所として竜の谷に連れて来られたけれども、未だに生きている。それもドラゴン達と良好な関係を築いている。
人の立ち入らぬこの場所では彼らがあれからどの様になったかはわからないけれど、王家直轄領をラートウィンクルム殿下が任されることはないことは明白だ。
あそこにはダンジョンが存在し、数年に一度スタンピードが発生する問題領なのだ。
国王は頭の痛い領地を私に押し付けようとしていたのだ。残念ながら自分の息子の所為で思惑を潰されてしまった。
聖女かなんだか知らないけれど、彼女も今の私にとっては関係のない人物になった······はず。
重い腰を上げ立ち上がる。視界の端には黒色になった髪が映り込む。懐かしい色だ。煙管を吸い、紫煙を吐き出す。いい加減戻るかと土を払い我が家に入った。
多分まだ目が覚めないであろう人物の様子を見に寝室の扉を開けると、惨殺死体が!
床には血の海が広がり包帯だらけの人物が横たわっていた。なぜ、動いた。いや、この状態で動けるのがおかしい。
どうしようかと考え、煙管を咥える。せっかく止血をしたのに、面倒だからこのまま死なせておくか、いや、それは駄目だ呪いが蔓延してしまう。
血の海に近づいて行き、赤い髪の男の頭のところにしゃがみ込む。
「剣士さん。何故動いてしまったの?おかげで部屋が血だらけになってしまったじゃない」
そう言って、紫煙を馬鹿に吹き付ける。え?普通はけが人の心配をすべきじゃないかって?誰がそんな心配などするものか。この家は私がこだわり抜いて用意した家なのに、それを血で汚されるなんて腹が立つじゃない?
それに治療した行為を無駄にする行動。よく騎士たちにヤられて、耳元で呪いの様に文句を言い続けたら、皆さん大人しく過ごしてくれるようになりましたよ。
私の声が聞こえたのか、目を開けその瞳が私を捉えた。
あー。これでよく生きていられるなぁ。眼球まで黒く濁っている。琥珀色の瞳が浮いているように見えて気味が悪い。
「ねぇ。死にたいのなら、生き物がいないところで死んでくれる?それとも剣士さんはその呪いを周りにぶちまけたい?」
私の言葉に大きく目をしている。何に驚くことがあったのだろう。
「生きたいのなら、勝手な行動をせずに怪我が治るまで私の言うことを聞いて欲しい」
私の行為を無駄にしてくれた人物は大人しくしてくれた。ただ、私が浮遊の魔術で体を持ち上げたときは抵抗したけど、無言で睨みつければ抵抗はしなくなった。
流石に私が成人男性を持ち上げることに羞恥心が出てきたのだろうか。耳まで真っ赤になっていた。だったら大人しくしてほしかった。
「もう少し眠って体を休めた方がいい」
そう言って私は眠りの魔術施す。多くの騎士たちを治療してきた経験から普通ならあの状態では2、3日は目が覚めないであろうと油断していた。
多分、あの呪いが体を蝕み目が覚めてしまったのだろう。どういう状態か呪われたことのない私には計り知れないが、相当体に負担がかかっているのだろう。
「ラートウィンクルム殿下」
あ、あまりにもくだらない話に苛ついて低い声が出てしまった。その私の声に殿下はビクリと反応して、どもった声を返す。
「な、なんだ」
「そもそもですね。私はとても忙しく満足に学園に通えない日々を送って来たわけですよ。なので、そのアルレット伯爵令嬢様をいじめる暇なんてないのですよ」
「そんなもの周りの奴に命令したのだろう!」
「殿下。私は王命で殿下の婚約者として充てがわれました。この婚約の意味はおわかりですよね」
「はん?そんなもの暴力を振るうしか脳のない貴様に役目を与える為だろ?しかし、ミエーヌは本物の聖女だ。貴様のような偽物ではない!」
へぇ。そういう設定なの。それなら王位争奪戦にも参戦できる可能性があるということか。
「本物か偽物の話は私はしておりません。この婚約の意味を問うているのです」
「意味などありはしない!」
「そうですか。それでは殿下は公爵を名乗ることはできなさそうですね。」
「何を言っている!」
「殿下。あの王家直轄領の場所はある意味私の為に用意された土地なのですよ。ですから、殿下はアルレット伯爵家に婿に入られるつもりなのですね。と言っているのです」
「うるさい!うるさい!貴様など国外追放などぬるい。竜の谷に行け!衛兵!この女を今すぐ竜の谷へ連れて行け!」
そんなラートウィンクルム殿下の命によって貴族籍を剥奪され、竜の谷に連れて来られたのだ。
あれから、2年がたった。私は殿下に死に場所として竜の谷に連れて来られたけれども、未だに生きている。それもドラゴン達と良好な関係を築いている。
人の立ち入らぬこの場所では彼らがあれからどの様になったかはわからないけれど、王家直轄領をラートウィンクルム殿下が任されることはないことは明白だ。
あそこにはダンジョンが存在し、数年に一度スタンピードが発生する問題領なのだ。
国王は頭の痛い領地を私に押し付けようとしていたのだ。残念ながら自分の息子の所為で思惑を潰されてしまった。
聖女かなんだか知らないけれど、彼女も今の私にとっては関係のない人物になった······はず。
重い腰を上げ立ち上がる。視界の端には黒色になった髪が映り込む。懐かしい色だ。煙管を吸い、紫煙を吐き出す。いい加減戻るかと土を払い我が家に入った。
多分まだ目が覚めないであろう人物の様子を見に寝室の扉を開けると、惨殺死体が!
床には血の海が広がり包帯だらけの人物が横たわっていた。なぜ、動いた。いや、この状態で動けるのがおかしい。
どうしようかと考え、煙管を咥える。せっかく止血をしたのに、面倒だからこのまま死なせておくか、いや、それは駄目だ呪いが蔓延してしまう。
血の海に近づいて行き、赤い髪の男の頭のところにしゃがみ込む。
「剣士さん。何故動いてしまったの?おかげで部屋が血だらけになってしまったじゃない」
そう言って、紫煙を馬鹿に吹き付ける。え?普通はけが人の心配をすべきじゃないかって?誰がそんな心配などするものか。この家は私がこだわり抜いて用意した家なのに、それを血で汚されるなんて腹が立つじゃない?
それに治療した行為を無駄にする行動。よく騎士たちにヤられて、耳元で呪いの様に文句を言い続けたら、皆さん大人しく過ごしてくれるようになりましたよ。
私の声が聞こえたのか、目を開けその瞳が私を捉えた。
あー。これでよく生きていられるなぁ。眼球まで黒く濁っている。琥珀色の瞳が浮いているように見えて気味が悪い。
「ねぇ。死にたいのなら、生き物がいないところで死んでくれる?それとも剣士さんはその呪いを周りにぶちまけたい?」
私の言葉に大きく目をしている。何に驚くことがあったのだろう。
「生きたいのなら、勝手な行動をせずに怪我が治るまで私の言うことを聞いて欲しい」
私の行為を無駄にしてくれた人物は大人しくしてくれた。ただ、私が浮遊の魔術で体を持ち上げたときは抵抗したけど、無言で睨みつければ抵抗はしなくなった。
流石に私が成人男性を持ち上げることに羞恥心が出てきたのだろうか。耳まで真っ赤になっていた。だったら大人しくしてほしかった。
「もう少し眠って体を休めた方がいい」
そう言って私は眠りの魔術施す。多くの騎士たちを治療してきた経験から普通ならあの状態では2、3日は目が覚めないであろうと油断していた。
多分、あの呪いが体を蝕み目が覚めてしまったのだろう。どういう状態か呪われたことのない私には計り知れないが、相当体に負担がかかっているのだろう。
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