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24 何をメロメロに?
「ちょっと遠出をして大物と戦わなければならなくなってね。戦闘服を作って欲しいの。今までは全部白色だから目立つでしょ?だから、目立たない色の戦闘服をお願いしたいの」
『良いぞ。そうじゃのぉ・・・。黒の糸と白の糸と赤の糸がよいのぅ。あと、ワリスノールの葉とダキアの玉とオーフェリアの鉱石じゃ』
変わったモノを言われたダキアの玉。あるのはある。あれはなにも効能がないだたの赤い石だ。ダキア地方で取れるただの赤い石。装飾品に用いられるものだ。
不思議に思いながらもテーブルの上に出す。
「糸が足りないようなら、新しく紬ぐ」
『大丈夫じゃ。足りるのじゃ』
笑いながらフェーリトゥールはそう言っているが、その笑いが私にはニヤニヤと何か悪巧みをしている顔をしているように思えてしまった。
「フェーリトゥール。何かおかしなことを考えている?」
『銀の、任せるのじゃ!』
自信満々に小さな胸を張って言うフェーリトゥールに私は不安が頭をよぎってしまう。
『さぁさぁ、歌うのじゃ!絶対的強者の歌がよいのぅ』
なにそれ!勇者王の歌を歌っちゃうぞ。いや、あれはあれで恥ずかしい。
少し考えて、声に魔力を乗せる。
絶対的強者なんて居るはずはない。いるとすれば物語の中のみ。大きすぎる力は強敵者がいるときは持て囃される。だけど、平和な時はそのような力は人々の心に不安を与え脅威となるため、その者は権力者によって排除される。
物語の勇者と呼ばれた者達のその後の末路は描かれないことが多い。彼らは強敵を排除した後どうなったのか。物語は記さず、歴史に埋もれた彼らの末路は闇の中。
私が「白銀の聖女」という者に祀り上げられていたことから抜け出すにはいい機会だったのだろう。あのまま良いように使われていれば、きっとそのうち私に剣を向けられていただろうから。
フェーリトゥールによって作られた衣服が私の目の前にある。これはちょっとない。今までフェーリトゥールのセンスを疑ったことはなかった。だけどこれはない。
「フェーリトゥール。これは戦闘服といわないよね」
『銀の。よく見てみるとよい。見慣れた軍服じゃろ?』
確かに見覚えのある軍服であることは認める。私の目の前にいる人物をみる。上着のデザインが全く同じだ。ただ色が黒にも赤にも見える布地となっている。問題は······
「フェーリトゥール。なぜ、短パンニーハイになった?」
『銀の。以前、絶対領域について説明してくれたではないか』
私は頭を抱えてしまった。したよ確かにそんな話をした記憶はある。だけどそれは知り合いが奇抜なメイド服でご主人様をメロメロにしたいと言っていたので、フェーリトゥールに頼んで作ってもらったことはあった。ミニスカニーハイのメイド服。
だけど、私の戦闘服に取り入れないでほしかった。私に何をメロメロにしろというのだ。魔物か?
まぁ、上着が膝までの長さまであるからいいのか?いや、このデザインだとあまり関係がないな。
『銀の、妾が作った服を着てくれぬのか?』
フェーリトゥールが悲しそうな顔をしながら私の顔を覗きこんできた。これはフェーリトゥールの好意だ。喜んで受け取らなければならない。··········くっ。前世でも短パンなんて子供の頃しか着たことがない。
「フェーリトゥール。あ、ありがとう。嬉しいよ」
私は心の中で涙を流しながらお礼を言う。歓喜の涙ではない羞恥の涙だ。
『そうじゃろ。そうじゃろ』
小さい体をえっへんとそらしながら、偉そうにしているその姿を見て、私は諦めの境地で項垂れてしまった。
項垂れている私の前でニヤリと笑っているフェーリトゥールがいることを私は知る由もなかった。
私はご飯を作ると言って席を立つ。アレを着るしか私には選択肢がないのだろうかと考えながら、フラフラと台所へ向かっていく。
アレを着ないとなると、聖女然とした清楚な軍服しかない。しかし、それを着てしまうと私が白銀の聖女と言いふらしながら歩いているようなものだ。
それに今回、領地に向かう前に王都によっておきたい。どうしても確認しておかなければならないことがある。
着るしかないのかなぁ。
翌朝、眠りと覚醒の間の微睡みの中、私は今日はここを立たなければならないなぁと思いながら寝返りを打とうとするが、体が動かない?
あれ?遠征中だった?
遠征中はテント生活だった。テントの外まで転がることが多発したので、女性騎士に捕獲されて寝かされていたのだ。
目を開けると·····赤い色が視界を占める。どうやら私を捕獲していたのは、女性騎士ではなく、居候だった。
おかしい。昨日も治癒の陣を常時発動しながら長椅子で眠ったはず。
私の寝相はどこまで悪いのだろう。いや、流石に2日続けてはおかしすぎる。何がおこっているのだろう。
『良いぞ。そうじゃのぉ・・・。黒の糸と白の糸と赤の糸がよいのぅ。あと、ワリスノールの葉とダキアの玉とオーフェリアの鉱石じゃ』
変わったモノを言われたダキアの玉。あるのはある。あれはなにも効能がないだたの赤い石だ。ダキア地方で取れるただの赤い石。装飾品に用いられるものだ。
不思議に思いながらもテーブルの上に出す。
「糸が足りないようなら、新しく紬ぐ」
『大丈夫じゃ。足りるのじゃ』
笑いながらフェーリトゥールはそう言っているが、その笑いが私にはニヤニヤと何か悪巧みをしている顔をしているように思えてしまった。
「フェーリトゥール。何かおかしなことを考えている?」
『銀の、任せるのじゃ!』
自信満々に小さな胸を張って言うフェーリトゥールに私は不安が頭をよぎってしまう。
『さぁさぁ、歌うのじゃ!絶対的強者の歌がよいのぅ』
なにそれ!勇者王の歌を歌っちゃうぞ。いや、あれはあれで恥ずかしい。
少し考えて、声に魔力を乗せる。
絶対的強者なんて居るはずはない。いるとすれば物語の中のみ。大きすぎる力は強敵者がいるときは持て囃される。だけど、平和な時はそのような力は人々の心に不安を与え脅威となるため、その者は権力者によって排除される。
物語の勇者と呼ばれた者達のその後の末路は描かれないことが多い。彼らは強敵を排除した後どうなったのか。物語は記さず、歴史に埋もれた彼らの末路は闇の中。
私が「白銀の聖女」という者に祀り上げられていたことから抜け出すにはいい機会だったのだろう。あのまま良いように使われていれば、きっとそのうち私に剣を向けられていただろうから。
フェーリトゥールによって作られた衣服が私の目の前にある。これはちょっとない。今までフェーリトゥールのセンスを疑ったことはなかった。だけどこれはない。
「フェーリトゥール。これは戦闘服といわないよね」
『銀の。よく見てみるとよい。見慣れた軍服じゃろ?』
確かに見覚えのある軍服であることは認める。私の目の前にいる人物をみる。上着のデザインが全く同じだ。ただ色が黒にも赤にも見える布地となっている。問題は······
「フェーリトゥール。なぜ、短パンニーハイになった?」
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だけど、私の戦闘服に取り入れないでほしかった。私に何をメロメロにしろというのだ。魔物か?
まぁ、上着が膝までの長さまであるからいいのか?いや、このデザインだとあまり関係がないな。
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フェーリトゥールが悲しそうな顔をしながら私の顔を覗きこんできた。これはフェーリトゥールの好意だ。喜んで受け取らなければならない。··········くっ。前世でも短パンなんて子供の頃しか着たことがない。
「フェーリトゥール。あ、ありがとう。嬉しいよ」
私は心の中で涙を流しながらお礼を言う。歓喜の涙ではない羞恥の涙だ。
『そうじゃろ。そうじゃろ』
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項垂れている私の前でニヤリと笑っているフェーリトゥールがいることを私は知る由もなかった。
私はご飯を作ると言って席を立つ。アレを着るしか私には選択肢がないのだろうかと考えながら、フラフラと台所へ向かっていく。
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