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46 アリアが名前を呼んでくれたら
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走馬灯を見掛た瞬間、呼吸が楽になった。視界に赤い色が見えることから、彼に助けられたようだ。はぁーと大きく息を吸い込み吐き出す。呼吸ができるというのは素晴らしい。
「レイラ!いつも言っている事だけど騎士の隊服じゃ無い時は立ち止まってと言っているよね」
私の目の前の甲冑を着た騎士は聖騎士団に居た頃に、とてもとてもお世話になったレイラだ。そのレイラにプレスされるのは今回だけじゃなく幾度かある。そのたびに圧死の危機に陥るのだけど。
「リーゼ様·····うっぐ·····申し訳ございません」
フルフェイスの兜を被っているためよく分からないがレイラは泣いているようだ。レイラは石畳に跪き私の手を取る。
「私が····私があの時お側に居れば竜の谷などに「レイラ」」
レイラの言葉を止める。レイラは何も悪くない。謝ることは何もない。
「レイラが謝る事はない。少しレイラに聞いてもいい?」
「どのような事でしょうか?あのクソ聖女を連れてこいと言われれば一個中隊を引き連れて捕まえて来ます」
いや、そんな面倒なことは言わない。それに聞きたい事と言ったのに。
「それは必要ない。今、何が起こっているのか教えて欲しい。簡潔に。ただ簡潔に」
大切なことだから2回言って念押しをした。そう言わないと一から百まで説明しだすのだ。時間が惜しい。
「エルグランのスタンピードが起こりました。あと30分程で王都にまで魔物の大群が押し寄せてきます」
は?あと30分で魔物の大群が?あの配備で向かい討てる?ないない。有り得ない。それもエルグランの魔物を?
いやでも····エルグラン?
「まだ、エルグランのスタンピードに至るには早い」
「はい、我々も油断しておりまして、まさかエルグランだとは思いもよらず、全てが後手後手になってしまいまして、王都にまで進行を許してしまいました」
なんてことをエルグランの魔物がここまで来てしまったということはその間にあった村や街は·····だからか、だから皆必死になって逃げてきていたのだ。
「今回の指揮を取っているものは誰?」
「聖女ミエーヌ······クソ聖女です」
クソ聖女?·····あのアルレット伯爵令嬢か。しかし、愚兄の話では敵わないと分かれば放置した聖女たちだ。当てには出来ない。あと30分、あまりにも時間が無さすぎる。はぁ、夢見の悪さのこともある。仕方がないか。
「ヴァザルデス師団長とクァドーラ魔術師長はどこです?」
彼らが居れば対応できるはずだ。しかし、レイラは目をキョロキョロさせている。何か問題があるのだろうか。まさか王都に居ないとか?
「そ、それがヴァザルデス師団長とクァドーラ魔術師長はクソ聖女の側に侍っていまして」
お前ら攻略対象だったのか!使えない!肝心な時に役に立たなくてどうする!それで、魅了されていて使い物にならないということか。
「リーゼ様、ご心配されなくても私が死しても王都を護ってみせます。私が命を落とせば、リーゼ様のお側に寄り添ってよろしいでしょうか?」
それは怖いからやめて欲しい。レイラは確かに私の世話人兼護衛を任されていただけあって強いけれど、ヴァザルデス師団長と張り合えるかと言えば否だ。
「聖騎士団は解散されたと聞いたけど、王都にはどれぐらいいる?」
「元の小隊名で言えば1から6と9から11まで揃っています。あと衛生小隊もです」
第1から第4小隊がいるならいけるか。あとハルド率いる衛生小隊がいるならなんとかなる。
「レイラ、貴女は自分の配置場所に戻りなさい。仕方がないので私が行きましょう。あと、私がいると言いふらさないで、私はここには居ないはずだから。特にラートウィンクルム殿下の耳には入れないように」
「はっ!これが終われば、このレイラはリーゼ様のお側に「来なくていいいから、貴女は貴女のやるべきことをしなさい」」
そう言って私は私を抱えている彼の腕を叩く。あまりにも時間がない。
彼は私の意を汲み取って、気配を消して屋根の上に飛び乗った。
私は探知の魔術を王都一帯に張り巡らす。ヴァザルデス師団長とクァドーラ魔術師長の気配を探る。いた!王城の方にいる。
馬鹿なの?もうすぐ魔物が攻めて来るというのに王城で何をしているというのか。まさか王城にいて指揮が取れると思っているのだろうか。
ギリッ。思わず煙管を噛んでしまった。
「アリア、どうするんだ?」
「気配を消したまま、王城の方まで行って欲しい。そこから、師団長と魔術師長を確保して、戦場に投げ込む。私の体格だと師団長を捕獲出来ないから、師団長の方をお願いしたい」
師団長は体格がとてもいい。私では捕獲できない。なので彼に頼んだのだけど、機嫌が悪い?仮面の被っているのでよく分からない。だけど、イライラとした感じが発せられている。
嫌なら私一人でいくか。少し手荒になるけど、仕方がない。
彼の腕から降りようとするけど、体が固定されているように降りれない。
「アリアが」
なに?
「アリアが名前を呼んでお願いって言ってくれたら手伝う」
なにそれ、意味がわからない。
___________
閑話
「この討伐戦が終わったら私は騎士を辞めるからな!」
「副隊長、やめないでくださいよ」
「そうですよ。誰が隊長の面倒を見るのですか?」
「ふん!隊長など、その辺に転がせておけばいい」
「いやいや、仕事をしてもらわないと」
「隊長を動かせるのは副隊長だけなんですよ」
「隊長ならこころよく辞表を受けとってくれる」
「駄目です」
「駄目です」
「何故だ!私がリーゼ様の側に居ない間にあのような訳のわからない者に私の場所を取られるなんて有り得ない!絶対に有り得ない」
「恋人じゃないですか?」
「旦那じゃないですか?」
「私がリーゼ様の夫になる!」
「やめて下さい。隊長が拗ねるじゃないですか」
「やめて下さい。隊長が異常行動をしだすじゃないですか」
「隊長がなんだ!リーゼ様の隣は私がいるべきところなのだ!」
「「はぁ」」(隊長···隊長の想いが全く伝わっていないッス)
「レイラ!いつも言っている事だけど騎士の隊服じゃ無い時は立ち止まってと言っているよね」
私の目の前の甲冑を着た騎士は聖騎士団に居た頃に、とてもとてもお世話になったレイラだ。そのレイラにプレスされるのは今回だけじゃなく幾度かある。そのたびに圧死の危機に陥るのだけど。
「リーゼ様·····うっぐ·····申し訳ございません」
フルフェイスの兜を被っているためよく分からないがレイラは泣いているようだ。レイラは石畳に跪き私の手を取る。
「私が····私があの時お側に居れば竜の谷などに「レイラ」」
レイラの言葉を止める。レイラは何も悪くない。謝ることは何もない。
「レイラが謝る事はない。少しレイラに聞いてもいい?」
「どのような事でしょうか?あのクソ聖女を連れてこいと言われれば一個中隊を引き連れて捕まえて来ます」
いや、そんな面倒なことは言わない。それに聞きたい事と言ったのに。
「それは必要ない。今、何が起こっているのか教えて欲しい。簡潔に。ただ簡潔に」
大切なことだから2回言って念押しをした。そう言わないと一から百まで説明しだすのだ。時間が惜しい。
「エルグランのスタンピードが起こりました。あと30分程で王都にまで魔物の大群が押し寄せてきます」
は?あと30分で魔物の大群が?あの配備で向かい討てる?ないない。有り得ない。それもエルグランの魔物を?
いやでも····エルグラン?
「まだ、エルグランのスタンピードに至るには早い」
「はい、我々も油断しておりまして、まさかエルグランだとは思いもよらず、全てが後手後手になってしまいまして、王都にまで進行を許してしまいました」
なんてことをエルグランの魔物がここまで来てしまったということはその間にあった村や街は·····だからか、だから皆必死になって逃げてきていたのだ。
「今回の指揮を取っているものは誰?」
「聖女ミエーヌ······クソ聖女です」
クソ聖女?·····あのアルレット伯爵令嬢か。しかし、愚兄の話では敵わないと分かれば放置した聖女たちだ。当てには出来ない。あと30分、あまりにも時間が無さすぎる。はぁ、夢見の悪さのこともある。仕方がないか。
「ヴァザルデス師団長とクァドーラ魔術師長はどこです?」
彼らが居れば対応できるはずだ。しかし、レイラは目をキョロキョロさせている。何か問題があるのだろうか。まさか王都に居ないとか?
「そ、それがヴァザルデス師団長とクァドーラ魔術師長はクソ聖女の側に侍っていまして」
お前ら攻略対象だったのか!使えない!肝心な時に役に立たなくてどうする!それで、魅了されていて使い物にならないということか。
「リーゼ様、ご心配されなくても私が死しても王都を護ってみせます。私が命を落とせば、リーゼ様のお側に寄り添ってよろしいでしょうか?」
それは怖いからやめて欲しい。レイラは確かに私の世話人兼護衛を任されていただけあって強いけれど、ヴァザルデス師団長と張り合えるかと言えば否だ。
「聖騎士団は解散されたと聞いたけど、王都にはどれぐらいいる?」
「元の小隊名で言えば1から6と9から11まで揃っています。あと衛生小隊もです」
第1から第4小隊がいるならいけるか。あとハルド率いる衛生小隊がいるならなんとかなる。
「レイラ、貴女は自分の配置場所に戻りなさい。仕方がないので私が行きましょう。あと、私がいると言いふらさないで、私はここには居ないはずだから。特にラートウィンクルム殿下の耳には入れないように」
「はっ!これが終われば、このレイラはリーゼ様のお側に「来なくていいいから、貴女は貴女のやるべきことをしなさい」」
そう言って私は私を抱えている彼の腕を叩く。あまりにも時間がない。
彼は私の意を汲み取って、気配を消して屋根の上に飛び乗った。
私は探知の魔術を王都一帯に張り巡らす。ヴァザルデス師団長とクァドーラ魔術師長の気配を探る。いた!王城の方にいる。
馬鹿なの?もうすぐ魔物が攻めて来るというのに王城で何をしているというのか。まさか王城にいて指揮が取れると思っているのだろうか。
ギリッ。思わず煙管を噛んでしまった。
「アリア、どうするんだ?」
「気配を消したまま、王城の方まで行って欲しい。そこから、師団長と魔術師長を確保して、戦場に投げ込む。私の体格だと師団長を捕獲出来ないから、師団長の方をお願いしたい」
師団長は体格がとてもいい。私では捕獲できない。なので彼に頼んだのだけど、機嫌が悪い?仮面の被っているのでよく分からない。だけど、イライラとした感じが発せられている。
嫌なら私一人でいくか。少し手荒になるけど、仕方がない。
彼の腕から降りようとするけど、体が固定されているように降りれない。
「アリアが」
なに?
「アリアが名前を呼んでお願いって言ってくれたら手伝う」
なにそれ、意味がわからない。
___________
閑話
「この討伐戦が終わったら私は騎士を辞めるからな!」
「副隊長、やめないでくださいよ」
「そうですよ。誰が隊長の面倒を見るのですか?」
「ふん!隊長など、その辺に転がせておけばいい」
「いやいや、仕事をしてもらわないと」
「隊長を動かせるのは副隊長だけなんですよ」
「隊長ならこころよく辞表を受けとってくれる」
「駄目です」
「駄目です」
「何故だ!私がリーゼ様の側に居ない間にあのような訳のわからない者に私の場所を取られるなんて有り得ない!絶対に有り得ない」
「恋人じゃないですか?」
「旦那じゃないですか?」
「私がリーゼ様の夫になる!」
「やめて下さい。隊長が拗ねるじゃないですか」
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