番とは呪いだと思いませんか―聖女だからと言ってツガイが五人も必要なのでしょうか―

白雲八鈴

文字の大きさ
520 / 893
25章-3 冬期休暇-火種は既に落とされていた

507

しおりを挟む

「ふむ。できなくもないが、そなたの魔力量を一度に放出することは無理であるぞ」

 リブロ神は高魔力者であるユーフィアの魔力にいくら強化しようともその多さに魔脈は耐えれないと言った。

「え?そこまではいいです。ただ、もう少しと思うことが最近よくあるので」

 ユーフィアもそこまでは望んでいないようだった。

「いいだろう。そなたに魔道を極める道を指し示そうぞ」

 そう言ってリブロ神は姿を消した。····いや、ちょっと待って欲しい。結局何も解決していないのではないのだろうか。そう思ったシェリーは思わず舌打ちをする。

「何をしに出てきたのでしょう」

「あ?お前が以前脅したからだろう?」

 シェリーの問いにクロードがリブロ神が言った言葉をシェリーの脅しに耐えれなかったと解釈したのだ。間違いではない。間違いではないが、それは失敬なテロス神を脅しただけで、リブロ神を脅したわけではない。

「あの?先程言っていた高魔力が必要だという件ですが、永久駆動の魔力発生装置を作れますよ?」

 その言葉にクロードとシェリーがユーフィアに視線を向ける。永久駆動の魔力発生装置。それは夢のようなものではないのだろうか。

「えーっとですね。構想は元々ありまして、こう六角形の「ユーフィアさん簡単に説明をお願いします」···はい」

 ユーフィアはその永久駆動の魔力発生装置の説明をしだそうとしているところをシェリーがぶった斬る。ユーフィアが喜々として説明をしだすと一から説明をしだすので長いのだ。

「魔道具を作ったというところまでいったのですが、一気に大量の魔力を送り込むことで加速回転させるというものです。最高速度まで行くとそこから停止することなく回転し、なんと!魔力を発生し続けるのですよ!」

 それで、一気に魔力を放出することが必要だったのだ。恐らくそんなことで手つかずになっている魔道具の数々があるのだろう。

「そういうことなので、国からユーフィアさんに魔道具の作成依頼を出せば全て解決です」

 シェリーはイーリスクロムの方に視線を向けてみるが、座っていたはずのイーリスクロムの姿が無かった。いや、ユーフィアの側に居たはずのクストの姿もいつの間にか消えていた。
 どこにいるのか、シェリーからはローテーブルの影に隠れて見えないが、二人共床にうずくまっていた。

 いや、シェリーとクロードとユーフィア以外の者達が床に跪いているのだ。その中でもカイルはリブロ神の姿が消え去って直ぐにシェリーの側に戻っていた。流石シェリーの側にいて何度も神に出会っていれば、立ち直るのも早くなっているようだ。

「なんで、この前の時もそうだったけれど、神がこの地に姿を顕すのかなぁ。普通は有り得ないことだよ?」

 若干震えながらイーリスクロムは先程座っていた席にヨタヨタと戻っていく。そして、クストはユーフィアの側に行き、加護を得られて良かったなと尻尾を大いに振って喜んでいる。それとは正反対にグレイはシェリーに全然動けなかったと、三角の耳がへにょんと垂れ謝っていた。

「あ?神如きにびびんな。肩組んで酒を飲むぐらいの気概でいけ」

 クロードは神の前ではその圧倒的な力に地面に膝をつきこうべを垂れるしかない者達に肩を組んで酒でも飲めと言う。選ばれし者ではない者達にとっては厳しい言葉だ。しかし、クロードの言い分だと本当に獣王神というものと酒飲み友達のようだ。

「爺様、無理です」

 クロードの言葉にクストが反論する。それも致し方がない。

「ああ?何言ってんだ?クスト。お前、獣王神から加護を得てるだろ?酒ぐらい捧げろ」

「え?」

「中途半端だが、獣化できてるのは加護を得ているからだ。火酒がいい。これは良いって気にっていたからな」

「獣王神から加護を?」

 困惑気味なクストを一瞥したクロードはイーリスクロムに視線を向ける。

「若王。有り得ないということはない。きちんと現実を受け入れろ。そして、己のやるべきことを判断しろ。この国の一番の敵はなんだ?それは何処にいる?国の外側か内側か。使えるものは何でも使え、ヴァレーニのようにずる賢く生きろ」

 クロードはそれの言葉を残して突然消えた。もうこの場には必要ないとい言わんばかりに世界からの強制解除の横槍が入ったのだ。

 この国を長年支えてきたクロードの言葉だ。とても重みのある言葉だ。その言葉に今は誰も座っていないソファに向かってイーリスクロムはこうべを下げていた。

「クロードさんも強制的に還らされたので、私も帰ります」

 シェリーも用が終わったと言わんばかりに立ち上がった。シェリーと共にカイルとグレイも立ち上がる。

「え?結局、僕が呼ばれた意味あった?」

 帰ろうとするシェリーに対してイーリスクロムが呼び止める。結局イーリスクロムは報告を受けたのみだった。ならば、議会で報告という形でも良かったのではないのかと。
 そんなイーリスクロムをシェリーはクソ虫でも見るような視線を向ける。

「クロードさんから色々助言を受けてそれを言うのですか?」

 このクソ狐はいったい何を聞いていたのだろうかという視線だった。
しおりを挟む
感想 49

あなたにおすすめの小説

【完結】婚約者なんて眼中にありません

らんか
恋愛
 あー、気が抜ける。  婚約者とのお茶会なのにときめかない……  私は若いお子様には興味ないんだってば。  やだ、あの騎士団長様、素敵! 確か、お子さんはもう成人してるし、奥様が亡くなってからずっと、独り身だったような?    大人の哀愁が滲み出ているわぁ。  それに強くて守ってもらえそう。  男はやっぱり包容力よね!  私も守ってもらいたいわぁ!    これは、そんな事を考えているおじ様好きの婚約者と、その婚約者を何とか振り向かせたい王子が奮闘する物語…… 短めのお話です。 サクッと、読み終えてしまえます。

目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです

MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。 しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。 フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。 クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。 ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。 番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。 ご感想ありがとうございます!! 誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。 小説家になろう様に掲載済みです。

帰国した王子の受難

ユウキ
恋愛
庶子である第二王子は、立場や情勢やら諸々を鑑みて早々に隣国へと無期限遊学に出た。そうして年月が経ち、そろそろ兄(第一王子)が立太子する頃かと、感慨深く想っていた頃に突然届いた帰還命令。 取り急ぎ舞い戻った祖国で見たのは、修羅場であった。

私を家から追い出した妹達は、これから後悔するようです

天宮有
恋愛
 伯爵令嬢の私サフィラよりも、妹エイダの方が優秀だった。  それは全て私の力によるものだけど、そのことを知っているのにエイダは姉に迷惑していると言い広めていく。  婚約者のヴァン王子はエイダの発言を信じて、私は婚約破棄を言い渡されてしまう。  その後、エイダは私の力が必要ないと思い込んでいるようで、私を家から追い出す。  これから元家族やヴァンは後悔するけど、私には関係ありません。

悪役令嬢はヒロイン(♂)に攻略されてます

みおな
恋愛
 略奪系ゲーム『花盗人の夜』に転生してしまった。  しかも、ヒロインに婚約者を奪われ断罪される悪役令嬢役。  これは円満な婚約解消を目指すしかない!

「優秀な妹の相手は疲れるので平凡な姉で妥協したい」なんて言われて、受け入れると思っているんですか?

木山楽斗
恋愛
子爵令嬢であるラルーナは、平凡な令嬢であった。 ただ彼女には一つだけ普通ではない点がある。それは優秀な妹の存在だ。 魔法学園においても入学以来首位を独占している妹は、多くの貴族令息から注目されており、学園内で何度も求婚されていた。 そんな妹が求婚を受け入れたという噂を聞いて、ラルーナは驚いた。 ずっと求婚され続けても断っていた妹を射止めたのか誰なのか、彼女は気になった。そこでラルーナは、自分にも無関係ではないため、その婚約者の元を訪ねてみることにした。 妹の婚約者だと噂される人物と顔を合わせたラルーナは、ひどく不快な気持ちになった。 侯爵家の令息であるその男は、嫌味な人であったからだ。そんな人を婚約者に選ぶなんて信じられない。ラルーナはそう思っていた。 しかし彼女は、すぐに知ることとなった。自分の周りで、不可解なことが起きているということを。

もう長くは生きられないので好きに行動したら、大好きな公爵令息に溺愛されました

Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユリアは、8歳の時に両親を亡くして以降、叔父に引き取られたものの、厄介者として虐げられて生きてきた。さらにこの世界では命を削る魔法と言われている、治癒魔法も長年強要され続けてきた。 そのせいで体はボロボロ、髪も真っ白になり、老婆の様な見た目になってしまったユリア。家の外にも出してもらえず、メイド以下の生活を強いられてきた。まさに、この世の地獄を味わっているユリアだが、“どんな時でも笑顔を忘れないで”という亡き母の言葉を胸に、どんなに辛くても笑顔を絶やすことはない。 そんな辛い生活の中、15歳になったユリアは貴族学院に入学する日を心待ちにしていた。なぜなら、昔自分を助けてくれた公爵令息、ブラックに会えるからだ。 「どうせもう私は長くは生きられない。それなら、ブラック様との思い出を作りたい」 そんな思いで、意気揚々と貴族学院の入学式に向かったユリア。そこで久しぶりに、ブラックとの再会を果たした。相変わらず自分に優しくしてくれるブラックに、ユリアはどんどん惹かれていく。 かつての友人達とも再開し、楽しい学院生活をスタートさせたかのように見えたのだが… ※虐げられてきたユリアが、幸せを掴むまでのお話しです。 ザ・王道シンデレラストーリーが書きたくて書いてみました。 よろしくお願いしますm(__)m

モブでいたはずの私が、ただひとりに溺愛されるまで

ChaCha
恋愛
乙女ゲームの世界に転生したことに気づいたアイナ・ネルケ。 だが彼女はヒロインではない――ただの“モブ令嬢”。 「私は観る側。恋はヒロインのもの」 そう決めて、治癒魔術科で必死に学び、気合いと根性で仲間を癒し続けていた。 筋肉とビンタと回復の日々。 それなのに―― 「大丈夫だ。俺が必ず君を守る」 野外訓練で命を救った騎士、エルンスト・トゥルぺ。 彼の瞳と声が、治癒と共に魂に触れた瞬間から、世界が静かに変わり始める。 幼馴染ヴィルの揺れる視線。 家族の温かな歓迎。 辺境伯領と学園という“日常の戦場”。 「……好き」 「これは恋だ。もう、モブではいたくない」 守られるだけの存在ではなく、選ばれる覚悟を決めたモブ令嬢と、 現実しか知らない騎士の、静かで激しい溺愛の始まり。 これは―― モブでいたはずの私が、ただひとりに溺愛されるまでの物語。 ※溺愛表現は後半からです。のんびり更新します。 ※作者の好みにより筋肉と気合い…ヤンデレ落ち掛けが踊りながらやって来ます。 ※これは恋愛ファンタジーです。ヒロインと違ってモブは本当に大変なんです。みんなアイナを応援してあげて下さい!!

処理中です...