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25章-4 冬期休暇-悪魔という存在
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しおりを挟む「特異者」
そう言って、オリバーは食事の手を止め、椅子の背もたれに体重を掛け、天井を仰ぎ見る。オリバーが何を見ているのか分からないが、ルークの目にはただの天井でしかない。
そして、オリバーはルークを視界に捉えた。
「我々は生まれながらにして、女神ナディアから加護を与えられている。それ以外に加護が必要か?」
オリバーは元々女神ナディアから力を与えられているのだから、それ以上は必要はないのではとルークに問いかける。確かにルークはナディアの魔眼を持っている。それ以上に何を望むのだと。
「でも、ライターさんが剣神様と魔神様の加護が必要だっていうから」
「ああ、魔剣術のことか。ライターはルークに魔剣術を教えると言ったかね?」
オリバーの問いにルークは首を横に振る。加護が必要だからという理由で教えないと言われているのだ。だから、ルークは加護が欲しいと言葉にした。
「女神ナディアからいただいた力も満足に扱えないルークに、どの神が力を与えるの言うのだね」
オリバーの言葉に痛いところを突かれてしまったと下唇を噛みしめるルーク。
正論だ。オリバーが言っていることは、正に正論だ。未だにルークは魔眼の力を使いこなせていない。
そんな未熟なルークに、神々も力を与えても上手く使えこなせないと思われても仕方がないことだ。
「それに女神ナディアはかなり上位の位に立つ女神だ。それより下位の神々が加護を与えるとなれば、よっぽどのことが無ければ与えることはない」
そう、ここでもライターと同じことを口にするオリバー。白き神が与えた加護の後から、加護を与える神がいるだろうか。女神ナディアが与えた加護の後から、加護を与える神がいるのだろうか。
「でも、父さんは沢山の神々の加護を与えられているってライターさんが····」
オリバーの視線を受けて段々と声が小さくなるルーク。そんなルークを見てオリバーはため息を吐く。まるで、いらないことを教えたなと言わんばかりだ。
「ライターも言っただろうが、こことグローリア国は違う。一番は始祖と崇める赤き魔女の存在だ。彼の魔女の遺産は魔女自身が大陸中を巡って集めてきたアークの遺産だ。それは神々が好む物でもあった」
アークの遺産。これは何を意味するものなのだろうか。所々で出てくるアークという名。
「知っているかね?この大陸の北側には浮遊島は存在するが、南側には存在しない。その大半が空の覇権を巡って、アーク族と竜人族との戦いで地上に落とされたと言われている。その遺産を魔女は集めていたのだよ。なぜだろうね」
確かそんな話をカイルがしていたはずだ。古き時代の話だ。
「グローリア国はそれを御神体として、国中にばらまき神殿を建て、神々が降臨しやすい地上の神界を作り出したのだよ。神々は隣人である。これが一番にグローリア国で教えられることだ。だからこそ魔導王国となれたのだよ。特異者しかり。神魔術を極め、魔剣術を極め、人という枠組みを超え、魔に打ち勝つ。これが、グローリア国の民の姿だ」
だから、お前はナディアの加護があるだけで、十分だろうとオリバーは言っているのだ。そもそも環境が違うと。
「でも、でも、姉さんは?」
ルークはそれでも諦めきれないようだ。今度はシェリーを引き合いに出してきた。シェリーとルークとでは過ごした環境に違いはないと。
「聖女とそれ以外を一緒にするでない」
オリバーはピシャリとルークの言葉に釘を刺す。聖女は世界から選ばれた存在だ。その聖女と有象無象を一緒にするなと。
「ルーちゃんは神様からの加護が欲しいの?」
諦めきれないでいるルークにシェリーが声を掛ける。弟に甘いシェリーだ。それならば、その願いを叶えてあげようと、ルークに意志の確認をする。
「シェリー。ここを甘やかすのはよくない」
シェリーの行動を諫めるオリバー。そこまで、甘やかすとルークのためにはならないと。
しかし、シェリーはニコリと笑う。大丈夫だという意味を持つ笑みだ。
「ルーちゃん。お星さまにお願いをしてみようか。道に迷ったので星の光で指し示してくださいって」
「え?お星さま?」
シェリーはなんだか子供だましのようなことを口にした。まるで、流れ星に願い事をすると叶うなんて言う迷信を子供に教えているようだ。
「ステルラ様はどのような者でも望めば道を示してくださるお方。ほら、外に出て言ってみて」
「星神ステルラか。それはよいだろう。今のルークには相応しい」
オリバーもシェリーの言葉に納得したようだ。星の女神ステルラ。彼女はシェリーに過度な加護を与えた女神であるが、大丈夫だろうか。
シェリーの言葉にルークは食事中だというのに席を立ち、キッチンにある勝手口から外に出た。
シェリーのツガイたちは何事かとルークに視線を向けているが、番であるシェリーがこの場にいるため、視線を送るだけにとどめる。
外に出たルークは満天の星空に向かって、願い事を口にした。
「ステルラ様。僕の道を星の光で指し示してください」
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