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27章 魔人と神人
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ロビンがカイルとシェリーたちを、ミゲルロディアのところまで送ろうかと言ってくれた。
それはありがたいことだとカイルが答えようとしたところで、割り込んでくる声があった。
「それでは、俺は何のために呼ばれたのだ?」
大魔女エリザベートに呼ばれたモルテ王だ。呼ばれた理由はエリザベートの書いた物をシェリーが受け取りたいと言ったためだ。
そのシェリーは意識を失っているため、その判断がカイルには出来ない。しかし、このままシェリーを連れてモルテ国に行くのは違うとは判断できた。
「シェリーには悪いが、俺達はラースに戻らせてもらう。シェリーを休ませるのが優先だ」
カイルはそう言って、シェリーを抱えたまま立ち上がる。もうここには用はないと言わんばかりだ。
「それじゃ。みんなで行こうよ」
ラフテリアが良いことを言ったと、ご機嫌でいう。
「だって~気になるよ。あの新しい子が人と一緒に暮らせているのか」
新しい子というのは、ミゲルロディアのことだ。ラフテリアは魔人が人と共に共存できるのか気になるのだろう。
しかし、これはミゲルロディアからすれば忌避したいことだ。始まりの魔人であるラフテリアは普通の魔人と違い、存在しているだけで、周りの者達を畏怖させてしまうのだ。
そして皆でとラフテリアが言ったということは、モルテ王もと言うことなのだろう。これは流石にミゲルロディアも頭を抱えることが予想できる。
「リア。流石に皆で行くのは迷惑だから、僕が送っていって、直ぐに戻ってくるよ」
そんな突拍子もないラフテリアの言葉をロビンが止める。いきなり訪ねるにしても、何事にも順序というものがある。
ラフテリアの非常識はいつもこのようにして、ロビンに諌められていたことがわかる。
しかし、ロビンの言葉にラフテリアは否定した。
「いや!ロビンと一緒じゃないといや!」
置いていかれるのが嫌だとダダを捏ねる子どものように、ラフテリアはロビンに抱きついたままイヤイヤと首を横に振る。
「別に良いだろう?結局、黒の聖女が起きなければ、俺がここに来た意味がない。それに俺も魔人が治める国が気になるしな」
モルテ王も魔人であるミゲルロディアが治める国がどのようになっているのか、気になるようだ。
「王様もそう言っているのだから、みんなで行けばいいの!」
ラフテリアはそれ以外の選択肢はないと言わんばかりに言い切った。ラフテリアとモルテ王の言葉に、ロビンはどうしたものかと、目の前で立ち上がっているカイルを見上げる。
視線を向けられたカイルにとって、ラフテリアがついて来ようが、モルテ王がついて来ようが、それは些細な問題であって、好きにすれば良いという無言の視線をロビンに返した。
ロビンもカイルの苛ついている態度には理解できたので、苦笑いを浮かべて立ち上がる。番の身の安全が一番であり、ここは己の番を休ませる場所としては認めない。そういう態度だと。
「取り敢えず外に魔人を待たせているから、そこに行こうか」
これは決定事項として決められてしまったのであれば、さっさと行動に移す。それが最善策だと。
「向こうはきっと日が暮れている頃だろうから、あまり遅いと迷惑になるからね」
大陸が違えば、時間も違う。シェリーたちが来たのは日差しのキツイ時間帯だった。ということは昼間に来たということだ。
ロビンに促され、外に出てみれば日は傾いているものの、まだ日の入りには時間がかかりそうだ。
いや、ここは夏のため日の入りには時間がかかるのは当たり前。ということはラース公国では日付が変わろうとしている時間だと予想ができた。
「ああ、待たせたね」
ロビンが声をかけた場所には、一瞬誰も居ないように見えた。だが、視線を地面に向ければ、五体投地しそうなほど、頭を地面に付けて伏している三人の魔人の姿があった。
「ちょっとね色々あって、ラフテリアとこのヒト……も一緒に行くことになったから、少し頑張ってね」
ロビンはモルテ王をどう紹介しようかと迷って、ヒトと言って見たものの、どうみても人と見える要素が、ほとんどない。強いて言うなら、頭が一つで腕が二本、足が二本あるモノだ。
人ではない容姿と異様な気配を発する者に、魔人たちはただただ平伏して、己に敵意を向けられないようにしている。
「俺は人ではないが?」
そんなロビンにモルテ王は突っ込むが、その言葉に何かを言う者はいない。カイルはシェリーだけを見て、ラフテリアはロビンだけをみて、魔人たちは地面を見ている。
ロビンは、苦笑いを浮かべたまま転移陣を展開していった。平伏している魔人たちが入るような大きな転移陣だ。
「転移!」
ロビンの言葉を残して、ここに居た者たちの姿はラフテリア大陸から消え去ったのだった。
_________
補足
ラフテリア大陸とラース公国との時差は6時間程です。
それはありがたいことだとカイルが答えようとしたところで、割り込んでくる声があった。
「それでは、俺は何のために呼ばれたのだ?」
大魔女エリザベートに呼ばれたモルテ王だ。呼ばれた理由はエリザベートの書いた物をシェリーが受け取りたいと言ったためだ。
そのシェリーは意識を失っているため、その判断がカイルには出来ない。しかし、このままシェリーを連れてモルテ国に行くのは違うとは判断できた。
「シェリーには悪いが、俺達はラースに戻らせてもらう。シェリーを休ませるのが優先だ」
カイルはそう言って、シェリーを抱えたまま立ち上がる。もうここには用はないと言わんばかりだ。
「それじゃ。みんなで行こうよ」
ラフテリアが良いことを言ったと、ご機嫌でいう。
「だって~気になるよ。あの新しい子が人と一緒に暮らせているのか」
新しい子というのは、ミゲルロディアのことだ。ラフテリアは魔人が人と共に共存できるのか気になるのだろう。
しかし、これはミゲルロディアからすれば忌避したいことだ。始まりの魔人であるラフテリアは普通の魔人と違い、存在しているだけで、周りの者達を畏怖させてしまうのだ。
そして皆でとラフテリアが言ったということは、モルテ王もと言うことなのだろう。これは流石にミゲルロディアも頭を抱えることが予想できる。
「リア。流石に皆で行くのは迷惑だから、僕が送っていって、直ぐに戻ってくるよ」
そんな突拍子もないラフテリアの言葉をロビンが止める。いきなり訪ねるにしても、何事にも順序というものがある。
ラフテリアの非常識はいつもこのようにして、ロビンに諌められていたことがわかる。
しかし、ロビンの言葉にラフテリアは否定した。
「いや!ロビンと一緒じゃないといや!」
置いていかれるのが嫌だとダダを捏ねる子どものように、ラフテリアはロビンに抱きついたままイヤイヤと首を横に振る。
「別に良いだろう?結局、黒の聖女が起きなければ、俺がここに来た意味がない。それに俺も魔人が治める国が気になるしな」
モルテ王も魔人であるミゲルロディアが治める国がどのようになっているのか、気になるようだ。
「王様もそう言っているのだから、みんなで行けばいいの!」
ラフテリアはそれ以外の選択肢はないと言わんばかりに言い切った。ラフテリアとモルテ王の言葉に、ロビンはどうしたものかと、目の前で立ち上がっているカイルを見上げる。
視線を向けられたカイルにとって、ラフテリアがついて来ようが、モルテ王がついて来ようが、それは些細な問題であって、好きにすれば良いという無言の視線をロビンに返した。
ロビンもカイルの苛ついている態度には理解できたので、苦笑いを浮かべて立ち上がる。番の身の安全が一番であり、ここは己の番を休ませる場所としては認めない。そういう態度だと。
「取り敢えず外に魔人を待たせているから、そこに行こうか」
これは決定事項として決められてしまったのであれば、さっさと行動に移す。それが最善策だと。
「向こうはきっと日が暮れている頃だろうから、あまり遅いと迷惑になるからね」
大陸が違えば、時間も違う。シェリーたちが来たのは日差しのキツイ時間帯だった。ということは昼間に来たということだ。
ロビンに促され、外に出てみれば日は傾いているものの、まだ日の入りには時間がかかりそうだ。
いや、ここは夏のため日の入りには時間がかかるのは当たり前。ということはラース公国では日付が変わろうとしている時間だと予想ができた。
「ああ、待たせたね」
ロビンが声をかけた場所には、一瞬誰も居ないように見えた。だが、視線を地面に向ければ、五体投地しそうなほど、頭を地面に付けて伏している三人の魔人の姿があった。
「ちょっとね色々あって、ラフテリアとこのヒト……も一緒に行くことになったから、少し頑張ってね」
ロビンはモルテ王をどう紹介しようかと迷って、ヒトと言って見たものの、どうみても人と見える要素が、ほとんどない。強いて言うなら、頭が一つで腕が二本、足が二本あるモノだ。
人ではない容姿と異様な気配を発する者に、魔人たちはただただ平伏して、己に敵意を向けられないようにしている。
「俺は人ではないが?」
そんなロビンにモルテ王は突っ込むが、その言葉に何かを言う者はいない。カイルはシェリーだけを見て、ラフテリアはロビンだけをみて、魔人たちは地面を見ている。
ロビンは、苦笑いを浮かべたまま転移陣を展開していった。平伏している魔人たちが入るような大きな転移陣だ。
「転移!」
ロビンの言葉を残して、ここに居た者たちの姿はラフテリア大陸から消え去ったのだった。
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補足
ラフテリア大陸とラース公国との時差は6時間程です。
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