私は聖女じゃありませんから〜ただのパン屋の娘です〜

白雲八鈴

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2話 アブナイ人に気をつけて

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 そのサブマスターと言う人にも同じ事をいってみた。

「ふかふかのパンの情報が欲しいです。」

 サブマスターは考えるように首を捻ってから、受付の机の上にあったメモ用紙に何かを書き始めた。
 その紙を私に渡しながら

「この住所を訪ねてみろ。そこで情報が手に入るようなら自分で交渉して手に入れろ。」

「サブマスター。こんな子供に交渉って」

 受付のおねえさんが諌めているがサブマスターは鼻で笑って

「あれが知らないようなら、そんな情報はこの辺りにはないということだ。それにあれの欲しい物なんて俺にはわからん。自分で交渉してもらうしかない。面倒だからギルドは関わらん。嬢ちゃん。嫌なら諦めろ。」

 何かよくわからないが、面倒な人物がふかふかのパンの情報を持っているかもしれないと言うことらしい。紙に書かれた住所を見てみる。『西区第二層4区7番』と書かれていた。あとサブマスターと思われるサインの『ニール』と書かれているだけ、え?情報を聞くべき相手の名前がない。

「ここに行って誰に聞けばいいのですか?」

「あ?ああ、この住所の情報はそこに住む問題児に『いい加減に仕事が溜まっているからギルドに来い』と伝言することで、なしにしてやる。」

 そう言って、サブマスターはタバコを取り出して、火をつけ、タバコを咥えながら去っていった。いや、だから、問題児とは誰だ?

「おねえさん。問題児って誰?」

「はい、次の方どうぞ。」

 え?私の対応はこれで終わり?おねえさんは私の後ろの人の依頼を聞き始めてしまった。仕方がない。この冒険者ギルドは西区第三層にあるから、そのまま第二層に入っていけばいい。門番は居るけど、第一層よりは厳しい審査はないと聞いたことがある。このニールと書かれたサインを見せれば通れるのだろう。

 第三層から第二層に行くには西教会から東に向かって坂道を登らなければならない。私達庶民には関係ないことだが、第二層と第一層は山状になった斜面に家が点在している。
 坂道を行き来するのは大変だなっと思っていたが、そこに住む人達は貴族か金持ちばかりだ。今、私の横を馬車が通り過ぎていったが、ヘイ、タクシーと呼び止めたくなってしまった。
 坂道は辛い。

 西第二層門にやっとたどり着いた。石で作られた壁が横にずーっと続いており、馬車が通る門は常に開いている。その横に人が通れる小さな門があるのだが、そこには門兵が立っていた。あの人にサブマスターの書いた紙を見せればいいのだろうか。

「お嬢ちゃん、大丈夫か?」

 肩で息をしている私にその門兵の人が駆け寄って来て、聞いてきた。5才児にこの坂はきつかった。

「この住所に行きたいです。冒険者ギルドのサブマスターのサインもあります。」

 そう言って、私は紙を門兵の人に見せた。直ぐに通してくれるかと思ったが門兵は慌てて、しゃがんで私の顔をみた。

「お嬢ちゃん思い直せ。」

 は?

「何をニールから言われたかは知らんが、ここに行くのはやめろ。代わりにおじさんが美味しい物をおごってやる。」

 なんだ?この門兵は?子供がサブマスターのサインされた紙を見せたのに、止めて美味しい物をおごってやるとはなんだ?
 初対面の子供に物を奢ろうとするとは、誘拐か?門兵に扮した人さらいか?

「ダンチョー。幼女から冷たい視線を向けられていますよ。」

「そんなことはない!」

 別の門兵の人が出てきた。この人はまともそうだ。知り合いのようだが、聞いてみる。

「このヒトは人攫いですか?」

「ブフッ!ダンチョー。幼女から人攫い認定されていますよ。」

「なに!そんなことはない!俺は幼女に優しく話しかけただけだ。」

 優しく?怪しさ満点だったが?まともそうな門兵に同じことを言ってみた。

「この住所に行きたいです。冒険者ギルドのサブマスターのサインもあります。通してくれますか?」

 その紙を見た、まともそうな門兵は納得した感じで

「これですか、ダンチョー。この幼女は自分が送って行きますので、仕事をお願いしますね。」

 そう言われ、抱き上げられた。おお、高い。もしかして、父さんより高いんじゃないのか?後ろを見ると鱗のある尻尾が男性から生えているから、そういう人種なのだろう。

 そして、一軒の屋敷の門の前に連れてこられた。大きい!私の家が何軒入るのだろう。もしかして、紹介された人はお貴族様なのだろうか。

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