夢は望めば叶うだろう

いち

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出会う

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第2章
          会う、君と





教室に行くと驚くことに空いてないはずのドアが開いている。
中に入るとそのにはカーテンとともに綺麗な長い黒髮をなびかせ、夕焼けの日の光を浴びている儚げな少女がいた。
その光景に少しの間見とれていて、その次に思ったことがこんな子クラスにいたか?
という疑問だった。
こんな子がいれば普通はわかるものなのだが。
彼女に質問をしようとしたその時、彼女の体が座っていた机から倒れた。
一瞬の出来事にパニックになるが近づいて声をかける。

『大丈夫か?』

返事はない。まあ、大丈夫なわけないんだけど…。
体を揺すると
『ん…?そんな顔してどうしたの?』

あっけらかんとした顔でなんとも言えない返事が返って来た。

『いや、いきなり倒れたから』
『そうか、またかー』
『いつもこうなの?』
『いや、たまにだよ』

そんな会話をしながら案外普通の子だな、と思った。
まあ、もともと他人にあまり興味はないし課題を持って帰ろう。
そう思い倒れている彼女に手を貸し起き上がるのを手伝い、そして立ち去ろうとする。
しかし腕を掴まれている。

『何かようがあるの?』
『いや、そういうわけじゃないんだけど君に
ちょっと興味があるんだ』

よく見るとやっぱり綺麗な顔立ちをしている。
美人というよりは可愛い系の顔だろう。

『私が倒れた理由、聞かないの?』
『聞いてもメリットがないからね。もう関わることないだろうし。』
『ふっふっふ。君このクラスの人だよねー。それなら"佐倉 鈴音"って知ってるかなー?』

そのじんぶつならしっている。
佐倉鈴音というのはいつもは学校にいないいわゆる"不登校"だ。
クラスの中で休んでいる理由が噂されている。
昔いじめられていたとか不良だからサボって学校に来ないとか。

『君がそうなの?』
『その通り!びっくりした?』
『まあ、ずっといなかったからね』

喋っていても普通の子にしか思えない。なぜ学校を休んでいたのか。
気にならないこともないが今日はもう帰りたい。

『じゃあ、僕はもう失礼するよ』

そう言って教室を後にする。教室を出る

『明日また今日と同じ時間にここにきて!』











そんな彼女の言葉を背中に受けながら。



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