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君が来なかった花火大会
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蝉の声が泣き止まない夏の午後
監督の声がグランドに響く
「よーし今日の練習はここまで、グランド整備してあがれ」
「はい」と選手達の中に、陸斗とマネージャーの優美がいた。
夏の甲子園の県予選で敗退した後、陸斗を含む2年生の新体制になってからの初練習だった。
部室の中は、練習の終えた選手達で熱気でこもっていた。
部員①「今日は花火大会やろ?みんなで行こうや」
部員②「いいねぇー」
部員③「マネージャーも行こうよ」
優美は、少し困った顔で、「ごめーん、今日予定入っていて・・・」
部員③「えーそうなの?」
部員②「陸斗は行くよな?」
いきなりの振りに少し動揺する陸斗
「あ、ぁぁ」その瞬間、鋭い視線を感じる、あきらかに優美からだ。
慌てて、陸斗が言い訳に入る。
「わ、わりぃ、俺、今日妹と花火観に行くだった」
部員①「だったら、妹も連れて来ればいいじゃんか」
陸斗「馬鹿、お前らみたいな獣の中に、可愛い妹を連れて行けるか」
部員①「なんだよそれ」
他の部員からもブーイングの嵐
陸斗「そういう事だから、お先」と部室を出たのだった。しばらくすると、優美からのメールが届く。
陸斗へ
先程の言い訳お疲れ様でした。
ギリギリ合格だね。
花火大会、河川敷は部員のみんなに会う恐れがあるから、高台の紫陽花公園にしようよ。19時に待ち合わせ
でね。遅刻はしないでよ。
携帯の画面を見ながら、陸斗は短い返事を返す。
陸斗と優美は、同じ中学からの縁で、現在に至っている。どちらかが、告白した訳じゃないけど自然の流れで付き合うようになった。当然、言わなくてもお互いの気持ちは、わかっていた。
先に紫陽花公園に着いたのは、陸斗だった。
陸斗「あれっ、優美まだ来てないのか?」
公園の廻りを見渡すけど、優美はいない。
いつも、待ち合わせに先に来てるのが優美だっただけに、少し気になったが待つことにした。
19時過ぎても、優美は来ない。
ドーンと花火が打ち上げ始めた。
あいつ、何してんだよと苛立ちと同時に、携帯の着信音が鳴った。優美からだった。
陸斗は、電話にでると、「お前、花火大会始まった・・・・」と言ってる間に、か細い声が聞こえてくる。
「陸斗・・・ごめんね・・・」それをかき消すかのような周りの声が入ってくる。
子供の鳴き声、安否を伺う声
陸斗は、携帯を握りしめ、自転車に飛び乗った。
無我夢中でペダルをこいで、優美のもとに向かった。
つづく
監督の声がグランドに響く
「よーし今日の練習はここまで、グランド整備してあがれ」
「はい」と選手達の中に、陸斗とマネージャーの優美がいた。
夏の甲子園の県予選で敗退した後、陸斗を含む2年生の新体制になってからの初練習だった。
部室の中は、練習の終えた選手達で熱気でこもっていた。
部員①「今日は花火大会やろ?みんなで行こうや」
部員②「いいねぇー」
部員③「マネージャーも行こうよ」
優美は、少し困った顔で、「ごめーん、今日予定入っていて・・・」
部員③「えーそうなの?」
部員②「陸斗は行くよな?」
いきなりの振りに少し動揺する陸斗
「あ、ぁぁ」その瞬間、鋭い視線を感じる、あきらかに優美からだ。
慌てて、陸斗が言い訳に入る。
「わ、わりぃ、俺、今日妹と花火観に行くだった」
部員①「だったら、妹も連れて来ればいいじゃんか」
陸斗「馬鹿、お前らみたいな獣の中に、可愛い妹を連れて行けるか」
部員①「なんだよそれ」
他の部員からもブーイングの嵐
陸斗「そういう事だから、お先」と部室を出たのだった。しばらくすると、優美からのメールが届く。
陸斗へ
先程の言い訳お疲れ様でした。
ギリギリ合格だね。
花火大会、河川敷は部員のみんなに会う恐れがあるから、高台の紫陽花公園にしようよ。19時に待ち合わせ
でね。遅刻はしないでよ。
携帯の画面を見ながら、陸斗は短い返事を返す。
陸斗と優美は、同じ中学からの縁で、現在に至っている。どちらかが、告白した訳じゃないけど自然の流れで付き合うようになった。当然、言わなくてもお互いの気持ちは、わかっていた。
先に紫陽花公園に着いたのは、陸斗だった。
陸斗「あれっ、優美まだ来てないのか?」
公園の廻りを見渡すけど、優美はいない。
いつも、待ち合わせに先に来てるのが優美だっただけに、少し気になったが待つことにした。
19時過ぎても、優美は来ない。
ドーンと花火が打ち上げ始めた。
あいつ、何してんだよと苛立ちと同時に、携帯の着信音が鳴った。優美からだった。
陸斗は、電話にでると、「お前、花火大会始まった・・・・」と言ってる間に、か細い声が聞こえてくる。
「陸斗・・・ごめんね・・・」それをかき消すかのような周りの声が入ってくる。
子供の鳴き声、安否を伺う声
陸斗は、携帯を握りしめ、自転車に飛び乗った。
無我夢中でペダルをこいで、優美のもとに向かった。
つづく
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