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0007 滋賀 サルトビ
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しおりを挟むヒメとBARへ到着すると『カチーーカチカチ』となぜか頭に振動があり、ミレイさんは水着姿でカクテルを飲んでいた。
「いらっしゃいませ、猿飛さんですね」
愛想の良いマスターが出迎えてくれた。
腕が太い、ボディビルでもやってんのかな。
「はじめまして、お洒落なBARでござるなぁ」
「いえいえ、それほどでもありませんー」
ミレイさんに言ったつもりが、謙遜(けんそん)したのはマスターだった。まあいいや。
「ミレイさんとマスター、拙者は忍者なんとか委員会の会長の猿飛でござる。口癖で度々『ござる ござる』と言うが、気にせんでください」
『カチーーカチカチ』
あれ? またカチカチと鳴った。
「忍者さん、もう帰っていいわよ」
なぬ? ミレイさん、拙者は今来たばかり。
マスターが手を振りながら言う。
「猿飛さんごめんなさい、カクテル技術を会得した能力者は、なるべくデータを記録しているんです。その為に呼んだのは僕なんです。ミレイさんはSなのでキツい性格。気にしないでゆっくりしていって下さい」
「データとは何でござるか?」
「カクテル世界の精度を限りなく現実世界へ近づける為です。今頭の中で2回目のカチカチと振動があったでしょ。それが1分間のデータ取得完了の合図です」
ぬー? 難しい。
「精度とは何でござるか?」
「ミレイ様の肛門の匂いが分かるってことキャ~☆」
ヒメが言った意味、兄だが分からん。
「は? 匂い?」
マスターはこう説明してくれた。
つまりこのBARでは、人間のフィギュアを造る時に得るデータを進化させた4Dデータだという。
このBARではマスターが配合した気体のカクテルがエアコンから送風され、それを吸い込んだカクテル能力者のデータを身体の内・外 両方から得られる技術。
例えばミレイさん。
美しいスリーサイズはもちろん、吸い込んだカクテルにより、肺活量や腸内細菌・筋肉の質・骨密度・血液・関節の可動範囲・アレルギー特定・脳のI.Qまでデータ化し、果てはDNAをも本部へ送信されるという。
“機械による”『視覚』『聴覚』『嗅覚』『味覚』『触覚』全てをデータとして送信される。
その間1分。
2回目のカチカチが判定完了のシグナルだ。
「猿飛さん、1分経過により、合格です」
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