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0014 福岡 ダイ
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しおりを挟む漫画家にとってカクテルは渡りに船だね。
カクテル世界へ入れば時間は腐るほど得られる。
ボクは万年睡眠不足から解放された。
何しろ現実世界の1秒がカクテル世界では100年に匹敵する。
およそ30億倍に伸びるんだ。
不老不死という言い方が大げさでない理由はもう1つある。
よく夢の中で夢を見るっていう表現があるよね。
カクテルも同じ事が出来る。
つまりカクテル世界の中へ入って、そのカクテル世界から、またカクテル世界へ入る。
これを繰り返す。
そうすると、現実世界の1秒が更に更に引き伸ばされ、理屈の上では限りなく『無限』へ近づく。
ね、不老不死は言い過ぎではない。
ただ、BARのマスターからの助言でこう言われた。
『カクテル世界からカクテル世界へは、なるべく行かないように』
なるべくと言ってるのには意味があって、自分が何段階深くカクテル世界へ潜っているのか確信しているなら良いが、
1段階、2段階……50段階と、カクテル世界を重ね過ぎると、いくらでも深く入れてしまうため、訳が分からなくなってしまう。
これを虚夢(きょむ)危機と言うらしい。
怖っ!
だけどその恐ろしさも漫画家にとってはエネルギーなんだよね。
カクテルのことを他言すると死んじゃうから、カクテルのシステムをそのまま漫画へ描くことは出来ない。
そこでカクテルを実現可能な正夢として応用が出来ると踏んだ。
故に現実世界のカクテル能力者をボクが設計したカクテル世界へ誘き寄せ、人間の恐怖と醜さを学ぼうと思い戻って来た。
その設計した世界へカクテル能力者を誘き寄せる計画を立てた。
BARでマーシーという兄さんと連絡先を交換し、再会する約束をした。
彼女や友達を連れて来るらしい。
ボクのオリジナル世界へ誘き寄せ、楽しませてもらおう。
残虐と恥辱(ちじょく)プレーの極み体験だ。
恥ずかしさの極みを暴いても、警察に訴えることは出来ない。
なぜならば、それは死を意味するからだ。
他言すると死んでしまうカクテル。
どんなに酷(ひど)い目にあわせても、絶対に訴えられない。
このシステムを逆手に取るのだ。
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