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トンズラ
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しおりを挟む波多野の幼少期、父親は1度も働かず酒を煽(あお)り、家の収入源はトルコ(ソープランド)で体を売る母親の稼ぎのみだった。
その母親もパチンコ依存症で慢性的な貧乏一家。
波多野が学校というものを知ったのは、悪酔いした父親が酒の肴(さかな)としてたびたび波多野への暴力をはたらく予兆を察し、家を出た10歳の時。
家出後、食うに食えず、駅前近くの公園でボランティア団体がホームレス向けに炊き出しを行っていた行列に並んでいたら、子どもということで警察と児童相談所に通報された。
その後両親は保護責任者として認められず、児童養護施設へ受け渡され波多野は自分が小学4年生だと知る。
10歳まで読み書きを1度もしたことのない波多野は、同じ児童養護施設の児童の中でも孤立し、いじめを受け、中学2年の時に施設を飛び出し暴走族に入った。
暴走族では人間の急所攻撃を族同士の抗争で本能的に学び、喧嘩の強さのみで特攻隊長になるも、その度胸を買われヤクザの下っ端の更に下の世話係りになる。
しかしこの頃から極道でもインテリ化が進んでおり、大卒が当たり前になりつつある中、波多野の学歴小卒では鉄砲玉(敵対組織の幹部を狙う自爆など)すら任せられずケツ持ち(みかじめ料を徴収する古くからのシノギ)で身代わり刑罰を受け入出所を繰り返した。
そこへ手を差し伸べてくれたのが我が金春チェーンの会長だ。
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