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トンズラ
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しおりを挟むここセントラルパークは名古屋のド真ん中にあり、平日休日問わず東海三県全体から若者が集まる憩いの場かつナンパスポット。
ナンパスポットと言っても、この頃(1985年)にはまだ『ナンパ』と言う言葉は存在せず、『女を引っ掛ける』とか『ガールハント』と言っていた。
先に見かけた可愛い子2人は時間にして最低でも1時間以上はこのセントラルパークの花壇に座っている。
個人的に女の子を誘って成功した試しはほとんどない。
それでも今回ばかりは必死だ。
様々な女の子が様々な理由で此処にいる。つまりなるべく広い範囲の思考で総括的にスカウトしようと声をかけた。
たった今『はろー』とかけた挨拶に、2人は俺を見てはいるが返事は無い。
だがまだ始まったばかり、1人はロングの茶髪で遊んでいそう。もう1人はショートボブの黒髪、真面目そうな感じ。
「2人とも可愛いね! 何してるの?」
「テレクラ」
茶髪の方が応えてくれた。
テレクラ(テレホン・クラブ)は店舗があり、その店舗には男性客のみが居て、前もって広告などで店の所有する電話番号がばら撒いてあり、その番号に匿名の女から電話が掛かって来て男性客が取る。
繋がった電話で男女の思惑が一致したら、テレホンSEXをしたり、待ち合わせ場所を決めて実際に出会い、デートや売春などそれぞれの目的を行うもの。
この2人の女の子は家出少女だった。
テレクラを利用した理由は、家出して中心街に出て来たはいいが金が尽き、今日泊まる場所も無いから、電話先の男に自分達が2人である事にお得感を出すべく『両手に花だよ』と言いデートにおびき寄せている。
ただ交渉時に絶対売春はしないと言い切って料金は2万円。
とうに待ち合わせの時間から1時間以上も過ぎて待ちぼうけだと言う。
そりゃそうだ、高いもん。名古屋のトルコ(ソープ)なら2万円で本番が出来る。そう思いながら2人の思惑と一致する提案を出した。
「今から喫茶店に来てくれたら、リスク無しで食事も、住む場所も、お金さえも提供できるよ」
「マジ?」
2人とも驚いている。
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