ばかやろう 〜たった1つの愛〜

ネギモバ

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生と死

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闇の商売だけど、一応、依頼者それぞれにゴールはある。


戸籍ごと新しい人生を送るから、過去の戸籍の主(依頼者)が死んだと思われたら目的達成。


そうなるには、前の戸籍の親族が、『失踪宣言』をし、失踪してから7年が経過すると法的に死亡扱いが成立する。


過去の本人は法律上、死亡したんだ。


これがゴール。


ーー。


新しい人生付きの夜逃げ屋の仕組み。


1番簡単な説明をするとこうだ。


全国各地(特に東京)で浮浪者から10~20万で戸籍を買う。


この時、上記の様に既に新しい人生の方がゴール(死亡)してないか確認。


ここで注意なのが、頭の中が花火大会のユリコにには携帯は触らせない。


受けた電話では必ず依頼者の事情を聞き、吟味し、俺だけが完全に把握する。


かつ遠い地方の地域出発の夜逃げだと手間だから、この関西出発の件だけを受ける。


新しい戸籍に新しい住み家まで注文してきた客にはボッタクれるだけボッタクる。


アパートやマンションの審査も保証人・保証会社も現地で下見と手続きと契約しなきゃいけないから、手間賃としてイタチの最後っ屁を搾り取る。


上記 浮浪者の戸籍が10万でも20万だった場合でも、40万円以上で売る。


仕組みは以上。やってみて解った事は、割に合わない実態。


考えてみてほしい、日本唯一の戸籍付き夜逃げ屋。


依頼者のほとんどは犯罪絡み。


つまり依頼を受ければ受けるほど自分への危機がどんどん蓄積する。断ってもリスクはある。


必ずどこかでパンクすると思った。


深夜に、こんな電話がかかってきたことがある。


『今お前は首を突っ込み過ぎている。今直ぐ足を洗え』


怖くなった俺は、この携帯を捨てて、新しい飛ばし携帯(個人特定不能の携帯)に替えたんだ。


しかし、その携帯にも同じ脅迫電話がかかってきた。


足が付かないはずの携帯ばかり連続した脅迫。


『次は殺す』と言う。


カラクリが全く解らない俺は、もうダメだと思った。


そんな時、俺には更に3件も同時に足を洗う理由が出来たんだ。


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