ばかやろう 〜たった1つの愛〜

ネギモバ

文字の大きさ
127 / 150
涙は貧乏に勝る

127ページ

しおりを挟む


山口さんは俺の目をじっと見て言った。


「なぜその裏稼業で稼がん? 架空口座なら詐欺師から二重に儲かる上、告訴も皆無。詐欺師の腕が良ければ億超えの儲けすらあり得るぞ?」


「娘が生まれた時、誓ったんです」


「どう誓った?」


「この子だけは、“全うな金”で育てると」


ヤクザを相手に全うな金なんて言ったら逆効果かと脳裏によぎったが、あえて本心をさらけ出した。


だが、山口さんは「俺を前にしてよく言った」と鋭い視線を俺に向ける。


「本心のみを伝えねば失礼かと」


「……分かった、その意気込みを汲んで、俺はお前を人として認める。どこの金融屋だ?」


闇金の名前をあげるとアッサリ引き受けてくれた。


ビックリしたよ。


その闇金は極道のケツ持ちも無い半グレ集団で、山口さんは子バエが邪魔だと目を付けていたという。


なぜ子バエかと言うと、山口さんの傘下も街金をしているからだ。


街金は貸金業法に定められた都道府県知事・財務局長への登録をしている業者。


テレビCMなどでやっている消費者金融との違いは、その規模だ。


街金は小さいがゆえ地域に根ざしている。だが違法スレスレの取り立てもする。


山口さんの組織は暴対法の網をくぐった正規の金融屋。


闇金はルール無視のアウトロー。


山口さんは部下に電話を1本かけると、1階の事務所へ来いと俺に言う。


ええ……暴力団の事務所なんて怖いなぁ。


そう思い行ってみると、1階の事務所は普通の会社の事務所と何ら変わらない。


見た目普通のスーツ姿のサラリーマン5人とOLも3人いる。


山口さんは直ぐにFAXに届いた資料を眺め、「半グレ集団の所有する俺(元はユリコ)の債権譲渡が完了した」と言った。


早っ!


直ぐに譲渡された債権による山口さんの経営する『ウキウキローン』の借用書を書かされ、印鑑も押した。


二千万もの大金をわずか数分で移行する権力と手際の良さにビックリだ。


助かった。いや助かってないか。


闇金は利息だけでも1日20万円。


このウキウキローンだとウキウキはしないが返済はかなり楽。


山口さんは、俺がかつて返済した1500万円の実績がある事と、その逃げ切ろうと思えば逃げ切れる夜逃げ屋の手口を自ら封じる潔さに惚れたという。


最後にこう言われた。


「ゴールはある、だが厳しい道のりだぞ」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

処理中です...