嬉しいパズル

ピッコロ

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嬉しいパズル

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 私は子供の時から現在まで体が弱くベッドから起きた記憶はない。そんな私ですが、元気がなくても、起きられなくても出来ることはあった。それは魔眼と言う物で特定の場所や人を見ることが出来る能力だった。
 
 初めて兄にあったのは五歳の時で、すっごく素敵な人だなーと思っていた。兄は物怖じしないすごく落ち着いていてクールだった。
しかしさすがに小さな微生物やら殺し始めた時、どうしようかと思った。

 こうしてサイコパスな兄の見守りをするようになったのである。
「はる?体大丈夫?」

 あ、あー、すっごく痛いねお母さん。しかしいつもこんなに痛いのだから仕方がない。ズキズキ痛む。私は痛い時は、今でも行けない好きな場所を魔眼で見るようにしている。太陽だったり、公園だったり。でも今はすっかり兄さんかな。
 兄さんを見ていると何故か痛みが引いたような気がするんだ。

 今は兄さんはただ空を見ている。兄さんの目は透き通ってるのにな。どうしてサイコパスなんだろう。兄さんは何を考えてるんだろうか?

 母が再婚してから父と兄が出来た。兄のキリトはさっき言った通りサイコパスだったが今の所ごく普通の美形で人を殺したりしていない。そんな兄はたまに私の所に来てくれるが興味がない見たいだ。部屋に来てくれて何げない話をする兄はよそ行きの笑顔が可愛く見える。魔眼で見る兄はいつも無表情だ。

「兄さん、これ」
 兄にプレゼントを渡す。
「うん?なんだろう!」

 母にお願いして買って貰ったプレゼントを渡す。兄は箱を開けると

「これは、すごい。難しいって話題になってたんだ。ありがとう」
「ううん、いつもお世話になってるから」
 
 私は結構難しいパズルをプレゼントした。しかしこのパズル他のパズルとはちょっと違うんだな。兄にとって、難しいかもな。
 
私はたまに、考える。このままでいいのかなぁ~って。もちろん兄のことが心配だが、自分はこのままいいのかなぁって。ま、心配したところで何にも変わらないだけど。
「兄さん、学校はどう?楽しい?」
「楽しいよ、友達出来た」
「兄さんはかっこいいから大人気ですもんね」
「そんなことはないよ」
 魔眼で見る兄はモテモテで優秀な生徒を良く演じる。

「私は兄さんのこと見るの好きだよ」
思わずそう言っていた。
「兄さんは面白いから」
「何だそれ?」
二人して笑顔になる。私は兄がサイコでも構わないし演じていても構わないのだ。しかし、家族として幸せを願っている。


ある時、春の匂いが近づくにつれ私は倒れた。体が弱く、弱くなって行く。これは、もう長くないのかもしれない。私は病院入院することになったし、病院も中々興味深い。

「はる、はる!」

あ、これはお母さんか。でも、目開けるのに、つらい、な。

ある日、ズキズキ痛みを感じながら目を開けると兄がそばにいた。無表情だがどこか暗く沈んでいる。
「はる!」
何故か兄に初めて呼ばれた気がして笑ってしまう。兄は驚いた表情になりそして言った。

「これ、パズル解いたんだ。一見普通のパズルだが、実は仕掛けがあったんだな。どうやっても解けなかった」

静かに兄の話を聞く。

「その仕掛けは何かを感知するのが分かった。それは感情の部類だとも分かった。そして、… 春の、ことを思ったら、仕掛けが、作動したんだ」

 なんてことだ。兄さん、愛情を覚えたんだね。これは奇跡かもしれない。

「はる」

兄さんは私に近づき、顔を寄せた。

「君に対するこの感情は、愛、なのか」

深々と言う兄に対して私は嬉し恥ずかしの調子に乗るが転換したが、良かった。よかったよ兄さん。もうしゃべれないけど。伝わってほしいな、こんなに嬉しいんだから。精一杯の笑顔を作ったら思いきり睨まれて抱きしめられた。

 
  まだまだ命が危ない私ですがすっかり病院で済むようになって毎日兄が一緒にいてくれた。流れる年月と共に兄が博士になって私の治療をすることが決まった。ここまで長く生きたのは嬉しい奇跡の連続のおかげだろうか。

「はる、はる。絶対成功させる」
最初は優しく呼んで最後に無表情になる兄に対して私は言う。

「うん、兄さんをずっと見てたいから生きるよ。私」

兄さんと私は笑っていた。
次に目を開ける時、きっと幸せそうに笑う兄がいるに違いない。
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