追放されたS級清掃員、配信切り忘れで伝説になる「ただのゴミ掃除」と言って神話級ドラゴンを消し飛ばしていたら世界中がパニックになってますが?

あとりえむ

文字の大きさ
54 / 65
最終章(こちらだけ15話構成です)

第54話:隠し扉『Admin』

 数千年分の極厚の汚れ(偽装テクスチャ)をスクレーパーで削り落としたソウジの前に、ついにその姿を現した超重厚な金属扉。

 赤く発光する電子ロックのパネルと、【Admin(管理者権限用メンテナンスハッチ)】という無機質な文字列が、ここが世界の「外側」であることを明確に示していた。

「さあ、大家の部屋に着いたぞ。さっそくインターホンを鳴らして、床抜けと壁紙剥がれのクレームを入れてやる」

 ソウジがトングを鳴らしながら歩み寄ろうとした、その時。

「お待ちください、ソウジ様。ここは天界の長たる私にお任せを」

 天使ミカエルが、バサァッ! と美しい翼を広げて前に出た。

「ここが創造主たる神の部屋へ続く扉であるならば、神の右腕であるこの私の魔力で開くはず。……大天使の権限において命ずる、開け!」

 ミカエルが輝く右手を電子ロックのパネルにかざす。
 神聖な光が扉を包み込み、神話級のロック解除魔法が発動した。これならば、どんな絶対防壁であろうと無条件で開閉できるはずだった。

 ──ピピッ。

『Error:アクセス権限がありません。部外者の立ち入りは固く禁じられています』

 無機質なシステム音声が鳴り響き、電子パネルに冷酷な赤い文字が表示された。
 ミカエルの神聖魔法は、文字通り「完全に弾き返された」のだ。

「なっ……!? ば、馬鹿な! 私が部外者!? 天界のトップであるこの私のアクセス権限が承認されないだと!?」

 ミカエルが愕然として扉にすがりつく。

「社長! ミカエルさんの神聖魔法が効きません! 完全にロックされてます!」

「大家さん、ずーっと引きこもってるから、居留守使ってるんですよー」

 剣崎が慌てふためき、コアちゃんが呑気に笑う。
 創造主は「誰の干渉も受け付けない」という強固な意志で、外側からのアクセスを完全にシャットアウトしていたのだ。

 だが、その光景を見ていた灰坂ソウジの額に、ピキピキと青筋が浮かび上がった。

「……ふざけんな」

「えっ?」

「世界中がボロボロになってる大クレームの最中だってのに……大家が『居留守』だと? どんだけブラックなオーナーなんだよ!!」

 ソウジの激怒が、新宿の地下2000メートルを震わせる。

「インターホンが鳴らねぇなら、ドアごと外す。それが清掃業者の力仕事だ!」

 ソウジはバンの荷台へと戻ると、「ズズンッ!」と地響きを立てながら、とんでもない質量の機械を引きずり出してきた。
 金属製の重厚なボディ、円盤状の巨大な底面、そして太い電源ケーブル。

「で、出たぁぁっ! 社長の最終兵器!」

「主の御名において、すべてを平らに磨き上げる神器(重機)ですわね!」

 剣崎が息を呑み、セシリアが祈りを捧げる。
 それは、大理石やコンクリートの床の頑固な汚れを、超高速回転するパッドで物理的に削り落とす自社製魔改造ツール。

「重さ100キロ超の【超大型・業務用ポリッシャー(オリハルコン・パッド仕様)】だ。神の扉だろうがなんだろうが、表面のガンコな汚れごと、ツルッツルに削り飛ばしてやる!!」

 ソウジはポリッシャーの電源ケーブルをコンプレッサーに繋ぎ、両手でしっかりとハンドルを握りしめた。

「オラァァァッ! スイッチ・オン!!」

 ギュィィィィィィィィンッ!!!

 凄まじいモーター音と共に、ポリッシャーの底面に取り付けられたオリハルコン製の超硬質パッドが、目にも止まらぬ速度で回転を始める。
 ソウジは100キロ超の暴れる機体を腕力だけで押さえ込み、そのまま金属扉の「電子ロック部分」へと強引に押し当てた。

 ギャリギャリギャリギャリギャリッ!!!
 バチバチバチッ!!

 激しい火花が散り、創造主の絶対金属でできた扉の表面が、悲鳴を上げて削り取られていく。

『Error! Error! 不正な物理的干渉を検知! 直チニヤメ──ガガガッ!』

「うるせぇ! さっさと開けやがれ悪徳大家ァァァッ!!」

『電子ロックをポリッシャーで削り飛ばしてるwww』
『物理ハッキング(暴力)』
『神の扉がゴリゴリ削られていく……』
『クレーム対応の流儀がヤクザのそれ』
『神の右腕より清掃業者の方が強い世界』

 バキィィィィンッ!!!

 数十秒の激しい研磨の末、ついに電子ロックのパネルそのものが基盤ごと粉砕され、火花を吹いて沈黙した。
 「プシューッ……」と空気の抜けるような音と共に、絶対開かずの扉(Admin)のロックが解除され、重々しく奥へと開いていく。

「よし、汚れは落ちたな」

 ソウジは煙を上げるポリッシャーの電源を切り、ふう、と息を吐いた。
 開け放たれた扉の向こう側。そこには、新宿の地下空間とは全く異なる、銀河が渦巻く果てしない宇宙空間のような景色が広がっていた。

「さあ、乗り込むぞ。大家と見積もり交渉だ」

 ソウジはデッキブラシを肩に担ぎ直し、忌々しき創造主の部屋へと、堂々と足を踏み入れた。

(続く)
感想 1

あなたにおすすめの小説

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
ファンタジー
「アウルム・キルクルスお前は勇者ではない、追放だ!!」  その後、第二勇者・セクンドスが召喚され、彼が魔王を倒した。俺はその日に聖女フルクと出会い、レベル0ながらも【レベル投げ】を習得した。レベル0だから投げても魔力(MP)が減らないし、無限なのだ。  影響するステータスは『運』。  聖女フルクさえいれば運が向上され、俺は幸運に恵まれ、スキルの威力も倍増した。  第二勇者が魔王を倒すとエンディングと共に『EXダンジョン』が出現する。その隙を狙い、フルクと共にダンジョンの所有権をゲット、独占する。ダンジョンのレアアイテムを入手しまくり売却、やがて莫大な富を手に入れ、最強にもなる。  すると、第二勇者がEXダンジョンを返せとやって来る。しかし、先に侵入した者が所有権を持つため譲渡は不可能。第二勇者を拒絶する。  より強くなった俺は元ギルドメンバーや世界の国中から戻ってこいとせがまれるが、もう遅い!!  真の仲間と共にダンジョン攻略スローライフを送る。 【簡単な流れ】 勇者がボコボコにされます→元勇者として活動→聖女と出会います→レベル投げを習得→EXダンジョンゲット→レア装備ゲットしまくり→元パーティざまぁ 【原題】 『お前は勇者ではないとギルドを追放され、第二勇者が魔王を倒しエンディングの最中レベル0の俺は出現したEXダンジョンを独占~【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得~戻って来いと言われても、もう遅いんだが』

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

職業・遊び人となったら追放されたけれど、追放先で覚醒し無双しちゃいました!

よっしぃ
ファンタジー
この物語は、通常1つの職業を選定する所を、一つ目で遊び人を選定してしまい何とか別の職業を、と思い3つとも遊び人を選定してしまったデルクが、成長して無双する話。 10歳を過ぎると皆教会へ赴き、自身の職業を選定してもらうが、デルク・コーネインはここでまさかの遊び人になってしまう。最高3つの職業を選べるが、その分成長速度が遅くなるも、2つ目を選定。 ここでも前代未聞の遊び人。止められるも3度目の正直で挑むも結果は遊び人。 同年代の連中は皆良い職業を選定してもらい、どんどん成長していく。 皆に馬鹿にされ、蔑まれ、馬鹿にされ、それでも何とかレベル上げを行うデルク。 こんな中2年ほど経って、12歳になった頃、1歳年下の11歳の1人の少女セシル・ヴァウテルスと出会う。凄い職業を得たが、成長が遅すぎると見捨てられた彼女。そんな2人がダンジョンで出会い、脱出不可能といわれているダンジョン下層からの脱出を、2人で成長していく事で不可能を可能にしていく。 そんな中2人を馬鹿にし、死地に追い込んだ同年代の連中や年上の冒険者は、中層への攻略を急ぐあまり、成長速度の遅い上位職を得たデルクの幼馴染の2人をダンジョンの大穴に突き落とし排除してしまう。 しかし奇跡的にもデルクはこの2人の命を救う事ができ、セシルを含めた4人で辛うじてダンジョンを脱出。 その後自分達をこんな所に追い込んだ連中と対峙する事になるが、ダンジョン下層で成長した4人にかなう冒険者はおらず、自らの愚かな行為に自滅してしまう。 そして、成長した遊び人の職業、実は成長すればどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした! 更に未だかつて同じ職業を3つ引いた人物がいなかったために、その結果がどうなるかわかっていなかった事もあり、その結果がとんでもない事になる。 これはのちに伝説となる4人を中心とする成長物語。 ダンジョン脱出までは辛抱の連続ですが、その後はざまぁな展開が待っています。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

固有スキルガチャで最底辺からの大逆転だモ~モンスターのスキルを使えるようになった俺のお気楽ダンジョンライフ~

うみ
ファンタジー
 恵まれない固有スキルを持って生まれたクラウディオだったが、一人、ダンジョンの一階層で宝箱を漁ることで生計を立てていた。  いつものように一階層を探索していたところ、弱い癖に探索者を続けている彼の態度が気に入らない探索者によって深層に飛ばされてしまう。  モンスターに襲われ絶体絶命のピンチに機転を利かせて切り抜けるも、ただの雑魚モンスター一匹を倒したに過ぎなかった。  そこで、クラウディオは固有スキルを入れ替えるアイテムを手に入れ、大逆転。  モンスターの力を吸収できるようになった彼は深層から無事帰還することができた。  その後、彼と同じように深層に転移した探索者の手助けをしたり、彼を深層に飛ばした探索者にお灸をすえたり、と彼の生活が一変する。  稼いだ金で郊外で隠居生活を送ることを目標に今日もまたダンジョンに挑むクラウディオなのであった。 『箱を開けるモ』 「餌は待てと言ってるだろうに」  とあるイベントでくっついてくることになった生意気なマーモットと共に。