追放されたS級清掃員、配信切り忘れで伝説になる「ただのゴミ掃除」と言って神話級ドラゴンを消し飛ばしていたら世界中がパニックになってますが?

あとりえむ

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最終章(こちらだけ15話構成です)

第55話:クレーム対応の流儀

 超大型ポリッシャーによる物理ハッキングでAdmin(管理者)の扉をブチ破り、灰坂ソウジはついに「世界の外側」へと足を踏み入れた。

 扉の向こうに広がっていたのは、美しい銀河が渦巻く、神秘的で広大な宇宙空間……のはずだった。

【解析:極めて悪質な汚部屋(神のゴミ屋敷)】
【状態:数千年間放置された生活ゴミ(枯渇惑星)の散乱】
【対象:皮脂汚れと手垢にまみれたメインモニター(創造主)】

「……おいおいおい」

 ソウジは肩に担いだデッキブラシを下ろし、呆然と周囲を見渡した。
 剣崎たちも、扉の向こうの光景を見て言葉を失っている。

「なんだこの部屋は。足の踏み場もねぇじゃねぇか」

 そこは、究極の『神のゴミ屋敷』だった。
 美しい星雲の上には、枯渇して灰色になった小惑星が「空のペットボトル」のように無数に転がり、砕けた隕石の破片が「スナック菓子の食べカス」のように散乱している。

 漂白剤の放置や酸焼けの穴など、世界中のバグ(老朽化)を放置していた大家の部屋は、想像を絶するほど汚部屋と化していたのだ。

『……んあ? なんだぁ? 誰か来たのか?』

 ゴミの山の中心。
 星屑で作られただらしないソファの上に、スウェットの上下を着た青年(?)が寝転がっていた。

 彼の手には、世界を管理するための半透明のタブレットが握られている。彼こそが、この世界を創造し、そして放置した張本人──『創造主(大家)』であった。

『あれ……お前ら、下界のバグじゃん。Adminの扉には強固なロックをかけておいたはずなのに、どうやって入ってきたの?』

 創造主が面倒くさそうに頭を掻きながら起き上がる。

「インターホンが壊れてたから、ドアごと外させてもらった。俺は『株式会社クリーン・ファンタジー』の代表だ」

 ソウジは忌々しそうに、足元に転がっていた枯渇惑星(空のペットボトル)を蹴り飛ばした。

「あんたがこのボロ家の大家だな? エジプトの床板に大穴が空いて、南極の床材が腐り落ちてんだ。管理不行き届きもいいところだぞ。全面張り替えのクレームに来た」

『あー、クレームね。はいはい』

 創造主はあくびをしながら、タブレットの画面をスワイプした。

『ごめんごめん、ちょっと別の宇宙の管理ゲーにハマっちゃってさ。こっちの世界、何千年もデバッグサボってたから、バグとホコリが溜まっちゃって。もうメンテするの超面倒くさいんだよね』

「……なんだと?」

『だからさ、もう直さない。バグごと、一旦【フォーマット(全削除)】して、ピカピカの新品に買い換えることにしたから。お前らも大人しく消えてよ』

 怠惰な創造主の、あまりにも軽い「世界初期化」の宣言。
 剣崎やセシリアが青ざめる中、ソウジの足元から、ゴゴゴゴゴ……と、これまでで最大級の「ドス黒い怒りのオーラ」が立ち昇った。

「ちょっと汚れたからって……『家』ごと捨てるバカがいるかァァァッ!!」

 ソウジの怒声が、宇宙空間にビリビリと響き渡る。

「メンテが面倒くさいだと!? 生き物が生活していれば、汚れが出るのは当たり前だ! 定期的に手入れをして、ワックスをかけて、そうやって家ってのは長く使っていくもんだろうが!!」

「……上等だ」

 ソウジはツナギの袖をまくり上げ、腰から【万能スライムクリーナー】と、長年愛用している【ただの雑巾】を取り出した。

「クソ大家、直接その顔面をゴシゴシ磨き上げて、モノを大切にする心を叩き直してやる!!」

 クリーン・ファンタジー社vs創造主。
 全宇宙の存亡を懸けた、清掃業者による「究極のクレーム対応(大掃除)」が、今ここに幕を開けた。

(続く)

 ***

-あとがき-

読者の皆様、お疲れ様です。
株式会社クリーン・ファンタジーの灰坂です。

ようやく大家の部屋に辿り着いたと思ったら、信じられないほどのゴミ屋敷でした。何千年も掃除をサボった挙句、「汚れたから捨てる」などとほざく始末です。

清掃業者として、いや、モノを大切にする一人の人間として、絶対に許せる発言ではありません。

ゴーグルの不調も、あいつの嫌がらせでした。コアちゃんが綺麗に磨き落としてくれたおかげで、ようやく汚れを直視できるようになりましたよ。

さあ、物語はいよいよクライマックスです。
神様だろうが創造主だろうが関係ありません。だらしなく伸びきった大家の根性を、私の雑巾でピカピカに磨き直してやります。
皆様、最後まで私たちの「大掃除」を見届けてください。

現在業務多忙のため、今回は簡潔なご挨拶のみにて失礼いたします。

株式会社クリーン・ファンタジー
代表取締役社長 灰坂ソウジ
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