追放されたS級清掃員、配信切り忘れで伝説になる「ただのゴミ掃除」と言って神話級ドラゴンを消し飛ばしていたら世界中がパニックになってますが?

あとりえむ

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最終章(こちらだけ15話構成です)

第56話:資源とゴミの『最終分別』

「ちょっと汚れたからって……『家』ごと捨てるバカがいるかァァァッ!!」

 灰坂ソウジの怒声が、枯渇惑星(空のペットボトル)が散乱する神のゴミ屋敷にビリビリと響き渡る。

 しかし、スウェット姿で星屑のソファに寝転がる創造主(大家)は、曇りきったモニターの顔面に「めんどくさい(´Д`)」という顔文字を浮かべていた。

『うわっ、暑苦しいおっさん……。もうフォーマット(全削除)は決定事項だから。業者はさっさと帰ってよ』

 創造主がタブレットの画面を面倒くさそうにスワイプする。
 すると、空間に散乱していた無数の枯渇惑星、砕けた隕石、そして世界中から集められたバグデータが、創造主の意志に従って一つに融合し始めた。

『帰らないなら、これでお掃除してあげる。僕の部屋のゴミで作った【全宇宙の鬱憤の集合体】でね』

 ズゴゴゴゴゴォォォォッ!!
 現れたのは、見上げるほど巨大な「宇宙ゴミの化身」だった。
 無数のバグと廃棄データが絡み合い、触手のようにうごめいている。それは神話級ドラゴンすら赤子のように捻り潰す、文字通り「世界を終わらせるエラーの塊」だった。

『ギガァァァァァァッ!!(消去! 全テ消去ォォッ!)』

 宇宙ゴミの化身が咆哮を上げ、クリーン・ファンタジーの一行に向けて、無数の隕石や破損データの雨を一斉に撃ち出してきた。
 直撃すれば、世界を構成する素粒子レベルでデリートされてしまう絶対の暴力。

「チッ、また分別もせずにゴミを撒き散らしやがって。俺がまとめて――」

 ソウジが前に出ようとした、その時だった。

「社長! 下がっていてください!」

 ソウジと共に数々の修羅場を乗り越え、頼れる人事部長に成長した男が、両手を広げて立ちはだかった。
 彼のスーツはすでにボロボロで、ネクタイは額に巻いている。

「剣崎……?」

「不法投棄されたゴミの『仕分け』は、ウチの会社じゃ俺の担当でしょうが! 回収日のルールを守らねぇ大家のゴミは、俺が全部叩き返してやりますよ!!」

 剣崎は覚悟を決めたように目を見開き、コアちゃんへと叫んだ。

「コアちゃん! 俺が宇宙一のスピードで分別する! 一瞬の判断ミスも命取りだ、俺の指示に完璧についてこれるか!?」

「はい、人事部長! 私、こう見えても元・神話級ダンジョンコアですから! どんなデータも完璧に圧縮します♪」

 コアちゃんが両手を前に突き出し、重力魔法の出力を神の領域まで引き上げる。
 剣崎の瞳が、これまでにないほど強烈な、まるで超新星爆発のような青い光を放った。

「限界突破……! 究極覚醒スキル――【最終分別眼(ファイナル・ソート)】!!」

 カッ!!
 剣崎の視界の中で、神が放った無数のエラーの雨が、極限までスローモーションになり、完全に「カテゴリー別のゴミ」として色分けされていく。

「正面の隕石群は『不燃ゴミ』だ、弾き返せ! 右から来るバグデータは『有害ごみ』だ、絶対に割るな! 優しく包んで隔離しろ!」

「えぇぇぇいッ! 【重力反発(リジェクト)】! 【無重力隔離(アイソレート)】!」

 コアちゃんの重力魔法が、剣崎の指示通りに寸分違わず展開される。
 隕石は不可視の壁に弾かれ、触れただけで消滅させられるはずのバグデータは、割れ物を扱うように優しく重力球の中に隔離されていく。

『なっ……!? 僕の絶対消去攻撃が、全部完璧に捌かれてる!?』

 創造主のモニター顔に「(°Д°)」という驚きの顔文字が浮かぶ。

「まだまだァ! 左のレーザー群はただの光だ、『可燃ゴミ』としてまとめて圧縮! ……おおっ!? コアちゃん、上から来る神話級の武具はレアメタルだ! 『資源プラ』と同じリサイクル枠で回収しろ!」

「了解です! 【重力圧縮(プレス)】! 資源はお持ち帰りしまーす!」

 ポンッ! ポンッ! ポンッ!
 世界を終わらせるはずの神の無慈悲な攻撃が、剣崎の神がかった「分別」と、コアちゃんの「回収」によって、次々と『四角く圧縮された資源ブロック』へと変換され、バンの荷台に綺麗に積み上げられていく。

『嘘だろ……!? 全宇宙の鬱憤を込めた最強のバグの塊が……【新宿区・木曜日の資源回収】みたいに処理されてる……!?』

「甘いんだよ大家ァ! ゴミ出しのルールを舐めるな!!」

 剣崎の叫びと共に、コアちゃんが最後の一つまで完全に資源ブロックへと変え、神の絶対攻撃は完全に無力化された。

『神の攻撃をリサイクルすなwww』
『剣崎が無双してる……だと!?』
『あのビビりだった剣崎部長が、宇宙最高のゴミ清掃員に覚醒した』
『「有害ごみだから割るな」でダメだったww』
『新宿区のゴミ出しルール、宇宙より厳しい説』

「……はぁ、はぁ、はぁ……!」

 すべての分別を終え、剣崎がその場に膝をついて荒い息を吐く。
 その背中越しに、ソウジが雑巾を握りしめて歩み出てきた。

「見事だ、剣崎。完璧な分別だったぞ」

「へへっ……社長にそう言ってもらえるなら……額にネクタイ巻いて頑張った甲斐がありますよ」

 ソウジは剣崎の肩をポンと叩くと、再び創造主へと鋭い視線を向けた。

「さて。粗大ゴミの処理は終わった。次は、部屋に染み付いた『陰気な空気』の換気と浄化だ」

(続く)
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