追放されたS級清掃員、配信切り忘れで伝説になる「ただのゴミ掃除」と言って神話級ドラゴンを消し飛ばしていたら世界中がパニックになってますが?

あとりえむ

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最終章(こちらだけ15話構成です)

第57話:天使と聖女の『大掃除結界』

 全宇宙のゴミ(バグ)の集合体が、剣崎とコアちゃんの完璧な連携によって、ただの「資源回収ブロック」へと変換された。

『……はぁ? マジで? 僕の最強のバグ攻撃が、リサイクルされちゃったんだけど』

 星屑のソファで寝転がる創造主のモニター顔に、「( ゚Д゚)」という間の抜けた顔文字が浮かび上がる。

「言ったはずだぞ。俺たちはプロの清掃業者だ。どんなゴミだろうが、適切に処理してやる」

『……あーあ。もういいや。バカバカしい』

 創造主がタブレットを放り投げ、ソファに深く沈み込んだ。
 モニターには「( ´_ゝ`)(どうでもいい)」という顔文字。

『掃除したって、どうせまた汚れるじゃん。生きてたらゴミも出るし、バグも溜まる。永遠に片付け続けるなんて無駄の極みだよ。……だからさ、全部無に還って、僕と一緒に永遠に寝てようよ』

 その瞬間、創造主の体から、ドス黒く淀んだ「霧」のようなものが噴出した。
 それは物理的な攻撃ではない。神の果てしない怠慢と諦めが具現化した、『怠惰と絶望の波動(精神的な穢れ)』である。

「うっ……!? なんだこれ、急に体が重く……」

 霧に触れた瞬間、先ほどまで限界突破で戦っていた剣崎が、急に膝から崩れ落ちた。

「もう……ダメだ……。どうせ明日も仕事だし……クレーム対応もあるし……このままお布団で永遠に寝ていたい……」

「剣崎さん!? しっかりしてください! ……ああっ、私もなんだか、お片付けが面倒くさく……」

 コアちゃんまでもが、その場にぺたんと座り込んでしまう。
 それは世界中のあらゆる気力を奪い、すべてを諦めさせる「神の鬱波動」だった。

「うわっ……。何年も引きこもって換気もしてねぇから、部屋中に『陰気なカビ臭さ』が染み付いてやがる!」

 ソウジが顔をしかめて口元を覆った、その時だった。

「お退きなさいませ、ソウジ様! 空気の入れ替えは、私の得意分野ですわ!!」

 ドンッ! と前に飛び出したのは、聖女セシリアだった。
 彼女の目は、神の絶望を前にしても全く死んでいない。むしろ、ガンコな汚れを見つけた時特有の「狂信的な輝き」に満ちていた。

「どうせ汚れるから掃除しない? 愚問ですわ! 汚れるからこそ、毎日磨き上げる喜びがあるのでしょう!!」

 セシリアが背中から引き抜いたのは、柄の長い、先端が花びらのような形をした謎の道具だった。

「主の御名において! この空間にこびりついた陰気なホコリを叩き出しますわ!」

 それは、教会のシスターたちがシーツを干す時に使う、【神聖なる特大布団叩き(オリハルコン製)】。

「ハァァァァッ!!」

 パァァァンッ!! パァァァンッ!! パパァァァンッ!!!

 セシリアが空中を満たす『絶望の霧』に向かって、恐るべきスイングスピードで布団叩きを振り回した。
 すると、打撃音と共に強烈な衝撃波(神聖な浄化の風)が巻き起こり、空間に漂っていたドス黒い怠惰のオーラが、文字通り「物理的にバンバンと叩き落とされて」いくではないか。

『えっ、痛っ!? 空気叩いてるのに、なんか僕の顔までチクチクする!?』

「ミカエル! 今ですわ!」

「ええいっ! 私は内装業者ではないと言っているでしょう!」

 文句を言いながらも、天使ミカエルが翼を広げて飛翔した。

「神よ、この穢れた空間に絶対の清浄を! 展開──【聖なる目張り(緑色の養生テープ)】!!」

 ババババババッ!!
 ミカエルが高速で飛び回りながら、セシリアが叩き出した「綺麗な空気の領域」の周囲に、巨大な緑色の養生テープと半透明のビニールシートを張り巡らせていく。
 それは、周囲の汚れた空気(絶望の波動)が再び入り込まないようにするための、完璧な結界。

「防毒・防塵結界、構築完了! 対象(創造主)までの直通ルートを確保しました!」

『空気を布団叩きでシバいてるwww』
『メンタル攻撃を物理で処理すな』
『天使の養生テープの速度がプロのそれ』
『これ完全に【クリーン・ルーム】じゃねぇか!』
『神の絶望が、ビニールシートで防がれてる……』

「……上出来だ」

 ソウジは、セシリアとミカエルが作り上げた、自分と大家(創造主)だけを真っ直ぐに繋ぐ「緑色のテープとビニールで覆われた無菌通路(クリーン・ルーム)」を見つめ、満足げに頷いた。

「これなら、陰気な空気を吸い込まずに済む。サンキュー」

 ソウジは首元のタオルを締め直し、『ただの雑巾』を持ち直す。
 そして、逃げ場を失い、ビニールシートの通路の奥で震える「モニター顔の大家」に向かって、ゆっくりと歩みを進める。

「さあ、大家。言い訳は終わりだ。お前のその曇りきったツラを、俺が直々に磨き上げてやる」

(続く)
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