理学療法士だった俺、異世界で見習い聖女と診療所を開きました

burazu

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異世界に転移しました

治せ!領主の息子

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 キッコの街があるコーロ地方を治める領主、バートン氏に館まで呼ばれた俺は、そこで領主様の息子で二コラという名の少年を紹介される。
 
 彼が後遺症を持っている事を俺は察するが、領主様が二コラの怪我の経緯を話し始める。

「二コラには訓練として森の中で狩りをさせていた、私も同行していたが森の中ではぐれてしまってな、部下をつけていたから心配はなかった、だが……」

 更に悔しそうに領主様は語りだした。

「訓練の際に足の骨を折ったのだ、治癒士の魔法で骨折そのものは治したが、足を思うように動かせなくなっていた」

 領主様の話から、骨折が元で後遺症が残った事を俺は察した。こんな時にリハビリがしっかりできれば後遺症を軽減する事ができたはずだが、治癒魔法で治療しきれないと考えてしまったんだろう。

「領主様、とりあえず私にお任せください。きっと足を動かしてみせます」
「そこまで言うからには見せてみろ!」

 そう言われて俺は領主の息子の足に向けて手をかざし、スキルを叫ぶ。

最適化リハビリ!」

 俺の手からダンカンさんの時と同じように眩い光が出て、領主の息子の足に光を放つ。

 しばらくすると光は消え、領主の息子の二コラ君に足を動かすよう促してみる。

「あ、あの、足を動かしてみるといいよ……いいですよ」

 あぶねえーーー!思わず普通の子供と同じようにため口で話しそうになったよ。この子は領主の息子なんだから言葉遣いに気をつけねえと文字通り俺の首が飛ぶからな。

「父上、足が、足が動きます!」
「何だと!起きれるか?」
「はい」

 そう言って二コラ君はベッドから立ち上がり起きようとするが、ふらつきがあった為、咄嗟に俺が身体を支える。

「おっと、大丈夫ですか?」
「う、うむ」

 二コラ君が返事をすると領主様が俺に対して疑問をぶつけてくる。

「ミヤシタ殿、どういう事だ?足は治ったようだが思うように歩けていないではないか」
「領主様、息子……ご子息様のベッド生活はどれほどになりますか?」
「もうひと月程になるが」
「後遺症は取り除きましたが動かさなかった分筋力が落ちていると思われます。少々お待ちください、ミミ」

 俺はミミを呼ぶとミミが返事をして俺に近づいてくる。

「はい、何でしょうか?」
「ちょっといいか……実は……」

 しばらく俺はミミにこの世界の文字を聞いて紙に書き、その内容を領主様に話す。

「ご子息様の筋力回復の為に、リハビリ、要するに歩く訓練がしばらく必要です。私が訓練メニューを作成しましたのでご覧ください」
「ううむ、とりあえず1週間様子を見させてもらおう」

 こうして俺は1週間、領主の息子のリハビリに付き添う事となった。
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