理学療法士だった俺、異世界で見習い聖女と診療所を開きました

異世界生活は大変です

契約内容

　ウォーカーさんに渡された地図に沿って俺とミミは傭兵ギルドに向かっていた。その途中でミミより誰も条件が合わない場合どうするか尋ねられた俺は、往診の制限の必要もある事を告げる。

　もちろん、そう簡単にあきらめるつもりはないし、条件に食いつかなければ俺が売り込みをする。それ位の覚悟はあるさ。

　そんな事を考えている内に傭兵ギルドらしき建物前まで到着し、ミミが俺に声をかける。

「ユーイチ様、地図によるとここが傭兵ギルドのようですね」
「とりあえず、中に入ってみるか」

　そう言って、ギルド内に入った俺達を待っていたのはとても禍々しい雰囲気を纏った男達であった。

　皆、腕に自信がありそうな奴ばかりで、多くの血を浴びてきたという雰囲気を持った奴も多くいた。

　ちなみに俺は理学療法士なので手術もしないから他人の血を浴びた経験はない。むしろ現代日本で他人の血を浴びたらそれは外科医か犯罪者くらいだろうな。

　って、今はそんな話はどうでもいいだろう。

　そんなわけで、俺とミミはギルドの受付に行き、そこで受付の女性に声をかけられる。

「いらっしゃいませ、当傭兵ギルドへいらしていただきありがとうございます。お仕事のご依頼でしょうか？それとも傭兵登録をなさいますか？」

　さっきまでの禍々しい雰囲気が一転し、結構華やかになった。

　美人で感じの良い人がいると、こうも雰囲気が変わるのか。

　おっと、今は仕事の依頼だな。

「仕事の依頼をしたいのですが」
「それでしたら、こちらに依頼内容と報酬をお書きください」
「あの、ちょっと事情がありまして、できれば1名の方と専属契約を結びたいんですが、それも長期で」
「長期の専属契約ですか？依頼内容にそのように書いていただければよろしいですし、報酬の支払い方法もお任せしますので」

　何となくだがいわゆる派遣社員のようなものなのかな、傭兵って。そうだなまず依頼内容として書きたいのはひとまず契約期間を6ヶ月にして、仕事内容をどうするかなーー、診療所の護衛と書いておくか。さすがにもうスマホの翻訳機能に頼らなくても字を書けるようになったのはでかいな。

　報酬は月払いにしよう。とりあえずこんな感じで俺は受付の女性に渡した。

「はい、こちらの内容でお間違いないですね？」
「はい」
「では、こちらの内容をギルドに掲示しますので、希望者がいましたらミヤシタ様にお伝えしますので、ギルドにいらしてください」

　ひとまず一旦、俺達はギルドを出る事にした。まずは夜まで待ってみるか。