理学療法士だった俺、異世界で見習い聖女と診療所を開きました

burazu

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異世界で仲間が増えました

救う鍛冶

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 兵士の人にギベルトさんが作成したリハビリ器具を早速使用するとその様子を見たギベルトさんが自分のスキルである微調整トゥイークを発動させ、本人仕様に微調整する事に成功する。

 往診を終えて診療所に帰ろうとすると、突如ギベルトさんに呼び止められてギベルトさんの話を聞く事になる。

「いきなり呼び止めて悪いが、まず聞きたい事がある。あんたは今後も俺にリハビリ器具の依頼をするつもりか?」
「そうですね、また必要な器具があったら作成は依頼したいとは思っています」
「それならよ、これからも俺にその器具を使う場面に立ち会わせてくれるか?」
「そうですね、ご本人に合わせて微調整してくださるなら、こっちとしても助かりますし、何より患者さんの為になりますから」

 患者さんの為にという言葉に思う事があったのか、ギベルトさんはどこか憂うような表情で語り始めた。

「患者さんの為か……、俺も親父も誇りを持って武器を作っていたし、その誇りは今でも変わんねえし、依頼がありゃあ今まで通り武器も作るさ」
「ギベルトさん?」
「だがよ、どんなに綺麗事を述べたって剣も槍も命を奪う物だ、人間、魔物を問わずな」
「だけど、やむなく必要な人がいるから作っているんですよね。傭兵ギルドがあるのも物騒な魔物や良からぬ事を考える人間がいるから必要なのと同じで」

 俺が武器や傭兵ギルドはあくまでも必要だから存在し、それを作る人達がいる事を主張するとギベルトさんから更に言葉が返ってくる。

「確かにそうだな、だが親父とも何度か話した事があったんだ、俺達は武器ばっか作ってていいのかってな、そしたら親父がこう言いやがった」

 次の瞬間、ギベルトさんは言葉をためながらお父さんの思いと共に言葉を吐き出した。

「ギベルト、もう俺は年だから、今更武器以外の物は作れねえが、まだ若いお前ならきっと人を殺すだけでなく、人を救う物が作れるかもしんねえってな」
「お父さんがそんな事を……」
「そして、俺がそういう物を作れるようなきっかけをくれたのはあんただ、これからも器具作りっていう意味であんたの診療所を手伝ってもいい、腕を治してくれた恩もあるし格安で請け負うぜ」

 ギベルトさんが積極的に俺のリハビリを手助けしてくれるのか、断る理由はないな。

「はい、よろしくお願いしますギベルトさん」
「なあ、これからは俺達はどっちにしても単なる依頼人と請け負う関係じゃなくていわば仕事仲間のようなもんだ。俺の事は呼び捨てで構わねえし、対等な関係でいようぜ」
「……そうだな、頼むぞギベルト」
「こちらこそなユーイチ」

 外部委託だが、俺達の診療所にまた新しい仲間が増えた瞬間だった。
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