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第三章 学園編
第108話 隣国王女に分からせを
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私が睨んだとおり、午前中の座学はものすごく平和に過ぎていった。エスカの前世の年齢が正確には分からないけれど、座学の授業にちゃんとついて来ていたので、中学生くらいまではちゃんとクリアできていた人間だという事は分かった。子どもっぽいところが見受けられるので結構若い感じはしたけれど、少なくとも高校生にはなっていた感じだった。それだったら正直もうちょっと一般常識を身に付けていてほしかったけれど、想像力の乏しい人が増えてるから、エスカの前世ってそういう類の人だったのかしらね。
そんな事を思いつつも、昼食も私はエスカの横を離れないようにしていた。とにかく不安が過ぎるのよ。
その昼食は義妹のモモと同じ王子の婚約者という立場であるサキの二人を交えながら四人で食べていた。学園の食事はサーロイン王国内では一般的な肉料理とサラダにパンとスープという組み合わせである。肉料理も結構バリエーションがあって、今日はハンバーグにソースをかけたものだった。
肉料理を見たエスカの目が輝いていたのは驚きね。ミール王国は海産物中心だから、畜肉ってあまり出回ってないのかも知れない。あっても干し肉だろうしね。
一方のサーロイン王国内には、海産物も結構出回るようになってきた。魔法を使っての冷凍運搬技術が確立されてきたからだ。今夜はシーフードシチューを作るとか、アラブミは張り切っていた。
この食事中、肉料理に舌鼓を打っていたエスカが非常に印象的だったけれども、会話となるとそうでもなかった感じだった。モモもサキも、エスカの事を警戒していたようだもの。二人とも、3年前に会ってるんだけど、どうしてそこまで警戒しているのかしら。多分、隣国ミール王国の王女という肩書きのせいかしら。私は同じ転生した身とあって、そこそこ親しみを感じているけれど、普通の令嬢からしたらこういう反応になっちゃうのかしらね。
私は三人の様子を観察しながらお昼をきれいに平らげていた。量自体はモモやサキたちと同じで、エスカの食べた量の半分よ。いくら体質があるからと言っても大丈夫なはずよ。
いろいろと心配になる私だけれども、午後はいよいよ実技だから、一杯動いてエネルギーを消費しなきゃね。私はとにかく気合いを入れまくった。
というわけで、午後の魔法の授業は実技である。私はこの日はサキと組んでいて、そこにエスカを無理やり捻じ込んだ。とにかくエスカから目を離したくない。ちなみに隣ではラムとモモが組んでいる。結局この四人が固まっていた。
「さーて、早速だけど、エスカ王女殿下の魔法を見せてもらえますかね。ずいぶんと使い込んでるような話は聞きますから、制御くらいはできますでしょう?」
私は初手から切り込んだ。私の声を聞いたエスカは、いきなり尻込みしている。正直予想外な反応だった。
しかし、私はいろいろと知っている。なんせスマホもどきを送り付けてきたのだから。あれを見れば相当に繊細で緻密な魔力操作ができる事は容易に想像できる。そうでなければ、とても作れる代物ではないのだから。
一つの魔石にあれだけのさまざまな働きを放り込める事もそうだし、薄い板状に魔石を加工する事だって並大抵の腕前ではできる事ではないのだもの。ごまかそうったってそうはいかないわよ。
「エスカ王女殿下?」
私は更に圧を掛けていく。しかし、それでもエスカは動こうとしなかった。すると、
「あ、アンマリア様。エスカ王女殿下は、初めての環境で戸惑ってられると思うのです。ここは、私たちが先に見本を見せるべきなのでは?」
サキが必死に止めてきた。ふむ、一理あるわね。
「それもそうですわね。でしたら、私が見本を見せてさし上げます。よく見開いてご覧下さいませ」
私は的に向けて立つと、右手を前に出して魔法を使う。握った手を一本ずつ指を開きながら火の玉を灯し、それをまとめて的に向けて撃ち出した。当然ながら、的は激しく燃え上がっている。不壊の魔法が掛かっているとはいっても、私の魔力はそれを軽々と越えてしまっているのだ。さて、肝心のエスカはというと、私の火の魔法を見て、腰を抜かして地面にへたり込んでいた。あらあら、これでもまだ序の口ですのにねぇ。
「こらあ、アンマリア・ファッティ! また燃やしてるのか!」
今日の教師はおっさんだ。先日に私のやらかしを聞いているのか、もの凄く怒っている。
「あら、ごめんあそばせ。すぐに消しますので、ご安心を」
私は悪びれずに言葉を返すと、サキに火を消すように促す。サキは驚いた顔をしていたけれど、しぶしぶ火を消すために水の魔法を使った。
「すごい、あれだけ燃えていたのに、あっさり消えちゃった……」
「私が特訓しましたからね。魔法の精度は多分学年内なら一位二位を争えます」
私はそんな事を言っているけれど、これは別に誇張でも何でもない。実際、今のサキは杖を使っていなかったのだ。杖無しに気が付いて、今さら慌てているサキが可愛いくらいだ。
「そういうわけですから、エスカ王女殿下もしっかりと訓練しましょうね」
「は、はい……」
私の氷の微笑みに、エスカはその身を震わせるのだった。
うん、これで少しくらいはおとなしくなるでしょう。
そんな事を思いつつも、昼食も私はエスカの横を離れないようにしていた。とにかく不安が過ぎるのよ。
その昼食は義妹のモモと同じ王子の婚約者という立場であるサキの二人を交えながら四人で食べていた。学園の食事はサーロイン王国内では一般的な肉料理とサラダにパンとスープという組み合わせである。肉料理も結構バリエーションがあって、今日はハンバーグにソースをかけたものだった。
肉料理を見たエスカの目が輝いていたのは驚きね。ミール王国は海産物中心だから、畜肉ってあまり出回ってないのかも知れない。あっても干し肉だろうしね。
一方のサーロイン王国内には、海産物も結構出回るようになってきた。魔法を使っての冷凍運搬技術が確立されてきたからだ。今夜はシーフードシチューを作るとか、アラブミは張り切っていた。
この食事中、肉料理に舌鼓を打っていたエスカが非常に印象的だったけれども、会話となるとそうでもなかった感じだった。モモもサキも、エスカの事を警戒していたようだもの。二人とも、3年前に会ってるんだけど、どうしてそこまで警戒しているのかしら。多分、隣国ミール王国の王女という肩書きのせいかしら。私は同じ転生した身とあって、そこそこ親しみを感じているけれど、普通の令嬢からしたらこういう反応になっちゃうのかしらね。
私は三人の様子を観察しながらお昼をきれいに平らげていた。量自体はモモやサキたちと同じで、エスカの食べた量の半分よ。いくら体質があるからと言っても大丈夫なはずよ。
いろいろと心配になる私だけれども、午後はいよいよ実技だから、一杯動いてエネルギーを消費しなきゃね。私はとにかく気合いを入れまくった。
というわけで、午後の魔法の授業は実技である。私はこの日はサキと組んでいて、そこにエスカを無理やり捻じ込んだ。とにかくエスカから目を離したくない。ちなみに隣ではラムとモモが組んでいる。結局この四人が固まっていた。
「さーて、早速だけど、エスカ王女殿下の魔法を見せてもらえますかね。ずいぶんと使い込んでるような話は聞きますから、制御くらいはできますでしょう?」
私は初手から切り込んだ。私の声を聞いたエスカは、いきなり尻込みしている。正直予想外な反応だった。
しかし、私はいろいろと知っている。なんせスマホもどきを送り付けてきたのだから。あれを見れば相当に繊細で緻密な魔力操作ができる事は容易に想像できる。そうでなければ、とても作れる代物ではないのだから。
一つの魔石にあれだけのさまざまな働きを放り込める事もそうだし、薄い板状に魔石を加工する事だって並大抵の腕前ではできる事ではないのだもの。ごまかそうったってそうはいかないわよ。
「エスカ王女殿下?」
私は更に圧を掛けていく。しかし、それでもエスカは動こうとしなかった。すると、
「あ、アンマリア様。エスカ王女殿下は、初めての環境で戸惑ってられると思うのです。ここは、私たちが先に見本を見せるべきなのでは?」
サキが必死に止めてきた。ふむ、一理あるわね。
「それもそうですわね。でしたら、私が見本を見せてさし上げます。よく見開いてご覧下さいませ」
私は的に向けて立つと、右手を前に出して魔法を使う。握った手を一本ずつ指を開きながら火の玉を灯し、それをまとめて的に向けて撃ち出した。当然ながら、的は激しく燃え上がっている。不壊の魔法が掛かっているとはいっても、私の魔力はそれを軽々と越えてしまっているのだ。さて、肝心のエスカはというと、私の火の魔法を見て、腰を抜かして地面にへたり込んでいた。あらあら、これでもまだ序の口ですのにねぇ。
「こらあ、アンマリア・ファッティ! また燃やしてるのか!」
今日の教師はおっさんだ。先日に私のやらかしを聞いているのか、もの凄く怒っている。
「あら、ごめんあそばせ。すぐに消しますので、ご安心を」
私は悪びれずに言葉を返すと、サキに火を消すように促す。サキは驚いた顔をしていたけれど、しぶしぶ火を消すために水の魔法を使った。
「すごい、あれだけ燃えていたのに、あっさり消えちゃった……」
「私が特訓しましたからね。魔法の精度は多分学年内なら一位二位を争えます」
私はそんな事を言っているけれど、これは別に誇張でも何でもない。実際、今のサキは杖を使っていなかったのだ。杖無しに気が付いて、今さら慌てているサキが可愛いくらいだ。
「そういうわけですから、エスカ王女殿下もしっかりと訓練しましょうね」
「は、はい……」
私の氷の微笑みに、エスカはその身を震わせるのだった。
うん、これで少しくらいはおとなしくなるでしょう。
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