122 / 500
第三章 学園編
第122話 結果はどうなるのかしらね
しおりを挟む
モモの放ったパペットに着弾したところで試験官に止められる。
それにしても驚いたわね。モモにこんな才能があっただなんて。魔力のマーキングとは予想外過ぎる。ただこの魔法は、気の持ち方次第ではいくらでも悪用できる魔法なものだから、これは正直言って要注意ね。
「えへへへ、どうですか、お姉様」
「ええ、なかなか素晴らしい魔法でしたわ」
にっこりとして話し掛けてくるモモ。あまりにいい顔だったものだから、私は素直にモモを褒めておいた。
「それにしても、魔法を発動させる陣をあんな風に設置していくなんて、よく思いつきましたわね」
私はストレートにモモにその辺りを確認する。すると、モモから返ってきた答えが意外だった。
「はい、お姉様にさせて頂いた魔石への魔法の定着、あれを応用させてもらいました。魔石に魔法を込める事を、地面に応用したんですよ。どうですか、お姉様!」
ものすごく明瞭快活に説明してくるモモ。
あー、そっか。ストーブやコンロ作るためにさせてたあの作業が原因か……。でも、それを地面にやっちゃうあたりは、モモにも魔法の才能がそれだけあるって事ね。これは、将来どんな風に育つのか楽しみだわね。
しかし、その一方で会場の学生たちはぽかーんと、何を見せつけられたのか分からないといった表情をしていた。試験官も沈黙している。
「……っと、これは失礼。まあ、なかなか素晴らしかったのではないですかね。公平に成績はつけますので、結果は後日発表させてもらいます」
なんとか言葉を発した試験官だったけれど、なんか言葉の中身が負け惜しみっぽいのはどういう事なのかしらね。私は訝しみながらも、平静を装いながら試験官の事を見ていた。
さて、モモの次に出てきたのは、攻略対象の中で唯一の魔法型のタカーか。父親が宰相を務めているから、完全に文官タイプだから仕方がない。
(彼の属性は風だっけか。さて、どんな魔法を見せてくれるのかしらね)
宰相である父親を受け継ぐはずである彼だ。あのモモの直後だからやりづらいとは思うけれど、きっとタカーは頭脳派プレイを見せてくれるはずだと、私は勝手に期待をしている。
彼もまた、魔法制御のための道具は杖だった。よく授業では見ていたけれど、タカーの実践の動きは地味に初めて見る事になる。
「始め」
試験官の合図とともに、タカーは杖を振るっている。魔法を当てられまいとパペットは動く。よく見るとタカーの放つ魔法は大したものではない。だけれども、私は何とも言えない違和感を持っていた。
「同じ……」
私の隣に居るモモがぽつりとこぼす。
「私と同じ事をしてる」
「……まさか……ね」
モモの言葉に、私はどういうわけか動揺している。
だけれども、地面を見ると確かに、モモと同じような魔法の紋が刻み込まれている。
「かかりましたね!」
タカーのこの声で、パペットは周りをつむじ風に囲まれてしまう。どの方向も囲まれてしまい、唯一開いている方向はタカーが立っている。逃げ場は完全に無くなっていた。
「これで終わりです!」
タカーがそう言って魔法を放つと、パペットはあっけなく風魔法に切り刻まれていってしまったのだった。
試験が終わると、タカーは私たちの方へと歩いてくる。そして、モモの前に立っていた。
「申し訳ありません、レディ。あなたの使った魔法を真似させて頂きました」
「あっいえ。別に構いませんけれど、驚きました。あんなに簡単に真似されてしまうなんて……」
タカーの謝罪に対して、モモはものすごく声も態度も戸惑っている。あれを思いつくまでモモも相当に苦労してきたろうに、それを一瞬で、目の前で見ただけで完コピされてしまったのだ。ショックを受けない方が嘘だろう。
いくら婚約者とはいっても、さすがに大人げなさすぎたわね。私はタカーを睨み付けておいた。
そんなこんなで、あっという間に魔法の実技試験が終了する。結構魔法をぶつけられたパペットは、それはかなりボロボロになっていて、試験官に泣きつくように飛びついていた。ただの道具かと思ったけれど、感情のようなものがあるのだろうか。
「それでは、結果は明日にでも分かりますので、楽しみにしておいて下さい。アンマリア・ファッティ、あなたは評価できませんからね。規格外すぎるんですから」
ちょっと試験官、最後に酷い事言わないでくれる? 私はついつい試験官に対してジト目を向けてしまう。すると、試験官は罰が悪そうにそそくさと試験会場を後にしたのだった。
試験会場から教室に戻った私たち。みんなが帰り支度を始める中、一人の教官が教室に入ってきた。
「夏休みの前半に行われる合宿の参加希望者を募ります。参加希望者は今週中に提出するように!」
あー、ゲームでもあった合宿イベントか。ゲームの中だと結構イベント起きるのよね。そういえば、スタンピードはこの年だったけか。そう思いながら、私は教官が語った言葉をはたと思い出す。
(って、夏休み前半とか、帰省予定とかぶるじゃないのよ!)
私はここに来て、大問題をぶつけられてしまったのだった。
「はあ、合宿の場所を確認しておきましょうかね」
私は仕方なく、渡された用紙に記載された合宿の開催場所の確認を行うのだった。
それにしても驚いたわね。モモにこんな才能があっただなんて。魔力のマーキングとは予想外過ぎる。ただこの魔法は、気の持ち方次第ではいくらでも悪用できる魔法なものだから、これは正直言って要注意ね。
「えへへへ、どうですか、お姉様」
「ええ、なかなか素晴らしい魔法でしたわ」
にっこりとして話し掛けてくるモモ。あまりにいい顔だったものだから、私は素直にモモを褒めておいた。
「それにしても、魔法を発動させる陣をあんな風に設置していくなんて、よく思いつきましたわね」
私はストレートにモモにその辺りを確認する。すると、モモから返ってきた答えが意外だった。
「はい、お姉様にさせて頂いた魔石への魔法の定着、あれを応用させてもらいました。魔石に魔法を込める事を、地面に応用したんですよ。どうですか、お姉様!」
ものすごく明瞭快活に説明してくるモモ。
あー、そっか。ストーブやコンロ作るためにさせてたあの作業が原因か……。でも、それを地面にやっちゃうあたりは、モモにも魔法の才能がそれだけあるって事ね。これは、将来どんな風に育つのか楽しみだわね。
しかし、その一方で会場の学生たちはぽかーんと、何を見せつけられたのか分からないといった表情をしていた。試験官も沈黙している。
「……っと、これは失礼。まあ、なかなか素晴らしかったのではないですかね。公平に成績はつけますので、結果は後日発表させてもらいます」
なんとか言葉を発した試験官だったけれど、なんか言葉の中身が負け惜しみっぽいのはどういう事なのかしらね。私は訝しみながらも、平静を装いながら試験官の事を見ていた。
さて、モモの次に出てきたのは、攻略対象の中で唯一の魔法型のタカーか。父親が宰相を務めているから、完全に文官タイプだから仕方がない。
(彼の属性は風だっけか。さて、どんな魔法を見せてくれるのかしらね)
宰相である父親を受け継ぐはずである彼だ。あのモモの直後だからやりづらいとは思うけれど、きっとタカーは頭脳派プレイを見せてくれるはずだと、私は勝手に期待をしている。
彼もまた、魔法制御のための道具は杖だった。よく授業では見ていたけれど、タカーの実践の動きは地味に初めて見る事になる。
「始め」
試験官の合図とともに、タカーは杖を振るっている。魔法を当てられまいとパペットは動く。よく見るとタカーの放つ魔法は大したものではない。だけれども、私は何とも言えない違和感を持っていた。
「同じ……」
私の隣に居るモモがぽつりとこぼす。
「私と同じ事をしてる」
「……まさか……ね」
モモの言葉に、私はどういうわけか動揺している。
だけれども、地面を見ると確かに、モモと同じような魔法の紋が刻み込まれている。
「かかりましたね!」
タカーのこの声で、パペットは周りをつむじ風に囲まれてしまう。どの方向も囲まれてしまい、唯一開いている方向はタカーが立っている。逃げ場は完全に無くなっていた。
「これで終わりです!」
タカーがそう言って魔法を放つと、パペットはあっけなく風魔法に切り刻まれていってしまったのだった。
試験が終わると、タカーは私たちの方へと歩いてくる。そして、モモの前に立っていた。
「申し訳ありません、レディ。あなたの使った魔法を真似させて頂きました」
「あっいえ。別に構いませんけれど、驚きました。あんなに簡単に真似されてしまうなんて……」
タカーの謝罪に対して、モモはものすごく声も態度も戸惑っている。あれを思いつくまでモモも相当に苦労してきたろうに、それを一瞬で、目の前で見ただけで完コピされてしまったのだ。ショックを受けない方が嘘だろう。
いくら婚約者とはいっても、さすがに大人げなさすぎたわね。私はタカーを睨み付けておいた。
そんなこんなで、あっという間に魔法の実技試験が終了する。結構魔法をぶつけられたパペットは、それはかなりボロボロになっていて、試験官に泣きつくように飛びついていた。ただの道具かと思ったけれど、感情のようなものがあるのだろうか。
「それでは、結果は明日にでも分かりますので、楽しみにしておいて下さい。アンマリア・ファッティ、あなたは評価できませんからね。規格外すぎるんですから」
ちょっと試験官、最後に酷い事言わないでくれる? 私はついつい試験官に対してジト目を向けてしまう。すると、試験官は罰が悪そうにそそくさと試験会場を後にしたのだった。
試験会場から教室に戻った私たち。みんなが帰り支度を始める中、一人の教官が教室に入ってきた。
「夏休みの前半に行われる合宿の参加希望者を募ります。参加希望者は今週中に提出するように!」
あー、ゲームでもあった合宿イベントか。ゲームの中だと結構イベント起きるのよね。そういえば、スタンピードはこの年だったけか。そう思いながら、私は教官が語った言葉をはたと思い出す。
(って、夏休み前半とか、帰省予定とかぶるじゃないのよ!)
私はここに来て、大問題をぶつけられてしまったのだった。
「はあ、合宿の場所を確認しておきましょうかね」
私は仕方なく、渡された用紙に記載された合宿の開催場所の確認を行うのだった。
7
あなたにおすすめの小説
異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!
男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる
暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。
授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。
【連載版】ヒロインは元皇后様!?〜あら?生まれ変わりましたわ?〜
naturalsoft
恋愛
その日、国民から愛された皇后様が病気で60歳の年で亡くなった。すでに現役を若き皇王と皇后に譲りながらも、国内の貴族のバランスを取りながら暮らしていた皇后が亡くなった事で、王国は荒れると予想された。
しかし、誰も予想していなかった事があった。
「あら?わたくし生まれ変わりましたわ?」
すぐに辺境の男爵令嬢として生まれ変わっていました。
「まぁ、今世はのんびり過ごしましょうか〜」
──と、思っていた時期がありましたわ。
orz
これは何かとヤラカシて有名になっていく転生お皇后様のお話しです。
おばあちゃんの知恵袋で乗り切りますわ!
転生調理令嬢は諦めることを知らない!
eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。
それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。
子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。
最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。
八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。
それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。
また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。
オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。
同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。
それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。
弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる