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第六章 2年目後半
第308話 2年目後期末
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結局特に進展も見られないまま、2年生もついに年末を迎えてしまう。
エスカを連れて行って時々ベジタリウス王国の様子を確認してきたのだけど、向こうもかなり苦戦している模様。相手が隠密の諜報部隊なためにすんなりとはいかないようだった。表情を見てもかなりぐったりしている様子で、以前の捕まえた人物からも情報は引き出せなかったようだった。
ただ、その人物からも呪いの反応が見えたので、私とエスカで浄化をしておいた。幸い軽度だったけれど、どうも呪いのせいで操られていたらしく、国王の命を狙った事を覚えていなかったようだ。
呪いが解けて正気に戻った隊員は石畳に何度も頭をぶつけながら土下座による謝罪していたので、処刑は免れたとの事だった。甘いけれども本人がものすごく反省しているとのことで、半ば同情によって刑罰が軽減されたのである。今は城の中で肉体労働に従事しているそうだ。
年末の試験では、相変わらずモモが厳しそうな顔をしていた。ついでにエスカも。
意外とテールは余裕そうな感じにしていて、私の代わりにモモの勉強を見ているようだ。私はエスカに泣きつかれていた。
「アンマリア! 私、サーロインの歴史なんて分からないわ!」
開口一番それである。前期もあったでしょうに、歴史の試験……。
そういえば、歴史や法律の勉強で荒れてたらしいわね、エスカって。半年くらいじゃ改善は無理か……。
頭が痛くなりながらも、私は根気強くエスカの勉強を見ている。アーサリーには期待ができる気がしないし、ミール王国の権威を守るためにもエスカには頑張ってもらわないとね。
自分の勉強もあるために、かなり睡眠時間を削りながらも私は勉強に打ち込んだのだった。
そうして迎えた、2年生の後期末試験。
相変わらず緊張した表情のモモである。それに対して私とテールは余裕があった。
ちなみにエスカはぶつぶつと教科書とにらめっこをしていた。もしかして、エスカって前世でも勉強が苦手だったのかしらね。
馬車の中は異様な雰囲気のまま、学園までの道のりを進んでいった。
結果、座学の試験に関してはモモもエスカも手応えはよろしくなかった模様。モモにいたってはこれで4回目の定期試験なのに、まったく成長が見られない感じだった。
「テールさんって勉強できたのですね」
「はい、貴族の生活に馴染めるように必死に頑張ってきたせいか、自然と理解できるようになりました。歴代国王の名前とか、サーロイン王国内の貴族爵の名前とか、言おうと思えば全部言えますよ」
「おおう、それはすごいわね……」
にこにこと笑顔で言うテールだけど、内容がぶっ飛んでいて私は顔を引きつらせていた。ごめん、私でも無理だわ、それ。
笑顔のテールから視線を逸らしてモモの方を見ると、まるで信じられないものを見たというような青ざめた表情のモモが居た。まぁ、テールの言った事は実際にほぼ不可能だものね。相当の暗記力がないと無理だわ。
「もう、座学は嫌……」
モモはがくんと項垂れて黙り込んでしまっていた。重苦しい雰囲気の中、私たちは座学試験を終えて家に戻ったのだった。
翌日は気を取り直しての魔法実技試験である。こうなるとモモもエスカも元気になる。逆にテールの方が不安げな様子だった。
「今回は私は受けたくないと考えていたのですけれど、申し入れが学園長たちから断られてしまいました」
「あら、どうしてなのですか?」
「合宿で魔力をほとんど使い果たしてしまったからです。あの呪具は私から魔力を奪って発動したらしいので、今の私の魔力はほぼ空っぽなんです。最低限を使うには支障はないのですが、さすがに試験ともなると厳しいと思うんです」
「ああ、なるほど」
テールの話を理解する私たちだった。となると、それを断った学園側は結構意地悪な事をしたわね。まあ、規則的に全員の学生に受けてもらわないといけないからなんでしょうけど。
「分かりました。そこは私がどうにか対処しておきますよ」
「ありがとうございます、アンマリア様」
頭を下げてお礼を言うテールである。
さて、学園に着くと後期末の魔法実技試験の準備を始める。私は免除なので裏方なんだもの。
モモはいい成績を残すと張り切って、私に大手を振って宣誓をしていた。そんな事言って大丈夫なのかしらね。
そんなわけで私はテールを連れて、魔法試験の行われる訓練場へとやって来た。
「これはアンマリア嬢、今日の準備ですかな? っと、そちらはテール嬢ではないですか」
「はい、学園長。彼女にはちょっと裏方を手伝ってもらおうと思いましてね」
「魔力が無いから辞退したいと申してきたのを真に受けていらっしゃるのですか?」
学園長が疑いの目を向けてくる。
「そうですよ。鑑定してみましたけど、確かに枯渇状態でしたから。無理をさせるのはよろしくないのではないですか?」
「むむむむ……」
私の言葉に唸る学園長である。
「むぅ、お前さんがそう言うのなら仕方がない。今回だけだからな」
「ありがとうございます!」
テールは頭を下げていた。
「さて、ちゃちゃっと試験を作っちゃいますか。前期と同じで問題ないですかね」
「ああ構わんよ」
許可も出た事で、私は魔法実技試験の装置をあっという間に作り上げてしまう。2回目ともなれば楽ね。
こうして、後期末の試験も佳境を迎える事となったのだった。
エスカを連れて行って時々ベジタリウス王国の様子を確認してきたのだけど、向こうもかなり苦戦している模様。相手が隠密の諜報部隊なためにすんなりとはいかないようだった。表情を見てもかなりぐったりしている様子で、以前の捕まえた人物からも情報は引き出せなかったようだった。
ただ、その人物からも呪いの反応が見えたので、私とエスカで浄化をしておいた。幸い軽度だったけれど、どうも呪いのせいで操られていたらしく、国王の命を狙った事を覚えていなかったようだ。
呪いが解けて正気に戻った隊員は石畳に何度も頭をぶつけながら土下座による謝罪していたので、処刑は免れたとの事だった。甘いけれども本人がものすごく反省しているとのことで、半ば同情によって刑罰が軽減されたのである。今は城の中で肉体労働に従事しているそうだ。
年末の試験では、相変わらずモモが厳しそうな顔をしていた。ついでにエスカも。
意外とテールは余裕そうな感じにしていて、私の代わりにモモの勉強を見ているようだ。私はエスカに泣きつかれていた。
「アンマリア! 私、サーロインの歴史なんて分からないわ!」
開口一番それである。前期もあったでしょうに、歴史の試験……。
そういえば、歴史や法律の勉強で荒れてたらしいわね、エスカって。半年くらいじゃ改善は無理か……。
頭が痛くなりながらも、私は根気強くエスカの勉強を見ている。アーサリーには期待ができる気がしないし、ミール王国の権威を守るためにもエスカには頑張ってもらわないとね。
自分の勉強もあるために、かなり睡眠時間を削りながらも私は勉強に打ち込んだのだった。
そうして迎えた、2年生の後期末試験。
相変わらず緊張した表情のモモである。それに対して私とテールは余裕があった。
ちなみにエスカはぶつぶつと教科書とにらめっこをしていた。もしかして、エスカって前世でも勉強が苦手だったのかしらね。
馬車の中は異様な雰囲気のまま、学園までの道のりを進んでいった。
結果、座学の試験に関してはモモもエスカも手応えはよろしくなかった模様。モモにいたってはこれで4回目の定期試験なのに、まったく成長が見られない感じだった。
「テールさんって勉強できたのですね」
「はい、貴族の生活に馴染めるように必死に頑張ってきたせいか、自然と理解できるようになりました。歴代国王の名前とか、サーロイン王国内の貴族爵の名前とか、言おうと思えば全部言えますよ」
「おおう、それはすごいわね……」
にこにこと笑顔で言うテールだけど、内容がぶっ飛んでいて私は顔を引きつらせていた。ごめん、私でも無理だわ、それ。
笑顔のテールから視線を逸らしてモモの方を見ると、まるで信じられないものを見たというような青ざめた表情のモモが居た。まぁ、テールの言った事は実際にほぼ不可能だものね。相当の暗記力がないと無理だわ。
「もう、座学は嫌……」
モモはがくんと項垂れて黙り込んでしまっていた。重苦しい雰囲気の中、私たちは座学試験を終えて家に戻ったのだった。
翌日は気を取り直しての魔法実技試験である。こうなるとモモもエスカも元気になる。逆にテールの方が不安げな様子だった。
「今回は私は受けたくないと考えていたのですけれど、申し入れが学園長たちから断られてしまいました」
「あら、どうしてなのですか?」
「合宿で魔力をほとんど使い果たしてしまったからです。あの呪具は私から魔力を奪って発動したらしいので、今の私の魔力はほぼ空っぽなんです。最低限を使うには支障はないのですが、さすがに試験ともなると厳しいと思うんです」
「ああ、なるほど」
テールの話を理解する私たちだった。となると、それを断った学園側は結構意地悪な事をしたわね。まあ、規則的に全員の学生に受けてもらわないといけないからなんでしょうけど。
「分かりました。そこは私がどうにか対処しておきますよ」
「ありがとうございます、アンマリア様」
頭を下げてお礼を言うテールである。
さて、学園に着くと後期末の魔法実技試験の準備を始める。私は免除なので裏方なんだもの。
モモはいい成績を残すと張り切って、私に大手を振って宣誓をしていた。そんな事言って大丈夫なのかしらね。
そんなわけで私はテールを連れて、魔法試験の行われる訓練場へとやって来た。
「これはアンマリア嬢、今日の準備ですかな? っと、そちらはテール嬢ではないですか」
「はい、学園長。彼女にはちょっと裏方を手伝ってもらおうと思いましてね」
「魔力が無いから辞退したいと申してきたのを真に受けていらっしゃるのですか?」
学園長が疑いの目を向けてくる。
「そうですよ。鑑定してみましたけど、確かに枯渇状態でしたから。無理をさせるのはよろしくないのではないですか?」
「むむむむ……」
私の言葉に唸る学園長である。
「むぅ、お前さんがそう言うのなら仕方がない。今回だけだからな」
「ありがとうございます!」
テールは頭を下げていた。
「さて、ちゃちゃっと試験を作っちゃいますか。前期と同じで問題ないですかね」
「ああ構わんよ」
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こうして、後期末の試験も佳境を迎える事となったのだった。
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