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第七章 3年目前半
第344話 確認は念入りに
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私のために用意された客間に、メチルを連れてきた私。とりあえず、RPG仕様の拡張版の話を聞いてみる事にする。
「メチルといったわね。拡張版の話を聞かせてもらっていいかしら」
「あっはい、構いませんよ」
ちょっと驚いたように反応していたものの、メチルは拡張版の話をし始めた。
ミズーナ王女はヒロイン選択式で、私のストーリーとは1年ずれたところまでプレイできるようだったけれど、メチルが話しているジャンル替え版は最初の私のストーリーを踏襲したものらしい。
元が元ゆえにシミュレーション要素を残しつつ、うまくRPGに落とし込んでいるようだった。いや、RPGじゃなくてシミュレーションRPGといった感じかしらね。
単純だった戦闘シーンはキャラも魔物もよく動くという変態(褒め言葉)なゲームになったらしい。乙女ゲームの時より売れたってどういう事かしらね。
仲間になるのは拡張版も含めたヒロインとライバル令嬢、それと攻略対象たち全員で、最大6人パーティーで魔王を倒してエンディングを迎えるというものなのだそうだ。
ちなみに私とミズーナ王女は、痩せていかないと敏捷のパラメータに悪影響を及ぼすらしい。変にこだわっているわね。
ラスボス対戦時に鉄板となる組み合わせは、私、サキ、エスカ、ミズーナ王女と王子から二人という組み合わせらしい。ヒロインである私とミズーナ王女、それと聖女であるサキが居るのは分かるんだけど、なぜエスカが加えられるのか。
その理由は彼女の適性が闇と水という事にあるそうな。
闇属性適性があるので、魔王の闇属性の攻撃が通りにくい。
水属性適性があるので回復魔法が使える。
この2点からエスカは必ず放り込まれるそうだ。いいように扱われてるじゃないのよ、エスカ……。
ただ、エスカには弱点があって、属性武器を持たしておかないと攻撃が全部闇属性になってしまう事。闇属性と魔王は大軽減か吸収という相性なのだ。どういう特性持ちなのかしら……。
「なるほどね。大体話は分かったわ。そのゲームの中だと、あなたは早い段階に出てきて最初に倒される四天王というわけなのね」
「そういう事です。ゲーム中は聖女まがいな事をして人間を洗脳しようとしてましたが、私はそんなことする気はありませんよ。前世を思い出した以上は、私だって人間です。人間の敵になんて回ろうなんて考えません」
メチルはそう言っている。彼女の瞳は真っすぐだった。この世界の魔族がどんなものだか知らないけれど、彼女の事は信じられる気がした。
「それで、魔族の方の情報は話せそう?」
「あっ、そうですね。そちらも私の知る限りお話します」
ゲームの情報は聞いたので、とにかく現状欲しい魔族の情報を聞き出す事にする。敵の姿が見えないだけに、メチルからの情報だけが頼りだわ。
「私たちは魔王ヴァ―ラスの下に生み出されて集った魔族です。参謀であるサンカリー、魅了系のテリア、呪具使いのテトロ、それと私メチルです。私は治癒系の能力しかないので、四天王といっても形だけですけれど」
そう言って、しゅんと下を向いてしまうメチルである。
ところが、私はその中に気になる単語があった。
(呪具使い? まさか、テールやロートント男爵の件って……)
そう、呪具使いテトロという言葉だった。
「アンマリア?」
急に黙り込んで考え込んだ私を見て、メチルが不思議そうな表情で話し掛けてきた。
「いえ、呪具使いというのに引っ掛かりを覚えましたのでね。去年、呪具絡みの事件が起きましたので」
私がそう返すと、今度はメチルが深刻そうな表情で考え始めた。
「やっぱり、テトロはサーロイン王国内で活動しているのですね。その時の話を詳しく聞かせて頂けませんかね」
「ええ、いいですよ」
真剣な表情で聞いてくるものだから、私はメチルに呪具絡みの事件について話をしておいた。
「なるほどですね。確かに呪具は魔王の魔力を多分に含んでいますから、普通に触れれば精神を蝕まれていきます。でも、テトロはその効果を自由に操れるんです。そのロートント男爵という方は、渡された時に邪気に触れて異常をきたしたのでしょう」
メチルはそのように話している。それはサーロインの国内で調べていた話と一致する。嘘は言っていないようである。
「それにしても、メチルってこの防護魔法の中でも平気で動いているわね。魔族ってそんなものなのかしら」
「それは何とも言えませんね。ただ、今の私は人間に対する悪意は持ち合わせていないので、その点で平気なのかも知れませんね。ただ、この空間に出入りする際には魔族の体にダメージが出るようなので、他の魔族たちにもちょっとした牽制にはなると思いますよ」
私の質問に考え込みながら答えるメチル。
「たださっきも言いました通り、私が入り込める以上は、他の魔族も侵入できる可能性は高いです。もっと根本的に対策を講じる必要はありますね」
メチルはそのようにきっぱりと断じていた。
「分かったわ。明日サーロインに戻るから、その時に他のみんなとも相談する事にするわね」
話のキリがついた事で、この話をとりあえず終わる私たち。
ひとまずは他の転生者であるエスカとミズーナ王女と相談してからね。
いろいろと考え事をしながら、私とメチルは眠りについたのだった。
「メチルといったわね。拡張版の話を聞かせてもらっていいかしら」
「あっはい、構いませんよ」
ちょっと驚いたように反応していたものの、メチルは拡張版の話をし始めた。
ミズーナ王女はヒロイン選択式で、私のストーリーとは1年ずれたところまでプレイできるようだったけれど、メチルが話しているジャンル替え版は最初の私のストーリーを踏襲したものらしい。
元が元ゆえにシミュレーション要素を残しつつ、うまくRPGに落とし込んでいるようだった。いや、RPGじゃなくてシミュレーションRPGといった感じかしらね。
単純だった戦闘シーンはキャラも魔物もよく動くという変態(褒め言葉)なゲームになったらしい。乙女ゲームの時より売れたってどういう事かしらね。
仲間になるのは拡張版も含めたヒロインとライバル令嬢、それと攻略対象たち全員で、最大6人パーティーで魔王を倒してエンディングを迎えるというものなのだそうだ。
ちなみに私とミズーナ王女は、痩せていかないと敏捷のパラメータに悪影響を及ぼすらしい。変にこだわっているわね。
ラスボス対戦時に鉄板となる組み合わせは、私、サキ、エスカ、ミズーナ王女と王子から二人という組み合わせらしい。ヒロインである私とミズーナ王女、それと聖女であるサキが居るのは分かるんだけど、なぜエスカが加えられるのか。
その理由は彼女の適性が闇と水という事にあるそうな。
闇属性適性があるので、魔王の闇属性の攻撃が通りにくい。
水属性適性があるので回復魔法が使える。
この2点からエスカは必ず放り込まれるそうだ。いいように扱われてるじゃないのよ、エスカ……。
ただ、エスカには弱点があって、属性武器を持たしておかないと攻撃が全部闇属性になってしまう事。闇属性と魔王は大軽減か吸収という相性なのだ。どういう特性持ちなのかしら……。
「なるほどね。大体話は分かったわ。そのゲームの中だと、あなたは早い段階に出てきて最初に倒される四天王というわけなのね」
「そういう事です。ゲーム中は聖女まがいな事をして人間を洗脳しようとしてましたが、私はそんなことする気はありませんよ。前世を思い出した以上は、私だって人間です。人間の敵になんて回ろうなんて考えません」
メチルはそう言っている。彼女の瞳は真っすぐだった。この世界の魔族がどんなものだか知らないけれど、彼女の事は信じられる気がした。
「それで、魔族の方の情報は話せそう?」
「あっ、そうですね。そちらも私の知る限りお話します」
ゲームの情報は聞いたので、とにかく現状欲しい魔族の情報を聞き出す事にする。敵の姿が見えないだけに、メチルからの情報だけが頼りだわ。
「私たちは魔王ヴァ―ラスの下に生み出されて集った魔族です。参謀であるサンカリー、魅了系のテリア、呪具使いのテトロ、それと私メチルです。私は治癒系の能力しかないので、四天王といっても形だけですけれど」
そう言って、しゅんと下を向いてしまうメチルである。
ところが、私はその中に気になる単語があった。
(呪具使い? まさか、テールやロートント男爵の件って……)
そう、呪具使いテトロという言葉だった。
「アンマリア?」
急に黙り込んで考え込んだ私を見て、メチルが不思議そうな表情で話し掛けてきた。
「いえ、呪具使いというのに引っ掛かりを覚えましたのでね。去年、呪具絡みの事件が起きましたので」
私がそう返すと、今度はメチルが深刻そうな表情で考え始めた。
「やっぱり、テトロはサーロイン王国内で活動しているのですね。その時の話を詳しく聞かせて頂けませんかね」
「ええ、いいですよ」
真剣な表情で聞いてくるものだから、私はメチルに呪具絡みの事件について話をしておいた。
「なるほどですね。確かに呪具は魔王の魔力を多分に含んでいますから、普通に触れれば精神を蝕まれていきます。でも、テトロはその効果を自由に操れるんです。そのロートント男爵という方は、渡された時に邪気に触れて異常をきたしたのでしょう」
メチルはそのように話している。それはサーロインの国内で調べていた話と一致する。嘘は言っていないようである。
「それにしても、メチルってこの防護魔法の中でも平気で動いているわね。魔族ってそんなものなのかしら」
「それは何とも言えませんね。ただ、今の私は人間に対する悪意は持ち合わせていないので、その点で平気なのかも知れませんね。ただ、この空間に出入りする際には魔族の体にダメージが出るようなので、他の魔族たちにもちょっとした牽制にはなると思いますよ」
私の質問に考え込みながら答えるメチル。
「たださっきも言いました通り、私が入り込める以上は、他の魔族も侵入できる可能性は高いです。もっと根本的に対策を講じる必要はありますね」
メチルはそのようにきっぱりと断じていた。
「分かったわ。明日サーロインに戻るから、その時に他のみんなとも相談する事にするわね」
話のキリがついた事で、この話をとりあえず終わる私たち。
ひとまずは他の転生者であるエスカとミズーナ王女と相談してからね。
いろいろと考え事をしながら、私とメチルは眠りについたのだった。
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