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第九章 拡張版ミズーナ編
第441話 いざ、建国祭へ
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フィレン王子の誕生日パーティーは、いつも通り国内の貴族たちだけを集めて行われ、無事に終了する。
それが終わると、翌日にはミズーナ王女はエスカやメチルと一緒にミール王国へと向かっていた。
「本当に私たちだけなんですね」
メチルは予想外な展開に、驚いていたようだった。
「仕方ないわ。アンマリアたちは王妃教育で忙しいし、フィレン殿下も公務の手伝い、リブロ殿下は学園ですもの。サーロイン王国の特に王族は神経がピリピリと逆立っているから、とても他国に人を送れた状態ではないわ」
「レッタス殿下も、同じような理由なのかしら」
「まあ、そういうところね。お兄様は王太子ですから、何かあっては困りますから」
今回は三人だけで動く事を、ミズーナ王女はそのように説明していた。
「それはそうと、ミズーナ王女殿下はいいとして、エスカ王女殿下の学業は大丈夫なのですか?」
メチルはエスカを見ながら、懸念を口にしていた。それもそうだろう。エスカの学業は、座学が壊滅的なのである。だというのに二週間は抜け出て自国の行事に参加するのである。心配になって当然といえよう。
「国の事情があるから、出席日数には影響しないわ。でも、その分学業は大変でしょうね。戻ったらアンマリアにしっかりと見てもらわないといけないかもね」
「こ、怖いことを言わないでよ……」
ミズーナ王女がため息まじりに言うと、エスカは本気でびびっているようだった。どれだけ学業が嫌いなのやら、まったく困ったお姫様である。
そんなミズーナ王女たちの旅路も、いよいよミール王国へと突入する。
サングリエ辺境伯領から国境を超えてミール王国へと突入した途端、ミズーナ王女たちはなんともいえない違和感に襲われた。
「な、なに、この感覚は……」
「一体どうなっているのよ。先日戻った時はなんともなかったじゃないの……」
ミズーナ王女は思わず吐き気を催してしまい、エスカも顔を歪めるくらいだった。ただ、メチル一人だけが平気だった。
「我が魔力よ、結界となりてこの者たちを守り給え」
あまりにもきつそうな様子を見たメチルは、冷静に聖女の力を発動させる。馬車を丸ごと包み込み、ミズーナ王女もエスカもすっかり状態が回復したようだった。
「な、何なのよ。今のおぞましい感覚は……」
「何かあったの?」
エスカが腕を抱えて震えていると、アルーがあっけらかんとした表情で出現した。
「国境に入った途端、おぞましいまでの魔力を感じたんだけど?!」
エスカが必死に訴えるものの、アルーにはまったく分からなかったようだ。だが、メチルの方が深刻な表情をしている。これは一体どういう事なのか。
「もしかしたら、私たち三人だけに分かる何かだったのかもしれませんね」
「どういうこと?」
ミズーナ王女が問い掛ける。どう考えてもわけが分からない状況なのだ、当然だろう。
「私たちが気分が悪くなったというのに、馬車自体は何も異変がなかったんです。御者や馬に魔法をかけたのですが、どうも効果がなかったようなのです」
「はあ? わけが分からないわね」
食って掛かるエスカである。
「アルーもなんともないんでしょう?」
「ええ、そうね。なんともないわ」
メチルの質問にしれっと答えるアルーである。
「となると、私たち三人に共通している点といったら、自然と絞れます」
「……転生者、か」
ミズーナ王女が結論に至る。
そう、ミール王国に入った途端に異変が起きたミズーナ王女、メチル、エスカに共通するのは、前世を持つ転生者という点だった。
「それはそうとしても、どうしてそうなっているのか気になるわね」
アルーは唯一転生者ではないとはいえ、メチルとは運命共同体にある。それゆえに無関係ではないので気になるというわけだ。
「ともかく、まずは王都シャオンを目指しましょう。そうしたら少しは何か分かるかもしれないもの」
「そうね。メチル、念のために食事には浄化を掛けておいて。何があるか分かったものじゃないわ」
「了解です。それにしても、転生者の中で私だけ影響がないってことは、やっぱりこれって……」
ミズーナ王女の命令に返事をしたものの、何かが気になってしまうメチルである。
だが、その可能性は十分あり得る。なにせ魔王ですら呪具の場所はまったく把握していないのだ。自身が封印されている間に、テトロなどを通じてあちこちにばらまかれたせいである。
その中の一つは収穫祭の時の魔物の襲撃の原因ともなっていた。そのために、この違和感に呪具が関係している可能性は十分に考えられるのである。メチルに影響が出ていないのであればなおさらだ。
呪具が絡んでいるのではないかという不安を抱えながらも、ミズーナ王女たちは無事にミール王国の王都シャオンに到着する。
エスカが懸念を口にしていたために警戒していたものの、城では普通に出迎えられたためにひとまずは安心といったところだ。だが、三人にはまったく油断が許されない状況には変わりなかった。
ミール王国の建国祭まではあと3日。ミズーナ王女たちにも建国祭のための準備が急ピッチで進められたのだった。
それが終わると、翌日にはミズーナ王女はエスカやメチルと一緒にミール王国へと向かっていた。
「本当に私たちだけなんですね」
メチルは予想外な展開に、驚いていたようだった。
「仕方ないわ。アンマリアたちは王妃教育で忙しいし、フィレン殿下も公務の手伝い、リブロ殿下は学園ですもの。サーロイン王国の特に王族は神経がピリピリと逆立っているから、とても他国に人を送れた状態ではないわ」
「レッタス殿下も、同じような理由なのかしら」
「まあ、そういうところね。お兄様は王太子ですから、何かあっては困りますから」
今回は三人だけで動く事を、ミズーナ王女はそのように説明していた。
「それはそうと、ミズーナ王女殿下はいいとして、エスカ王女殿下の学業は大丈夫なのですか?」
メチルはエスカを見ながら、懸念を口にしていた。それもそうだろう。エスカの学業は、座学が壊滅的なのである。だというのに二週間は抜け出て自国の行事に参加するのである。心配になって当然といえよう。
「国の事情があるから、出席日数には影響しないわ。でも、その分学業は大変でしょうね。戻ったらアンマリアにしっかりと見てもらわないといけないかもね」
「こ、怖いことを言わないでよ……」
ミズーナ王女がため息まじりに言うと、エスカは本気でびびっているようだった。どれだけ学業が嫌いなのやら、まったく困ったお姫様である。
そんなミズーナ王女たちの旅路も、いよいよミール王国へと突入する。
サングリエ辺境伯領から国境を超えてミール王国へと突入した途端、ミズーナ王女たちはなんともいえない違和感に襲われた。
「な、なに、この感覚は……」
「一体どうなっているのよ。先日戻った時はなんともなかったじゃないの……」
ミズーナ王女は思わず吐き気を催してしまい、エスカも顔を歪めるくらいだった。ただ、メチル一人だけが平気だった。
「我が魔力よ、結界となりてこの者たちを守り給え」
あまりにもきつそうな様子を見たメチルは、冷静に聖女の力を発動させる。馬車を丸ごと包み込み、ミズーナ王女もエスカもすっかり状態が回復したようだった。
「な、何なのよ。今のおぞましい感覚は……」
「何かあったの?」
エスカが腕を抱えて震えていると、アルーがあっけらかんとした表情で出現した。
「国境に入った途端、おぞましいまでの魔力を感じたんだけど?!」
エスカが必死に訴えるものの、アルーにはまったく分からなかったようだ。だが、メチルの方が深刻な表情をしている。これは一体どういう事なのか。
「もしかしたら、私たち三人だけに分かる何かだったのかもしれませんね」
「どういうこと?」
ミズーナ王女が問い掛ける。どう考えてもわけが分からない状況なのだ、当然だろう。
「私たちが気分が悪くなったというのに、馬車自体は何も異変がなかったんです。御者や馬に魔法をかけたのですが、どうも効果がなかったようなのです」
「はあ? わけが分からないわね」
食って掛かるエスカである。
「アルーもなんともないんでしょう?」
「ええ、そうね。なんともないわ」
メチルの質問にしれっと答えるアルーである。
「となると、私たち三人に共通している点といったら、自然と絞れます」
「……転生者、か」
ミズーナ王女が結論に至る。
そう、ミール王国に入った途端に異変が起きたミズーナ王女、メチル、エスカに共通するのは、前世を持つ転生者という点だった。
「それはそうとしても、どうしてそうなっているのか気になるわね」
アルーは唯一転生者ではないとはいえ、メチルとは運命共同体にある。それゆえに無関係ではないので気になるというわけだ。
「ともかく、まずは王都シャオンを目指しましょう。そうしたら少しは何か分かるかもしれないもの」
「そうね。メチル、念のために食事には浄化を掛けておいて。何があるか分かったものじゃないわ」
「了解です。それにしても、転生者の中で私だけ影響がないってことは、やっぱりこれって……」
ミズーナ王女の命令に返事をしたものの、何かが気になってしまうメチルである。
だが、その可能性は十分あり得る。なにせ魔王ですら呪具の場所はまったく把握していないのだ。自身が封印されている間に、テトロなどを通じてあちこちにばらまかれたせいである。
その中の一つは収穫祭の時の魔物の襲撃の原因ともなっていた。そのために、この違和感に呪具が関係している可能性は十分に考えられるのである。メチルに影響が出ていないのであればなおさらだ。
呪具が絡んでいるのではないかという不安を抱えながらも、ミズーナ王女たちは無事にミール王国の王都シャオンに到着する。
エスカが懸念を口にしていたために警戒していたものの、城では普通に出迎えられたためにひとまずは安心といったところだ。だが、三人にはまったく油断が許されない状況には変わりなかった。
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