447 / 492
第447話 夏休みが始まる
ルナ・フォルモントに勉強を見てもらえることになった満だったが、そうしている間に終業式を迎えることになる。
一学期が終わったその時、満は香織から話しかけられる。
「ねえ、満くん。ちょっと相談はいい?」
「えっ? いいよ、香織ちゃん」
真剣な表情に見えた満は、申し出を二つ返事で了承していた。
帰り道、風斗も一緒になったところで、香織は相談の内容を満に打ち明ける。
「クラスの女子からね、プールに誘われたんだけど、満くんも一緒にどうかなって思ったの」
「なんで女子たちの集まりに僕を呼ぶの?!」
香織からの相談を受けた満は、第一声でそう言い返していた。
「まったくだぞ。いくら変身できるからっていっても、それはどうかと思うな」
風斗も満の肩を持って、香織に言い返している。
「そうなんだけど、ちょっと詳しい話をするとややこしいのよ。説明させてもらってもいい?」
「まあ、事情くらいは聞くさ。なあ、満」
「うん。どういうことか聞かせてもらえる?」
やむなく自転車を止めて、香織から詳しい話を聞くことにする。
それによれば、どうやらゴールデンウィークの時に姿を見せたルナの話が出てきたらしい。よりによって、その時に香織が知り合いだと勢い余っていってしまったことで、プールに行くから誘ってきてよということになったのだという。
「……なんだよ、それ。完全に花宮のやらかしじゃねえか。満にフォローを頼むんじゃねえよ」
「分かってる。分かってるけど……」
風斗が強く言えば、香織はしどろもどろになっていく。
こうなってくると、満がどう動くかということはもう想像に難くないというものだ。
「分かったよ。僕がいけば丸く収まるんでしょ?」
「おい、満……」
そう、満が助け舟を出してしまったのだ。本当にお人好しというほかない。
風斗が止めようとするも、満は行く気を固めてしまったようだった。こうなってしまっては、満を止めるのは難しいだろう。風斗は顔に手を当ててあちゃーと言わんばかりに上を向いていた。
「週末は配信予定で女性になるつもりだから、ちょうどいいよ。問題は、水着が合うかどうかかなぁ……。ダメそうだったらお母さんに相談してみる」
「ごめんね、満くん」
「いいよ、幼馴染みなんだし」
両手を合わせて謝る香織に対して、満は照れくさそうに答えていた。
「まったく、どうなったって知らねえからな、俺は……」
話がまとまる中、風斗ただ一人だけが頭を抱えているようだった。
そんなこんなで翌日を迎える。
夏休みの初日が週末にかち合っているために、混雑するだろうということで早めの出発になっている。
香織との約束は、市民プールに現地集合である。
「それじゃ、お母さん。行ってくるね」
「ええ、行ってらっしゃい。痴漢には気をつけるのよ」
「うん、気をつけるね」
母親に見送られながら、満は朝の八時半には家を出ていった。
市民プールの開業は朝の九時半だが、なるべく早い順番を取れるようにと満は一人早く出ていったのだ。
ルナ・フォルモントの影響が残っているので、女性の姿の時の満は日の光には少し弱い。日焼けを考えて、しっかりと日焼け対策をした上で満は出かけていった。
とはいえ、服装はキャミソールにショートパンツだ。薄手のカーディガンを羽織っているとはいえ、ずいぶんと肌の露出が多いものである。
市民プールに到着した満は、駐輪場に自転車を止めて入口にやってくる。
辺りを見回してみるも、まだ誰も来ていないようである。
「あれぇ……。みんなまだ来てないのか。もう人が並び始めてるよ」
満が市民プールの入口を見ると、すでに十数人ほどの待機列ができていた。
「みんな遅いなぁ。しょうがない、僕だけ並んでいてもしょうがないから、誰か来るのを待つかな」
満はしょうがなく、待機列から離れた日陰でみんなを待つことにした。
しばらくすると、ようやく香織がやって来た。
「ごめん、ルナちゃん。待たせちゃったわね」
「大丈夫だよ。まだ五分くらいしか待ってないから」
謝っている香織に対して、満はしれっと答えていた。
「他のみんなはまだなのかな。というか、何人くらい来るの?」
「私以外には三人かな。どうしよう、だいぶ列が長くなってきてるよね」
満と話をしながら、香織は入口の方へと目を向ける。たった五分しか経っていないというのに、もう入場待機列は五十人を超えてしまっていた。
「さすが夏休み最初の日曜日ね」
「本当だね。しかも無料開放とあって、なおさら入りやすくなってるもんね」
満たちは今も伸びていく待機列を見ながら、困った顔をしている。
「しょうがない。私たちだけで先に行きましょう。中で集合場所を決めて、そこで集まる様にしよう」
「うん、そうだね。しょうがない」
そんなわけで、満と香織は他の友だちに先に中に入って待っているという連絡を入れておくことになった。
「これでよしっと。それじゃ、先に行きましょっか」
「うん、そうだね」
連絡を入れた香織は、満と手をつなぎながら待機列のところへと移動していく。
見た目から女の子同士であるため周りは気に留めない行動ではあるが、香織は満と手をつなぎながら顔を赤くしていた。
こうして、高校生になった満たちの最初の夏が始まるのであった。
一学期が終わったその時、満は香織から話しかけられる。
「ねえ、満くん。ちょっと相談はいい?」
「えっ? いいよ、香織ちゃん」
真剣な表情に見えた満は、申し出を二つ返事で了承していた。
帰り道、風斗も一緒になったところで、香織は相談の内容を満に打ち明ける。
「クラスの女子からね、プールに誘われたんだけど、満くんも一緒にどうかなって思ったの」
「なんで女子たちの集まりに僕を呼ぶの?!」
香織からの相談を受けた満は、第一声でそう言い返していた。
「まったくだぞ。いくら変身できるからっていっても、それはどうかと思うな」
風斗も満の肩を持って、香織に言い返している。
「そうなんだけど、ちょっと詳しい話をするとややこしいのよ。説明させてもらってもいい?」
「まあ、事情くらいは聞くさ。なあ、満」
「うん。どういうことか聞かせてもらえる?」
やむなく自転車を止めて、香織から詳しい話を聞くことにする。
それによれば、どうやらゴールデンウィークの時に姿を見せたルナの話が出てきたらしい。よりによって、その時に香織が知り合いだと勢い余っていってしまったことで、プールに行くから誘ってきてよということになったのだという。
「……なんだよ、それ。完全に花宮のやらかしじゃねえか。満にフォローを頼むんじゃねえよ」
「分かってる。分かってるけど……」
風斗が強く言えば、香織はしどろもどろになっていく。
こうなってくると、満がどう動くかということはもう想像に難くないというものだ。
「分かったよ。僕がいけば丸く収まるんでしょ?」
「おい、満……」
そう、満が助け舟を出してしまったのだ。本当にお人好しというほかない。
風斗が止めようとするも、満は行く気を固めてしまったようだった。こうなってしまっては、満を止めるのは難しいだろう。風斗は顔に手を当ててあちゃーと言わんばかりに上を向いていた。
「週末は配信予定で女性になるつもりだから、ちょうどいいよ。問題は、水着が合うかどうかかなぁ……。ダメそうだったらお母さんに相談してみる」
「ごめんね、満くん」
「いいよ、幼馴染みなんだし」
両手を合わせて謝る香織に対して、満は照れくさそうに答えていた。
「まったく、どうなったって知らねえからな、俺は……」
話がまとまる中、風斗ただ一人だけが頭を抱えているようだった。
そんなこんなで翌日を迎える。
夏休みの初日が週末にかち合っているために、混雑するだろうということで早めの出発になっている。
香織との約束は、市民プールに現地集合である。
「それじゃ、お母さん。行ってくるね」
「ええ、行ってらっしゃい。痴漢には気をつけるのよ」
「うん、気をつけるね」
母親に見送られながら、満は朝の八時半には家を出ていった。
市民プールの開業は朝の九時半だが、なるべく早い順番を取れるようにと満は一人早く出ていったのだ。
ルナ・フォルモントの影響が残っているので、女性の姿の時の満は日の光には少し弱い。日焼けを考えて、しっかりと日焼け対策をした上で満は出かけていった。
とはいえ、服装はキャミソールにショートパンツだ。薄手のカーディガンを羽織っているとはいえ、ずいぶんと肌の露出が多いものである。
市民プールに到着した満は、駐輪場に自転車を止めて入口にやってくる。
辺りを見回してみるも、まだ誰も来ていないようである。
「あれぇ……。みんなまだ来てないのか。もう人が並び始めてるよ」
満が市民プールの入口を見ると、すでに十数人ほどの待機列ができていた。
「みんな遅いなぁ。しょうがない、僕だけ並んでいてもしょうがないから、誰か来るのを待つかな」
満はしょうがなく、待機列から離れた日陰でみんなを待つことにした。
しばらくすると、ようやく香織がやって来た。
「ごめん、ルナちゃん。待たせちゃったわね」
「大丈夫だよ。まだ五分くらいしか待ってないから」
謝っている香織に対して、満はしれっと答えていた。
「他のみんなはまだなのかな。というか、何人くらい来るの?」
「私以外には三人かな。どうしよう、だいぶ列が長くなってきてるよね」
満と話をしながら、香織は入口の方へと目を向ける。たった五分しか経っていないというのに、もう入場待機列は五十人を超えてしまっていた。
「さすが夏休み最初の日曜日ね」
「本当だね。しかも無料開放とあって、なおさら入りやすくなってるもんね」
満たちは今も伸びていく待機列を見ながら、困った顔をしている。
「しょうがない。私たちだけで先に行きましょう。中で集合場所を決めて、そこで集まる様にしよう」
「うん、そうだね。しょうがない」
そんなわけで、満と香織は他の友だちに先に中に入って待っているという連絡を入れておくことになった。
「これでよしっと。それじゃ、先に行きましょっか」
「うん、そうだね」
連絡を入れた香織は、満と手をつなぎながら待機列のところへと移動していく。
見た目から女の子同士であるため周りは気に留めない行動ではあるが、香織は満と手をつなぎながら顔を赤くしていた。
こうして、高校生になった満たちの最初の夏が始まるのであった。
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)
MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。
かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。
44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。
小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。
一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。
ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【短編集】こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。