マジカル☆パステル

未羊

文字の大きさ
120 / 197

第120話 三傑決戦・その3

しおりを挟む
 ブラークはパステルブラウンとパステルパープルの二人を相手に苦戦をしていた。あっという間に自分が召喚したモノトーンを倒され、パステル戦士の中でも最強の二人を相手に徐々に追い詰められていた。
「ぐぬぅ、ばかな! 我がここまで追い詰められるとは!」
 実に信じられないといった感じのブラークである。
 2対1で戦うブラークだが、接近すればパステルブラウンのサーベル、距離を取ればパステルパープルのシールドブーメランが飛んでくる。ブラークの戦術ではうまく対応できなかった。なんとか自分の武器である毛筆を取り出したはいいが、大振りなのでサーベルの細やかな動きに対応しきれない。ブラークは徐々に追い込まれていく。
「ぐぬぬぬ……、このままで終われるのもか! 我は、我はモノトーン三傑ぞ!」
 ブラークが叫ぶが、二人の攻撃は緩む事はない。元々強かった二人が、さらに腕を上げていたのだ。ブラークの表情に焦りの色が見え始める。
 その時だった。
 突如として木炭が降り注ぐ。それに気が付いたパステルパープルは、
「パステル・ヴァニッシング・ブリザード!」
 木炭を遠目からすべて凍らせて撃ち落とした。
「グーレイ!」
 ブラークの隣にグーレイが降り立つ。
「ふっ。ブラーク、苦戦しているようだな。助太刀致す」
「伝説の戦士どもはどうした?」
 突如として現れたグーレイに、ブラークは問い詰める。
「我のところにはパステルピンクとパステルシアンが来たが、モノトーンに任せてきた。ブラークが苦戦している姿が見えたのでな」
「くっ、お前に助けられるのは癪だが、今ばかりは助かるぞ」
 グーレイが自分のところにやって来た事に驚いているが、理由を言われて何も言い返せなくなるブラーク。連携を取る事はあっても、さすがに助けられるのはプライドが許さないのか、不本意ながらと言わんばかりの口調で礼を言っていた。
「ブラークとグーレイか……。さすがにあたいたちでも、厳しい感じかしらね」
「ですわね。でも、ここで退くわけには参りませんわ。わたくしたちが負けるような事があれば、あの人たちを止める手立ては無くなりますもの」
「ええ、そうね」
 パステルブラウンとパステルパープルに緊張が走る。
「ふっ、これで2対2。お前たちを倒し、その亡骸をダクネース様への手土産としてくれようぞ!」
「甘く見ないで下さらないこと? それに、2対2ではありませんわよ」
「カラ、フルー!」
 パステルパープルがちらりと視線を向けると、パステルブラウンが召喚したパペットがひょっこりと姿を現した。
「ふっ、そういう事か。ならば、ブラーク、今のうちだ!」
「おう、そうだなっ! 出会え、モノトーン!」
「モノ、トーンッ!」
 グーレイの乱入によって隙が生まれた事で、ブラークは化け物の再召喚に成功したのである。これにはパステルブラウンとパステルパープルはしまったという顔をする。
「ぐははははっ! これで4対3だ。さぁ、再開と行こうではないか!」
 さっきまでの焦りが消え、ブラークに勢いが戻る。呼ばれてしまったものは仕方がないので、
「パステルパペット。ちょっと荷が重いかも知れないけど、モノトーンの相手を頼むわよ!」
「カルフルーッ!」
 パペットは力を込めると、化け物目がけて突進する。そして、ブラークの呼び出した化け物をその場から遠ざけた。
「さあ、これで完全に2対2ね。決着をつけましょう!」
「ほざけ、小娘がっ!」
 お互いにぶつかり合うパステルブラウンとパステルパープルのパステル戦士、ブラーク、グーレイのモノトーン三傑。
 ひとまずは1対1でぶつかり合う。
 大きな毛筆を振り回すブラークと細やかな動きをするサーベルを持つパステルブラウン。
 自由自在な武器である木炭を操るグーレイと大きさ自由な盾を操るパステルパープルという構図である。
「ふっ、盾だけでどうやってこの我と戦うというのだ?」
「そうですわね。ですが、わたくしとて訓練は積んできたのですわ。見て御覧なさいな」
 グーレイの挑発にパステルパープルは真正面から突っ込んでいく。
「ふっ、いきなりやけを起こしたか。しょせんは浅はかな子どもよ」
 グーレイは木炭のクナイを生み出して、パステルパープルに向けて放つ。しかし、大きくなったパステルパープルの盾はそれらを簡単に防いでしまう。
「さすがに盾と言うべき防御力。しかし、それで前が見えるというのかな?」
 グーレイは盾の大きさによる視界不良を指摘する。だが、パステルパープルはそのまま突っ込んできた。これにはグーレイも鼻で笑う始末だった。
 前が見えぬものとして、デコイを仕掛けてその場から移動するグーレイ。
「蛮勇は愚かに散るがよいぞ!」
 デコイから声を発生させて、自分の位置を誤認させるグーレイ。そして、パステルパープルがデコイに攻撃を仕掛ける瞬間を静かに待った。
(掛かった!)
 グーレイがそう思った時だった。
「そこですわね!」
 予想だにしない事に、パステルパープルがぐるりと自分の方を向いたではないか。だが、グーレイはまだ余裕ぶっていられた。なぜならパステルパープルには武器はない。武器でない技であるなら、躱す自信があったのだ。なので、パステルパープルへの攻撃を止めようとはしなかった。
 だが、そう判断した事で、グーレイは大きな過ちを犯してしまうのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

転生先はご近所さん?

フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが… そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。 でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

処理中です...