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第120話 三傑決戦・その3
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ブラークはパステルブラウンとパステルパープルの二人を相手に苦戦をしていた。あっという間に自分が召喚したモノトーンを倒され、パステル戦士の中でも最強の二人を相手に徐々に追い詰められていた。
「ぐぬぅ、ばかな! 我がここまで追い詰められるとは!」
実に信じられないといった感じのブラークである。
2対1で戦うブラークだが、接近すればパステルブラウンのサーベル、距離を取ればパステルパープルのシールドブーメランが飛んでくる。ブラークの戦術ではうまく対応できなかった。なんとか自分の武器である毛筆を取り出したはいいが、大振りなのでサーベルの細やかな動きに対応しきれない。ブラークは徐々に追い込まれていく。
「ぐぬぬぬ……、このままで終われるのもか! 我は、我はモノトーン三傑ぞ!」
ブラークが叫ぶが、二人の攻撃は緩む事はない。元々強かった二人が、さらに腕を上げていたのだ。ブラークの表情に焦りの色が見え始める。
その時だった。
突如として木炭が降り注ぐ。それに気が付いたパステルパープルは、
「パステル・ヴァニッシング・ブリザード!」
木炭を遠目からすべて凍らせて撃ち落とした。
「グーレイ!」
ブラークの隣にグーレイが降り立つ。
「ふっ。ブラーク、苦戦しているようだな。助太刀致す」
「伝説の戦士どもはどうした?」
突如として現れたグーレイに、ブラークは問い詰める。
「我のところにはパステルピンクとパステルシアンが来たが、モノトーンに任せてきた。ブラークが苦戦している姿が見えたのでな」
「くっ、お前に助けられるのは癪だが、今ばかりは助かるぞ」
グーレイが自分のところにやって来た事に驚いているが、理由を言われて何も言い返せなくなるブラーク。連携を取る事はあっても、さすがに助けられるのはプライドが許さないのか、不本意ながらと言わんばかりの口調で礼を言っていた。
「ブラークとグーレイか……。さすがにあたいたちでも、厳しい感じかしらね」
「ですわね。でも、ここで退くわけには参りませんわ。わたくしたちが負けるような事があれば、あの人たちを止める手立ては無くなりますもの」
「ええ、そうね」
パステルブラウンとパステルパープルに緊張が走る。
「ふっ、これで2対2。お前たちを倒し、その亡骸をダクネース様への手土産としてくれようぞ!」
「甘く見ないで下さらないこと? それに、2対2ではありませんわよ」
「カラ、フルー!」
パステルパープルがちらりと視線を向けると、パステルブラウンが召喚したパペットがひょっこりと姿を現した。
「ふっ、そういう事か。ならば、ブラーク、今のうちだ!」
「おう、そうだなっ! 出会え、モノトーン!」
「モノ、トーンッ!」
グーレイの乱入によって隙が生まれた事で、ブラークは化け物の再召喚に成功したのである。これにはパステルブラウンとパステルパープルはしまったという顔をする。
「ぐははははっ! これで4対3だ。さぁ、再開と行こうではないか!」
さっきまでの焦りが消え、ブラークに勢いが戻る。呼ばれてしまったものは仕方がないので、
「パステルパペット。ちょっと荷が重いかも知れないけど、モノトーンの相手を頼むわよ!」
「カルフルーッ!」
パペットは力を込めると、化け物目がけて突進する。そして、ブラークの呼び出した化け物をその場から遠ざけた。
「さあ、これで完全に2対2ね。決着をつけましょう!」
「ほざけ、小娘がっ!」
お互いにぶつかり合うパステルブラウンとパステルパープルのパステル戦士、ブラーク、グーレイのモノトーン三傑。
ひとまずは1対1でぶつかり合う。
大きな毛筆を振り回すブラークと細やかな動きをするサーベルを持つパステルブラウン。
自由自在な武器である木炭を操るグーレイと大きさ自由な盾を操るパステルパープルという構図である。
「ふっ、盾だけでどうやってこの我と戦うというのだ?」
「そうですわね。ですが、わたくしとて訓練は積んできたのですわ。見て御覧なさいな」
グーレイの挑発にパステルパープルは真正面から突っ込んでいく。
「ふっ、いきなりやけを起こしたか。しょせんは浅はかな子どもよ」
グーレイは木炭のクナイを生み出して、パステルパープルに向けて放つ。しかし、大きくなったパステルパープルの盾はそれらを簡単に防いでしまう。
「さすがに盾と言うべき防御力。しかし、それで前が見えるというのかな?」
グーレイは盾の大きさによる視界不良を指摘する。だが、パステルパープルはそのまま突っ込んできた。これにはグーレイも鼻で笑う始末だった。
前が見えぬものとして、デコイを仕掛けてその場から移動するグーレイ。
「蛮勇は愚かに散るがよいぞ!」
デコイから声を発生させて、自分の位置を誤認させるグーレイ。そして、パステルパープルがデコイに攻撃を仕掛ける瞬間を静かに待った。
(掛かった!)
グーレイがそう思った時だった。
「そこですわね!」
予想だにしない事に、パステルパープルがぐるりと自分の方を向いたではないか。だが、グーレイはまだ余裕ぶっていられた。なぜならパステルパープルには武器はない。武器でない技であるなら、躱す自信があったのだ。なので、パステルパープルへの攻撃を止めようとはしなかった。
だが、そう判断した事で、グーレイは大きな過ちを犯してしまうのだった。
「ぐぬぅ、ばかな! 我がここまで追い詰められるとは!」
実に信じられないといった感じのブラークである。
2対1で戦うブラークだが、接近すればパステルブラウンのサーベル、距離を取ればパステルパープルのシールドブーメランが飛んでくる。ブラークの戦術ではうまく対応できなかった。なんとか自分の武器である毛筆を取り出したはいいが、大振りなのでサーベルの細やかな動きに対応しきれない。ブラークは徐々に追い込まれていく。
「ぐぬぬぬ……、このままで終われるのもか! 我は、我はモノトーン三傑ぞ!」
ブラークが叫ぶが、二人の攻撃は緩む事はない。元々強かった二人が、さらに腕を上げていたのだ。ブラークの表情に焦りの色が見え始める。
その時だった。
突如として木炭が降り注ぐ。それに気が付いたパステルパープルは、
「パステル・ヴァニッシング・ブリザード!」
木炭を遠目からすべて凍らせて撃ち落とした。
「グーレイ!」
ブラークの隣にグーレイが降り立つ。
「ふっ。ブラーク、苦戦しているようだな。助太刀致す」
「伝説の戦士どもはどうした?」
突如として現れたグーレイに、ブラークは問い詰める。
「我のところにはパステルピンクとパステルシアンが来たが、モノトーンに任せてきた。ブラークが苦戦している姿が見えたのでな」
「くっ、お前に助けられるのは癪だが、今ばかりは助かるぞ」
グーレイが自分のところにやって来た事に驚いているが、理由を言われて何も言い返せなくなるブラーク。連携を取る事はあっても、さすがに助けられるのはプライドが許さないのか、不本意ながらと言わんばかりの口調で礼を言っていた。
「ブラークとグーレイか……。さすがにあたいたちでも、厳しい感じかしらね」
「ですわね。でも、ここで退くわけには参りませんわ。わたくしたちが負けるような事があれば、あの人たちを止める手立ては無くなりますもの」
「ええ、そうね」
パステルブラウンとパステルパープルに緊張が走る。
「ふっ、これで2対2。お前たちを倒し、その亡骸をダクネース様への手土産としてくれようぞ!」
「甘く見ないで下さらないこと? それに、2対2ではありませんわよ」
「カラ、フルー!」
パステルパープルがちらりと視線を向けると、パステルブラウンが召喚したパペットがひょっこりと姿を現した。
「ふっ、そういう事か。ならば、ブラーク、今のうちだ!」
「おう、そうだなっ! 出会え、モノトーン!」
「モノ、トーンッ!」
グーレイの乱入によって隙が生まれた事で、ブラークは化け物の再召喚に成功したのである。これにはパステルブラウンとパステルパープルはしまったという顔をする。
「ぐははははっ! これで4対3だ。さぁ、再開と行こうではないか!」
さっきまでの焦りが消え、ブラークに勢いが戻る。呼ばれてしまったものは仕方がないので、
「パステルパペット。ちょっと荷が重いかも知れないけど、モノトーンの相手を頼むわよ!」
「カルフルーッ!」
パペットは力を込めると、化け物目がけて突進する。そして、ブラークの呼び出した化け物をその場から遠ざけた。
「さあ、これで完全に2対2ね。決着をつけましょう!」
「ほざけ、小娘がっ!」
お互いにぶつかり合うパステルブラウンとパステルパープルのパステル戦士、ブラーク、グーレイのモノトーン三傑。
ひとまずは1対1でぶつかり合う。
大きな毛筆を振り回すブラークと細やかな動きをするサーベルを持つパステルブラウン。
自由自在な武器である木炭を操るグーレイと大きさ自由な盾を操るパステルパープルという構図である。
「ふっ、盾だけでどうやってこの我と戦うというのだ?」
「そうですわね。ですが、わたくしとて訓練は積んできたのですわ。見て御覧なさいな」
グーレイの挑発にパステルパープルは真正面から突っ込んでいく。
「ふっ、いきなりやけを起こしたか。しょせんは浅はかな子どもよ」
グーレイは木炭のクナイを生み出して、パステルパープルに向けて放つ。しかし、大きくなったパステルパープルの盾はそれらを簡単に防いでしまう。
「さすがに盾と言うべき防御力。しかし、それで前が見えるというのかな?」
グーレイは盾の大きさによる視界不良を指摘する。だが、パステルパープルはそのまま突っ込んできた。これにはグーレイも鼻で笑う始末だった。
前が見えぬものとして、デコイを仕掛けてその場から移動するグーレイ。
「蛮勇は愚かに散るがよいぞ!」
デコイから声を発生させて、自分の位置を誤認させるグーレイ。そして、パステルパープルがデコイに攻撃を仕掛ける瞬間を静かに待った。
(掛かった!)
グーレイがそう思った時だった。
「そこですわね!」
予想だにしない事に、パステルパープルがぐるりと自分の方を向いたではないか。だが、グーレイはまだ余裕ぶっていられた。なぜならパステルパープルには武器はない。武器でない技であるなら、躱す自信があったのだ。なので、パステルパープルへの攻撃を止めようとはしなかった。
だが、そう判断した事で、グーレイは大きな過ちを犯してしまうのだった。
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