マジカル☆パステル

未羊

文字の大きさ
125 / 197

第125話 三傑決戦・その8

しおりを挟む
「モノ、トーンッ!!」
 化け物は早速現れたばかりのパステルピンクへと攻撃を放つ。
「へっ、止まって見えるぜ!」
 パステルオレンジの頬を切った葉っぱ飛ばしだが、パステルピンクは冷静に打ち落としていた。今はまだパステルブラシなので当たり判定が大きいのもあるが、あのスピードを叩き落とすとは、パステルオレンジは驚いていた。
「お前の攻撃は、パッティングセンターの130キロよりも遅い!」
 なんかよく分からない事をほざくパステルピンク。バッティングセンターとか行ってたのだろうか?
「モノォッ!!」
 その言葉にどういうわけか逆上する化け物。よく分からないが、挑発に乗ったようである。そして、二撃目を放つ。
 だが、それは今度は化け物を貫いた。
「モ、ノォ……ッ?!」
 その攻撃を食らったのはパステルシアンだった。常に張っていた攻撃反射が発動したのである。化け物にとっては不意打ちだったようで、ものの見事に自分の攻撃の威力で自分に風穴を開けてしまったのだった。
 化け物は何が起きたのか分からないといった感じで、ふらつきながらその場に倒れてしまった。
「モノ、モノォッ!?」
 もう一体の化け物が、その状況に慌てている。そして、どかどかと走ってパステルピンクたちに襲い掛かってきた。
「パステルシアン、大丈夫か?」
「ごめん、相殺しきれなかったみたい……」
 化け物が襲い来る中、パステルピンクはパステルシアンを心配する。よく見ると太ももに傷を負っていた。それほど大きな怪我ではないが、四回分の攻撃を跳ね返す状態だったパステルシアンの防御を貫通してきたのである。四回分のダメージを跳ね返してこれである。その光景にパステルピンクはぞっとした。
「モノォッ!」
「あら、あんたの相手はあたしよ!」
 二人に襲い掛かる化け物に、パステルオレンジが鞭を振り回して攻撃を加える。不規則な鞭の動きに、化け物は動きを止めて防御する。うまく気を引けたようである。
「パステルピンク、パステルシアン、もう一体の相手を頼むわ!」
 パステルオレンジは二人に叫んで指示を出す。
「おう、任せろってんだ!」
「ええ、頑張るわよ」
 パステルシアンは足にダメージがあるが、パステルピンクと共に吹き飛んだ化け物へと向かっていった。
「モモ、モモモ、モノトーンッ!」
 パステルオレンジと対峙する化け物はその身を震わせている。相棒が思わぬ攻撃を食らった事で、怒っているらしいのだ。シイロの化け物には仲間意識があるようである。実に意外な事だった。パステルシアンの反射を食らわなかった方の化け物は、怒りを持ってパステルオレンジを睨んでいる。そのあまりの形相に、パステルオレンジの体に力が入った。
「モ、ノォッ!」
 化け物がパステルオレンジへと攻撃を繰り出す。殺意たっぷりに葉っぱを連続で飛ばしてきたのだ。だが、さすがに二度目ともあればパステルオレンジにも慣れがあった。
「パステルピンクにできて、あたしにできないわけがない!」
 パステルオレンジは鞭を振り回す。すると、高速で飛んでくる葉っぱを、ものの見事に打ち落としていくではないか。さすが食らったさっきとは違い、今のパステルオレンジは落ち着いているしかなり集中している。だからこそ、化け物の攻撃を冷静に見極められたのだ。
「今度はこっちの番よ! オータム・リーフ・フラッド!」
 パステルオレンジが鞭を振るえば、葉っぱの大洪水が起こる。お返しと言わんばかりにいつもより増量した葉っぱの洪水である。
「モノォッ!!!」
 だが、化け物だって負けてはいない。さすがシイロの生み出した化け物とだけあって、二度目ともなれば対処は早かった。
(さすがは元護衛騎士の生み出したモノトーン、二度目は効かないか……)
 何と言うかお互い様である。お互いの攻撃が通じないとなると、直接攻撃しかないとパステルオレンジと化け物は互いに接近戦を挑む。
「はああっ!」
「モノォッ!」
 至近距離では鞭は使いづらいが、パステルオレンジだって肉弾戦は行える。だが、その攻防は化け物の方が上だった。
「ぐっ!」
 しばらく打ち合っていたが、化け物の攻撃がパステルオレンジの腹に入る。その攻撃にパステルオレンジはノックバックしてしまった。
 この隙を化け物が逃すはずもなく、至近距離からの葉っぱ飛ばしを放とうとしている。
「そうはいかないわ!」
 距離が離れて好都合なのはパステルオレンジも同じだった。
「オータム・リーフ・フラッド!」
 化け物が攻撃を放つと同時に、盾のように葉っぱの洪水を渦状に起こした。その葉っぱの渦に化け物の攻撃が放たれる。すると、化け物の攻撃はその葉っぱの渦に吸収されてしまい、パステルオレンジには届かなかった。
「モノォ?!」
 自分の攻撃がかき消されてしまった事に驚いた化け物は、続けざまにもう一発放つが、結果としては同じだった。
 化け物の攻撃は封じ込めに成功したものの、攻撃技を現状持ちえないパステルオレンジは決め手に欠く。パステルオレンジはここからどうやって化け物を倒すというのか。化け物の攻撃を凌ぎながら、パステルオレンジは頭を悩ませるのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

転生先はご近所さん?

フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが… そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。 でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

処理中です...