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第7話 お出迎え
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翌日、ステラはいつもの服装に着替えて、朝の鍛錬を始める。
その動きは実に熟練の冒険者のごとく切れがよい。
「アクアバレット!」
双剣の攻撃の合間に魔法を放つステラ。
どうやらステラは、双剣と魔法を扱う魔法剣士のようだ。
そして、鍛錬を終えると魔法で体をきれいにする。それが終われば朝食となる。
「さて、今日もリューンを鍛えねばなりませんね。私がバナルを去っても大丈夫なように、一人前に育ててあげますからね」
食事を終えたステラは気合いが入っていた。
いつも通りの朝を過ごしたステラは、バナルの冒険者組合に姿を見せていた。
そして、いつものように依頼の掲示板をじっと見つめている。
「……簡単なものしか残っていませんね」
ステラはぼそりと呟いている。
「誰かさんがあらかた片付けちまったからなぁ。簡単なものっていったって、普通の冒険者からすれば厳しいのだってあるんだがよ」
唐突な声に思わず振り向くステラ。そこに立っていたのはミュスクだった。
「うるさいですね。そうはいっても、よそでは本当に簡単な依頼ですよ。この目で見てきているんですから、間違いありません」
「ステラ、本当にあんた何者で何歳なんだよ……」
ステラが反論すると、ミュスクはつい思っていた事を口にしてしまう。
「私はただの冒険者です。それ以上でもそれ以下でもありません。本当にデリカシーの無い方ですね」
ステラはミュスクに顔を近付けて説教をしている。身長差があるので、近付けたとはいってもかなり離れている。それでも威圧感が凄いので、ミュスクは思わず後退っていた。
あまりに成長のないおっさんの態度に、ステラは両手を腰に当てて大きなため息を吐いた。
「それで、リューンは来ていますか?」
「いや、まだだ。家を教えてやるから、迎えに行ったらどうだ?」
「そういう事を軽々に言いますのね。……ですが、教え子の現状を知るのも悪くありません。すぐに教えなさい」
仮面越しからでも睨みつけられたのが分かるくらいの圧がミュスクを襲う。
「分かった。俺が案内するから、ついて来てくれ」
圧に屈したミュスクが、震えながらステラに答えていた。
そうして連れてこられた場所は、バナルの街の中でもずいぶんと外れた場所だった。
街の周囲には柵が設けられているのだが、門と門の真ん中くらいの柵のあたりは整備がかなりいい加減なのである。そのせいもあってか、貧しい人たちはここに押し込めらてしまう。リューンもそんな貧困区画の住民だったのだ。
「ずいぶんと荒れてますね。この柵の高さでは外から丸見えですよ」
「ここらは人が滅多に来ないからな。そのせいでこの有り様さ」
大通りなどはきれいに整備されているというのに、目の前にはずたぼろのあばら屋などが立ち並んでいて、ここら辺一帯だけが取り残されたような感じである。本当に同じ街の中なのかと目を疑うばかりだった。
(知りませんでしたね。この街にこんなところがあっただなんて……)
ショックを隠し切れないステラである。
その後、ミュスクに連れられて1軒のあばら屋を尋ねる。どうやらそこがリューンの家のようだった。
「おう、リューンは居るか?」
ノックも無しにいきなり家の扉を開けるミュスク。
「ちょっと、家に尋ねる時は扉を叩いて合図なさいよ。いきなり開ける人がいらっしゃいますか、ここに居ましたね!」
ツッコミが冴え渡るステラ。
「その声はステラさんですか?」
奥からひょっこり顔を出すリューン。その表情には特に驚いた様子はない。いきなり扉を開けられるなど慣れてしまっているかのようだった。
「おはようございます、リューン。さあ、今日も面倒を見てあげますよ」
「あ、はい。よろしくお願いします」
ステラの呼び掛けに、素直に返事をするリューン。
「むぅ、一体誰なんだ?」
家の奥から男の声が聞こえてくる。
現れたのは、リューンがそのまま大人になったような顔立ちの男性だった。
「お、お父さん……」
「これはリューンのお父上でございますか。私は冒険者のステラと申します。ゆえありまして、リューンの指導をするように承って赴いた次第です」
ステラは実に丁寧に挨拶をする。だが、リューンの父親はステラを見て怒鳴りつける。
「仮面を着けたうさん臭い奴に息子を預けさせられるか。とっとと帰れ!」
「お、お父さんやめて。ステラさんは信用できる人だよ」
必死に止めるリューンだが、子どもが大人の力に敵うわけがない。じりじりとリューンの父親はステラへと迫っていく。
そして、ステラに掴みかかった次の瞬間、突然その父親の動きが拳を振り上げたところで止まった。
「まさか、そんな……な」
小さく呟きながら、リューンの父親は拳を下ろしてステラから手を離す。
「すまない、ちょっとカッとなってしまった。息子の事を頼みます」
すると一転、ステラの事を認める発言をしたのである。
さすがにこれには全員が理解不能だった。急に考えが変わるとは、一体何があったのだろうか。
「ええ、お預かりするからには立派にして差し上げますよ。では、参りましょうか」
よく分からないながらも、ステラはリューンを連れて外へと出て行った。
「あなた、一体どうしたというのよ」
家事で対応が遅れた母親が出てくる。
「俺は、夢でも見てるんだろうかな……」
「どうしたというのよ、あなた」
父親の態度に理解が追いつかない母親。
一体父親は、ステラに何を見たというのだろうか。
その動きは実に熟練の冒険者のごとく切れがよい。
「アクアバレット!」
双剣の攻撃の合間に魔法を放つステラ。
どうやらステラは、双剣と魔法を扱う魔法剣士のようだ。
そして、鍛錬を終えると魔法で体をきれいにする。それが終われば朝食となる。
「さて、今日もリューンを鍛えねばなりませんね。私がバナルを去っても大丈夫なように、一人前に育ててあげますからね」
食事を終えたステラは気合いが入っていた。
いつも通りの朝を過ごしたステラは、バナルの冒険者組合に姿を見せていた。
そして、いつものように依頼の掲示板をじっと見つめている。
「……簡単なものしか残っていませんね」
ステラはぼそりと呟いている。
「誰かさんがあらかた片付けちまったからなぁ。簡単なものっていったって、普通の冒険者からすれば厳しいのだってあるんだがよ」
唐突な声に思わず振り向くステラ。そこに立っていたのはミュスクだった。
「うるさいですね。そうはいっても、よそでは本当に簡単な依頼ですよ。この目で見てきているんですから、間違いありません」
「ステラ、本当にあんた何者で何歳なんだよ……」
ステラが反論すると、ミュスクはつい思っていた事を口にしてしまう。
「私はただの冒険者です。それ以上でもそれ以下でもありません。本当にデリカシーの無い方ですね」
ステラはミュスクに顔を近付けて説教をしている。身長差があるので、近付けたとはいってもかなり離れている。それでも威圧感が凄いので、ミュスクは思わず後退っていた。
あまりに成長のないおっさんの態度に、ステラは両手を腰に当てて大きなため息を吐いた。
「それで、リューンは来ていますか?」
「いや、まだだ。家を教えてやるから、迎えに行ったらどうだ?」
「そういう事を軽々に言いますのね。……ですが、教え子の現状を知るのも悪くありません。すぐに教えなさい」
仮面越しからでも睨みつけられたのが分かるくらいの圧がミュスクを襲う。
「分かった。俺が案内するから、ついて来てくれ」
圧に屈したミュスクが、震えながらステラに答えていた。
そうして連れてこられた場所は、バナルの街の中でもずいぶんと外れた場所だった。
街の周囲には柵が設けられているのだが、門と門の真ん中くらいの柵のあたりは整備がかなりいい加減なのである。そのせいもあってか、貧しい人たちはここに押し込めらてしまう。リューンもそんな貧困区画の住民だったのだ。
「ずいぶんと荒れてますね。この柵の高さでは外から丸見えですよ」
「ここらは人が滅多に来ないからな。そのせいでこの有り様さ」
大通りなどはきれいに整備されているというのに、目の前にはずたぼろのあばら屋などが立ち並んでいて、ここら辺一帯だけが取り残されたような感じである。本当に同じ街の中なのかと目を疑うばかりだった。
(知りませんでしたね。この街にこんなところがあっただなんて……)
ショックを隠し切れないステラである。
その後、ミュスクに連れられて1軒のあばら屋を尋ねる。どうやらそこがリューンの家のようだった。
「おう、リューンは居るか?」
ノックも無しにいきなり家の扉を開けるミュスク。
「ちょっと、家に尋ねる時は扉を叩いて合図なさいよ。いきなり開ける人がいらっしゃいますか、ここに居ましたね!」
ツッコミが冴え渡るステラ。
「その声はステラさんですか?」
奥からひょっこり顔を出すリューン。その表情には特に驚いた様子はない。いきなり扉を開けられるなど慣れてしまっているかのようだった。
「おはようございます、リューン。さあ、今日も面倒を見てあげますよ」
「あ、はい。よろしくお願いします」
ステラの呼び掛けに、素直に返事をするリューン。
「むぅ、一体誰なんだ?」
家の奥から男の声が聞こえてくる。
現れたのは、リューンがそのまま大人になったような顔立ちの男性だった。
「お、お父さん……」
「これはリューンのお父上でございますか。私は冒険者のステラと申します。ゆえありまして、リューンの指導をするように承って赴いた次第です」
ステラは実に丁寧に挨拶をする。だが、リューンの父親はステラを見て怒鳴りつける。
「仮面を着けたうさん臭い奴に息子を預けさせられるか。とっとと帰れ!」
「お、お父さんやめて。ステラさんは信用できる人だよ」
必死に止めるリューンだが、子どもが大人の力に敵うわけがない。じりじりとリューンの父親はステラへと迫っていく。
そして、ステラに掴みかかった次の瞬間、突然その父親の動きが拳を振り上げたところで止まった。
「まさか、そんな……な」
小さく呟きながら、リューンの父親は拳を下ろしてステラから手を離す。
「すまない、ちょっとカッとなってしまった。息子の事を頼みます」
すると一転、ステラの事を認める発言をしたのである。
さすがにこれには全員が理解不能だった。急に考えが変わるとは、一体何があったのだろうか。
「ええ、お預かりするからには立派にして差し上げますよ。では、参りましょうか」
よく分からないながらも、ステラはリューンを連れて外へと出て行った。
「あなた、一体どうしたというのよ」
家事で対応が遅れた母親が出てくる。
「俺は、夢でも見てるんだろうかな……」
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父親の態度に理解が追いつかない母親。
一体父親は、ステラに何を見たというのだろうか。
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