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第53話 古の先祖グラン
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目の前のどこかぼやけた存在の老人は、ステラたちとしっかり意思疎通をしている。そこに居ないはずなのに、どうしてこのような事ができるのか。ステラたちの理解はとてもではないが追いつかなかった。
『ふむ、よく分からぬという顔をしておるな。じゃが、今もエルミタージュ大陸を支えておるのは、わしらが生み出した技術たちじゃからのう。ふぉっふぉっふぉ……』
自慢げに笑う老人である。
笑い終わったかと思いきや、じっとステラたちの方を見ている。
『わしはここに居ながらにして、エルミタージュのすべてを見てきた。まさか、わしの子孫がこのような事になるとはな……』
「子孫?」
老人が喋った単語に、つい反応するステラである。
『エルミタージュの血筋は、わしの子孫ぞ。騎士団たちの中にもその血は受け継がれているのう』
顎を触りながら話す老人。いろいろとよく分からない話ばかりで、ステラとリューンはどう反応していいのか分からなかった。
『おお、そうじゃ。自己紹介がまだじゃったな。わしの名前はグラン・エルミタージュ。エルミタージュ王家の中でも、特に魔道具に秀でた王族ぞ』
「ご、ご先祖様?!」
出てきた名前に思わず驚いてしまうステラである。
その驚く顔に、つい満足げに笑ってしまうグランである。
『そう構えるでないぞ。子孫が気になるあまりに、魔道具に意識を移して暇を持て余すだけの、ただの隠居じじいなのじゃからな』
にかっと白い歯と歯茎を見せるグランである。
あまりに気さくな態度を取るグランに、ようやくステラとリューンは落ち着いてきたようだった。
「それにしても、ここは一体どこだというのでしょうか。今は遺跡という風に言われておりますが」
『ふむ、今はそのような扱いか。まあ間違ってはおらぬな。お前さんたちが先日訪れた、今はヌフ遺跡と呼ばれた場所に住んでおった魔道具師たちの墓場じゃからな、ここは』
「ええ?!」
グランが話した内容に、思わず大声を上げてしまう二人である。
『ここは、その中でも特に優れた魔道具師たちが眠っておる。今も活動できておるのは、中でも天才と呼ばれたわしくらいじゃよ、わっはっはっ』
説明に驚きたいステラたちだが、大笑いをするグランに思わず表情が固まってしまう。どう反応したらいいのだろうか。
ステラたちが困っていると、グランの表情がすっと真面目に変わった。
『ひとまず冗談はこれくらいにしておこう。真面目な話に移るぞ』
立体映像だというのに、咳払いまでしてみせている。昔の魔道具師というのはとんでもない技術の持ち主のようだ。
『まず、ステラリアたちがこっちに来た目的は把握している。魔物の生息地の変化だが、おおよそ予想している通りだ』
「やはりですか……」
グランの言葉に、ステラは険しい表情をする。
『最近はわしらの残した遺産がどんどんと発見されていく。その調査にあたって魔物を排除する動きが出ておるからな』
「やはり、そうやって住処を追われた魔物が、周辺へと移動していっているわけですか……」
『そういうことだな。とはいえ、やめさせたとしても、すぐには戻るまい』
「となると、魔物を封じつつ、冒険者の方のレベルを上げるしかないですね」
ステラは頭が実に痛そうだった。
「しかし、どうして今まで隠されていた遺跡が、急に発見され始めたのでしょうか」
そんな中、リューンがグランに質問をしていた。
確かにそれは気になるところである。
『それはわしにも分からんところだ。この設備はエルミタージュの血筋を持つ者しか見つける事はできぬからな』
グランも首を捻るばかりだった。
しかし、その言い分にはステラは納得するばかりだった。
「でも、さすがにここまではやって来れていないようですね」
『うむ、ここには最高レベルの結界を施してあるからな。わしらの最高傑作をよそ者に荒らされるわけにはいかぬ』
ステラの言葉に、グランは胸を張っていた。
確かにその通りだ。肝心の部分にはステラの魔力だとか顔だとかが必要だったのだから。つまり、遺跡を発見できても、エルミタージュの関係者でなければその核心には迫れないというわけである。
「なるほど、それで師匠もここには入れなかったのですね」
『師匠? ああ、外に居たエルフか。確かに大陸外から来た人物だからのう』
ステラが納得したように話すと、グランは少し間をおいて反応していた。
「それで、あの外のトカゲは何なんでしょうか。私も最初は襲われましたけれど」
『ああ、あのトカゲはわしらが生きていた頃から飼っておった連中じゃよ。ここを守ることと、エルミタージュの関係者だけを通すこと、この2点だけを忠実に守っているのじゃよ。ステラリアの事が分からなかったのは、偽装された容姿のためにうまく感知できんかったのだな』
「むぅ、あの変装魔法のせいですか……」
自分の髪をいじりながら、ステラは不満げな顔をしている。なにせあの変装魔法は、自分の身を守るために使っていたのだから。それがあだとなれば、それはもう不満しかないわけである。
『それでは、質問の類はこのくらいにしておこうか』
グランは両手を打ち合わせると、いよいよ本題に入るようだった。
グランはこれから何を語るというのだろうか。ステラの体に、自然と力が入ったのだった。
『ふむ、よく分からぬという顔をしておるな。じゃが、今もエルミタージュ大陸を支えておるのは、わしらが生み出した技術たちじゃからのう。ふぉっふぉっふぉ……』
自慢げに笑う老人である。
笑い終わったかと思いきや、じっとステラたちの方を見ている。
『わしはここに居ながらにして、エルミタージュのすべてを見てきた。まさか、わしの子孫がこのような事になるとはな……』
「子孫?」
老人が喋った単語に、つい反応するステラである。
『エルミタージュの血筋は、わしの子孫ぞ。騎士団たちの中にもその血は受け継がれているのう』
顎を触りながら話す老人。いろいろとよく分からない話ばかりで、ステラとリューンはどう反応していいのか分からなかった。
『おお、そうじゃ。自己紹介がまだじゃったな。わしの名前はグラン・エルミタージュ。エルミタージュ王家の中でも、特に魔道具に秀でた王族ぞ』
「ご、ご先祖様?!」
出てきた名前に思わず驚いてしまうステラである。
その驚く顔に、つい満足げに笑ってしまうグランである。
『そう構えるでないぞ。子孫が気になるあまりに、魔道具に意識を移して暇を持て余すだけの、ただの隠居じじいなのじゃからな』
にかっと白い歯と歯茎を見せるグランである。
あまりに気さくな態度を取るグランに、ようやくステラとリューンは落ち着いてきたようだった。
「それにしても、ここは一体どこだというのでしょうか。今は遺跡という風に言われておりますが」
『ふむ、今はそのような扱いか。まあ間違ってはおらぬな。お前さんたちが先日訪れた、今はヌフ遺跡と呼ばれた場所に住んでおった魔道具師たちの墓場じゃからな、ここは』
「ええ?!」
グランが話した内容に、思わず大声を上げてしまう二人である。
『ここは、その中でも特に優れた魔道具師たちが眠っておる。今も活動できておるのは、中でも天才と呼ばれたわしくらいじゃよ、わっはっはっ』
説明に驚きたいステラたちだが、大笑いをするグランに思わず表情が固まってしまう。どう反応したらいいのだろうか。
ステラたちが困っていると、グランの表情がすっと真面目に変わった。
『ひとまず冗談はこれくらいにしておこう。真面目な話に移るぞ』
立体映像だというのに、咳払いまでしてみせている。昔の魔道具師というのはとんでもない技術の持ち主のようだ。
『まず、ステラリアたちがこっちに来た目的は把握している。魔物の生息地の変化だが、おおよそ予想している通りだ』
「やはりですか……」
グランの言葉に、ステラは険しい表情をする。
『最近はわしらの残した遺産がどんどんと発見されていく。その調査にあたって魔物を排除する動きが出ておるからな』
「やはり、そうやって住処を追われた魔物が、周辺へと移動していっているわけですか……」
『そういうことだな。とはいえ、やめさせたとしても、すぐには戻るまい』
「となると、魔物を封じつつ、冒険者の方のレベルを上げるしかないですね」
ステラは頭が実に痛そうだった。
「しかし、どうして今まで隠されていた遺跡が、急に発見され始めたのでしょうか」
そんな中、リューンがグランに質問をしていた。
確かにそれは気になるところである。
『それはわしにも分からんところだ。この設備はエルミタージュの血筋を持つ者しか見つける事はできぬからな』
グランも首を捻るばかりだった。
しかし、その言い分にはステラは納得するばかりだった。
「でも、さすがにここまではやって来れていないようですね」
『うむ、ここには最高レベルの結界を施してあるからな。わしらの最高傑作をよそ者に荒らされるわけにはいかぬ』
ステラの言葉に、グランは胸を張っていた。
確かにその通りだ。肝心の部分にはステラの魔力だとか顔だとかが必要だったのだから。つまり、遺跡を発見できても、エルミタージュの関係者でなければその核心には迫れないというわけである。
「なるほど、それで師匠もここには入れなかったのですね」
『師匠? ああ、外に居たエルフか。確かに大陸外から来た人物だからのう』
ステラが納得したように話すと、グランは少し間をおいて反応していた。
「それで、あの外のトカゲは何なんでしょうか。私も最初は襲われましたけれど」
『ああ、あのトカゲはわしらが生きていた頃から飼っておった連中じゃよ。ここを守ることと、エルミタージュの関係者だけを通すこと、この2点だけを忠実に守っているのじゃよ。ステラリアの事が分からなかったのは、偽装された容姿のためにうまく感知できんかったのだな』
「むぅ、あの変装魔法のせいですか……」
自分の髪をいじりながら、ステラは不満げな顔をしている。なにせあの変装魔法は、自分の身を守るために使っていたのだから。それがあだとなれば、それはもう不満しかないわけである。
『それでは、質問の類はこのくらいにしておこうか』
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