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第二章 外側の世界
第387話 転生者、急な知らせに急ぐ
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修練を終えた俺たちは、ハミングウェイ伯爵に挨拶をすると、一度魔王領へと戻っていく。ネラールを迎え入れないといけないからな。
挨拶をした時に、何か変わったなというようなことを言われたので、分かる人には分かる変化があったらしい。
宿場町に寄った時だって、町長たちからはそれぞれ声をかけられたからな。町長クラスの魔族だと分かるんだな。側近で分からなかったのは二番目の宿場町のモリーくらいだったしな。さすが魔族だな。
魔王城に戻ると、バフォメットが忙しいながらも出迎えてくれた。
「バフォメット、どうしたんだ。お前が自らで迎えるっていうのもそうないことのはずだが?」
「はい、ちょっと気になる報告がございましたので、わたくしめが直接伝えに来たのでございます」
「気になること?」
ひとまず俺の部屋に戻りながら、バフォメットからの報告を聞く。
「魔王領の南西の湿地帯で、謎の不審死だって?」
バフォメットからすると、二番目の宿場町の湿地帯とは別に存在す小さな湿地帯で、不審な死を迎える半魚人族たちがいたのだという。
共通の事項としては、湿地帯に入ったところ急に苦しみだしてそのままだったらしい。
……これはまさかなとは思うが、考えられる原因はひとつしかありえなかった。
俺はバフォメットからさらに詳細を聞き出すと、すぐさまデイジーだけを連れてセイ太で移動することにした。
城から飛び出した俺たちは、現場に向かいながら話をしている。
「お姉様、まさかとは思うのですが……」
「ああ、考えられる原因なんてひとつしかねえ」
「あの時の毒が、じわじわとしみ込んでたなんて思ってもみませんでしたよ」
そう、俺たちが思い浮かべる原因はただ一つ。
ヘルプワゾンの毒だ。
俺たちのとの戦いの中で、あいつは周辺を毒のオーラで満たしていた。
戦いの後にはきれいさっぱりに消えてしまっていたので気にも留めていなかったが、一部が海流に乗って海中から中に侵入していたらしい。
まだ現場を見てないとはいえ、推測するのは容易だった。
なぜなら二番目の宿場町につながる湿地帯も、外の世界とはつながっているからだ。間に東方帝国の湖が挟まっているとはいえ、俺自身が外の世界とのつながりを体験しているからな。
そちらの方も確認しておかないとはいけないが、海流から察するに、ヘルプワゾンと戦った場所の毒のオーラは到達していないはず。そっちはレーヴェンの樹を植えてガードしてあったしな。
だが、まだ対策が不十分だった南側の海中からつながっていたとすると、今回の事態は想像に難くない。
そのことに気が付いた俺は、ぎりっと歯を食いしばるしかなかった。
南西の湿地帯に到着する。
そこには陸に戻れた半魚人たちの埋葬が行われていた。
俺が姿を見せると、不安を口々にぶつけてくる。
「大丈夫だ。すぐに対策をする」
「お、お願いします……」
俺は涙を流す半魚人たちに、そう声をかけることしかできなかった。
問題の湿地帯に近付くと、より強く毒の魔力を感じられる。
はっきりと確信した。
俺たちと戦ったヘルプワゾンの毒が、海中から内部へと侵入したのだと。
「デイジー!」
「はい、お任せ下さい」
俺が悔しさのあまり大声で呼ぶと、デイジーがすぐさまやって来る。ほとりに立つと間髪入れずに浄化の魔法を使い始める。
「蝕みし存在を、清めたまえ! アンチドート!」
デイジーも原因を把握していたようだ。迷いなく解毒の魔法を使っている。
ほんのりと緑色に染まっていた湿地帯が、きれいな青色を取り戻していく。
ところが、起きた奇跡はこれだけではなかった。
ボコッ!
地面から何かが飛び出す音が響き渡る。
「ひっ!」
よく見てみると、地面から腕が飛び出している。
なんというホラー映画のワンシーンだよ。実際に見るなんて思ってもみなかったぞ。
「ふぅ……。なんで地面の中にいるんだ、俺は」
なんと、ヘルプワゾンの毒に侵されて死んだと思っていた連中が復活したのである。……マジかよ。
土の中からだけではない。湖の中からも次々と半魚人たちが飛び出してくる。
「……苦しくない」
「私たちは助かったの?」
信じられないことだが、毒で死んだはず半魚人たちが生き返ったのだ。
「えっと、これは……?」
魔法を使ったデイジー本人が一番驚いている。
「なるほど、これはオルドルのところで行った修練の結果ですね。デイジーの魔力が、毒によって止まってしまった半魚人たちの生命活動を復活させたようです」
「ええっ、そんなことあるんですか……?」
セイ太が冷静に分析しているが、とてもじゃないが信じられるわけがなかった。
デイジーと俺は驚きでつい顔を見合わせてしまう。
だが、そこに半魚人たちが押し寄せてきた。
「毒で死んだ連中を生き返らせてくれるなんて、あんたは女神だ」
「素晴らしいですぞ。小さな女神に感謝だ」
「あ、え、その……」
半魚人たちにあっという間に祭り上げられてしまい、しばらく大騒ぎである。
助けを求めてくるデイジーだが、これだけの半魚人相手ではちょっと対応しきれなかった。
それにしても、ただの解毒魔法なはずなのにこんな結果になるとはな。
オルドルによる修練、おそるべしだぜ。
挨拶をした時に、何か変わったなというようなことを言われたので、分かる人には分かる変化があったらしい。
宿場町に寄った時だって、町長たちからはそれぞれ声をかけられたからな。町長クラスの魔族だと分かるんだな。側近で分からなかったのは二番目の宿場町のモリーくらいだったしな。さすが魔族だな。
魔王城に戻ると、バフォメットが忙しいながらも出迎えてくれた。
「バフォメット、どうしたんだ。お前が自らで迎えるっていうのもそうないことのはずだが?」
「はい、ちょっと気になる報告がございましたので、わたくしめが直接伝えに来たのでございます」
「気になること?」
ひとまず俺の部屋に戻りながら、バフォメットからの報告を聞く。
「魔王領の南西の湿地帯で、謎の不審死だって?」
バフォメットからすると、二番目の宿場町の湿地帯とは別に存在す小さな湿地帯で、不審な死を迎える半魚人族たちがいたのだという。
共通の事項としては、湿地帯に入ったところ急に苦しみだしてそのままだったらしい。
……これはまさかなとは思うが、考えられる原因はひとつしかありえなかった。
俺はバフォメットからさらに詳細を聞き出すと、すぐさまデイジーだけを連れてセイ太で移動することにした。
城から飛び出した俺たちは、現場に向かいながら話をしている。
「お姉様、まさかとは思うのですが……」
「ああ、考えられる原因なんてひとつしかねえ」
「あの時の毒が、じわじわとしみ込んでたなんて思ってもみませんでしたよ」
そう、俺たちが思い浮かべる原因はただ一つ。
ヘルプワゾンの毒だ。
俺たちのとの戦いの中で、あいつは周辺を毒のオーラで満たしていた。
戦いの後にはきれいさっぱりに消えてしまっていたので気にも留めていなかったが、一部が海流に乗って海中から中に侵入していたらしい。
まだ現場を見てないとはいえ、推測するのは容易だった。
なぜなら二番目の宿場町につながる湿地帯も、外の世界とはつながっているからだ。間に東方帝国の湖が挟まっているとはいえ、俺自身が外の世界とのつながりを体験しているからな。
そちらの方も確認しておかないとはいけないが、海流から察するに、ヘルプワゾンと戦った場所の毒のオーラは到達していないはず。そっちはレーヴェンの樹を植えてガードしてあったしな。
だが、まだ対策が不十分だった南側の海中からつながっていたとすると、今回の事態は想像に難くない。
そのことに気が付いた俺は、ぎりっと歯を食いしばるしかなかった。
南西の湿地帯に到着する。
そこには陸に戻れた半魚人たちの埋葬が行われていた。
俺が姿を見せると、不安を口々にぶつけてくる。
「大丈夫だ。すぐに対策をする」
「お、お願いします……」
俺は涙を流す半魚人たちに、そう声をかけることしかできなかった。
問題の湿地帯に近付くと、より強く毒の魔力を感じられる。
はっきりと確信した。
俺たちと戦ったヘルプワゾンの毒が、海中から内部へと侵入したのだと。
「デイジー!」
「はい、お任せ下さい」
俺が悔しさのあまり大声で呼ぶと、デイジーがすぐさまやって来る。ほとりに立つと間髪入れずに浄化の魔法を使い始める。
「蝕みし存在を、清めたまえ! アンチドート!」
デイジーも原因を把握していたようだ。迷いなく解毒の魔法を使っている。
ほんのりと緑色に染まっていた湿地帯が、きれいな青色を取り戻していく。
ところが、起きた奇跡はこれだけではなかった。
ボコッ!
地面から何かが飛び出す音が響き渡る。
「ひっ!」
よく見てみると、地面から腕が飛び出している。
なんというホラー映画のワンシーンだよ。実際に見るなんて思ってもみなかったぞ。
「ふぅ……。なんで地面の中にいるんだ、俺は」
なんと、ヘルプワゾンの毒に侵されて死んだと思っていた連中が復活したのである。……マジかよ。
土の中からだけではない。湖の中からも次々と半魚人たちが飛び出してくる。
「……苦しくない」
「私たちは助かったの?」
信じられないことだが、毒で死んだはず半魚人たちが生き返ったのだ。
「えっと、これは……?」
魔法を使ったデイジー本人が一番驚いている。
「なるほど、これはオルドルのところで行った修練の結果ですね。デイジーの魔力が、毒によって止まってしまった半魚人たちの生命活動を復活させたようです」
「ええっ、そんなことあるんですか……?」
セイ太が冷静に分析しているが、とてもじゃないが信じられるわけがなかった。
デイジーと俺は驚きでつい顔を見合わせてしまう。
だが、そこに半魚人たちが押し寄せてきた。
「毒で死んだ連中を生き返らせてくれるなんて、あんたは女神だ」
「素晴らしいですぞ。小さな女神に感謝だ」
「あ、え、その……」
半魚人たちにあっという間に祭り上げられてしまい、しばらく大騒ぎである。
助けを求めてくるデイジーだが、これだけの半魚人相手ではちょっと対応しきれなかった。
それにしても、ただの解毒魔法なはずなのにこんな結果になるとはな。
オルドルによる修練、おそるべしだぜ。
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