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第二章 外側の世界
第396話 転生者、決死の一撃
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場外乱闘が起きているとも知らず、俺はヘルプワゾンとの戦いを続けていた。
互いに使えるのは片腕の実だ。それに両足や魔法なども駆使して、どうにかパワーアップしたヘルプワゾンの攻撃を凌いでいる。
「やはりお前は我を楽しませてくれる」
「そいつはどうも。俺はお前となんかもう顔も合わせたくないんだがな」
「ふん、敵対している以上、どこかで決着はつけねばならぬ。そうすれば顔を合わせることもなくなるのだ。我が死ぬか、お前が死ぬか。会いたくなければどちらかを選ぶんだな!」
ヘルプワゾンの拳が、力強く振り下ろされる。
それはそいつを神聖魔力のこもった腕で受け流し、左足で蹴りを入れる。
……浅い。
俺の蹴りはわき腹に勢いよく当たっただけだった。
ヘルプワゾンがいまいち決まらなかった攻撃を見逃すわけがない。左腕を伸ばして俺の足をつかもうとする。
「そうはいくかってんだ!」
「ぬおっ!」
魔力を爆発させて、俺はどうにかヘルプワゾンから離脱する。
つかまれていたら一巻の終わりだっただろう。俺の消耗は激しかった。
「足でも魔法を使うとは、なかなか器用なことをする。このまま戦い続ければ、どのような戦い方をするのか……。興味が俄然湧いてきたな」
俺を舐め回すように、ヘルプワゾンは視線を向けてくる。今までで最高に気持ち悪いぜ。
(くそっ、全然ダメージ通る気配がしないぜ。俺の息は上がってきているっていうのに、あいつはまったく乱れた様子もない。文字通りの化け物かよ……)
ヘルプワゾンの張り巡らせた結界のせいで、ピエラたちの援護が期待できない。外の様子も分からない。こんな戦いがいつまで続くというのだろうか。
魔力の効率化ができるようになったとはいえ、根本的な実力の差がどうしても埋められなかったってわけだ。
「どうした。動きが止まっているぞ」
「ぐっ……!」
ヘルプワゾンの指摘に俺は険しい顔をすることしかできなかった。
決め手を欠いているのだ。どうすべきか考え込んでしまっていたってわけだ。
「そちらこら来ないというのであれば……、我から行かせてもらおう。ぶるぁあああああっ!!」
ヘルプワゾンが地面を蹴って一気に距離を詰めてくる。
さっき魔法で離脱して確保した距離などまったく無意味なくらいだった。
「くそっ、相変わらず速えな!」
「獲物を逃さぬためだからな。さあ、捕まりたくなくば抵抗するのだな!」
ヘルプワゾンはもう目の前に来ている。
こうなればヒットアンドアウェイを諦めて、打ち合いに出るしかもう方法は残っていなかった。
「くそう、やってやるぜ!」
「さあこい、犬っころが!」
俺とヘルプワゾンは、再び本気で拳をぶつけ合う肉弾戦を始める。
やはりスピードもパワーも向こうが上だ。俺はそこに魔法を絡めて応戦することくらいしかできなかった。
だが、ヘルプワゾンの表情はとても楽しそうだ。本気で叩き合える相手をずっと探してたってことなのだろう。どこまでいっても戦いが好きなやつということだ。
打ち合いをする中、俺は奴の攻撃を躱して、背後に回る。すると、当然ながらあの攻撃が飛んでくる。
「我の背後に、立つんじゃ、ぬぅえええええっ!」
背面取りは許さないという、振り向きざまのアッパーカットだ。
残念だが、この攻撃を利用させてもらうぜ。
彼は軽い身のこなしで、アッパーの拳の上に乗っかり、空高く打ち上げられる。
だが、空にも奴の毒の結界が張り巡らされている。このままなら毒を食らって俺は一巻の終わりだろう。
「それっ!」
俺は結界に向けて何かを投げつける。
結界にそれが触れた瞬間に、バチバチッという音がして光があふれる。
投げつけたのはレーヴェンの樹の種だ。結界に触れた瞬間、そこでふたつの力がぶつかり合ったのだ。
レーヴェンの樹の種はそこで留まり、小さいながらにも足場ができた。
俺は身をくるくると回転させ、その小さな足場に足を叩きつける。
「はああああっ! くらえ、俺の渾身の一撃!」
レーヴェンの樹の種が放つ神聖魔力の力を体いっぱいに受け、一時的に魔力を高めた状態で、俺はヘルプワゾン目がけて落下していく。
「ふん、何の小細工かは知らぬが……。いいだろう、正面から受けきってくれるわ!」
ヘルプワゾンには、基本的に逃げの姿勢はないらしい。
そういえば、こいつが自分から撤退していったのは見た記憶がない。魔法で吹き飛ばしてやったからな。
だが、奴はどっしりと構えて、俺の攻撃を受け止める気満々だ。
俺の覚悟と、奴の度胸。どっちが勝つかという勝負のようだな。
俺はもう一度体中に神聖魔力をまとわせていく。
「この一撃で、決めてやる!」
「さあ、来い。受け止めて粉みじんに砕いてくれる!」
互いの意地を乗せた一撃を放つため、俺もヘルプワゾンもしっかりと攻撃の構えを取る。
この一撃に、俺のすべてを乗せてやる。
「だりゃあああっ!!」
「返り討ちにしてくれる。ぶるぁあああっ!!」
放たれた拳がぶつかり合う。
その時、すべての時が止まったような気がした。
互いに使えるのは片腕の実だ。それに両足や魔法なども駆使して、どうにかパワーアップしたヘルプワゾンの攻撃を凌いでいる。
「やはりお前は我を楽しませてくれる」
「そいつはどうも。俺はお前となんかもう顔も合わせたくないんだがな」
「ふん、敵対している以上、どこかで決着はつけねばならぬ。そうすれば顔を合わせることもなくなるのだ。我が死ぬか、お前が死ぬか。会いたくなければどちらかを選ぶんだな!」
ヘルプワゾンの拳が、力強く振り下ろされる。
それはそいつを神聖魔力のこもった腕で受け流し、左足で蹴りを入れる。
……浅い。
俺の蹴りはわき腹に勢いよく当たっただけだった。
ヘルプワゾンがいまいち決まらなかった攻撃を見逃すわけがない。左腕を伸ばして俺の足をつかもうとする。
「そうはいくかってんだ!」
「ぬおっ!」
魔力を爆発させて、俺はどうにかヘルプワゾンから離脱する。
つかまれていたら一巻の終わりだっただろう。俺の消耗は激しかった。
「足でも魔法を使うとは、なかなか器用なことをする。このまま戦い続ければ、どのような戦い方をするのか……。興味が俄然湧いてきたな」
俺を舐め回すように、ヘルプワゾンは視線を向けてくる。今までで最高に気持ち悪いぜ。
(くそっ、全然ダメージ通る気配がしないぜ。俺の息は上がってきているっていうのに、あいつはまったく乱れた様子もない。文字通りの化け物かよ……)
ヘルプワゾンの張り巡らせた結界のせいで、ピエラたちの援護が期待できない。外の様子も分からない。こんな戦いがいつまで続くというのだろうか。
魔力の効率化ができるようになったとはいえ、根本的な実力の差がどうしても埋められなかったってわけだ。
「どうした。動きが止まっているぞ」
「ぐっ……!」
ヘルプワゾンの指摘に俺は険しい顔をすることしかできなかった。
決め手を欠いているのだ。どうすべきか考え込んでしまっていたってわけだ。
「そちらこら来ないというのであれば……、我から行かせてもらおう。ぶるぁあああああっ!!」
ヘルプワゾンが地面を蹴って一気に距離を詰めてくる。
さっき魔法で離脱して確保した距離などまったく無意味なくらいだった。
「くそっ、相変わらず速えな!」
「獲物を逃さぬためだからな。さあ、捕まりたくなくば抵抗するのだな!」
ヘルプワゾンはもう目の前に来ている。
こうなればヒットアンドアウェイを諦めて、打ち合いに出るしかもう方法は残っていなかった。
「くそう、やってやるぜ!」
「さあこい、犬っころが!」
俺とヘルプワゾンは、再び本気で拳をぶつけ合う肉弾戦を始める。
やはりスピードもパワーも向こうが上だ。俺はそこに魔法を絡めて応戦することくらいしかできなかった。
だが、ヘルプワゾンの表情はとても楽しそうだ。本気で叩き合える相手をずっと探してたってことなのだろう。どこまでいっても戦いが好きなやつということだ。
打ち合いをする中、俺は奴の攻撃を躱して、背後に回る。すると、当然ながらあの攻撃が飛んでくる。
「我の背後に、立つんじゃ、ぬぅえええええっ!」
背面取りは許さないという、振り向きざまのアッパーカットだ。
残念だが、この攻撃を利用させてもらうぜ。
彼は軽い身のこなしで、アッパーの拳の上に乗っかり、空高く打ち上げられる。
だが、空にも奴の毒の結界が張り巡らされている。このままなら毒を食らって俺は一巻の終わりだろう。
「それっ!」
俺は結界に向けて何かを投げつける。
結界にそれが触れた瞬間に、バチバチッという音がして光があふれる。
投げつけたのはレーヴェンの樹の種だ。結界に触れた瞬間、そこでふたつの力がぶつかり合ったのだ。
レーヴェンの樹の種はそこで留まり、小さいながらにも足場ができた。
俺は身をくるくると回転させ、その小さな足場に足を叩きつける。
「はああああっ! くらえ、俺の渾身の一撃!」
レーヴェンの樹の種が放つ神聖魔力の力を体いっぱいに受け、一時的に魔力を高めた状態で、俺はヘルプワゾン目がけて落下していく。
「ふん、何の小細工かは知らぬが……。いいだろう、正面から受けきってくれるわ!」
ヘルプワゾンには、基本的に逃げの姿勢はないらしい。
そういえば、こいつが自分から撤退していったのは見た記憶がない。魔法で吹き飛ばしてやったからな。
だが、奴はどっしりと構えて、俺の攻撃を受け止める気満々だ。
俺の覚悟と、奴の度胸。どっちが勝つかという勝負のようだな。
俺はもう一度体中に神聖魔力をまとわせていく。
「この一撃で、決めてやる!」
「さあ、来い。受け止めて粉みじんに砕いてくれる!」
互いの意地を乗せた一撃を放つため、俺もヘルプワゾンもしっかりと攻撃の構えを取る。
この一撃に、俺のすべてを乗せてやる。
「だりゃあああっ!!」
「返り討ちにしてくれる。ぶるぁあああっ!!」
放たれた拳がぶつかり合う。
その時、すべての時が止まったような気がした。
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