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第二章 外側の世界
第423話 転生者、祝勝会を開く
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俺たちが外の世界をこの世界に取り戻してから、約二十日ほどが経過する。
周辺四国と魔王領の主要なメンバーが集まって、外の世界を取り戻した祝勝会が開かれる。
俺はクローゼによって作られた新作のドレスに身を包み、主催として大広間に姿を見せていた。
「本当に魔王様は一段と輝いていらっしゃいますね」
「いやあ、本来なら照れるところなんだろうけどさ。俺は元々が男だけにそういう言葉は逆に恥ずかしいだけなんだよな」
隣に立つ参謀のキリエの言葉に、俺はつい頬をかきながら恥ずかしがってしまう。
獣人の女性となった俺の体型がよく目立つドレスだ。胸元も背中もこれでもかと開いている。
一応体毛のおかげで思ったより恥ずかしさは軽減されているんだが、それでもやっぱり恥ずかしいものは恥ずかしい。
ちなみに今日のキリエは、メイド服でも参謀のキリッとした服装でもなく、俺と同じようにドレスに身を包んでいる。控えめな体型ではあるものの、ドレスがいいせいかキリエの魅力を引き立たせている。さすがはクローゼといったところだぜ。
「まあ、お姉様。お美しいです」
「おう、デイジー。久しぶりだな」
「お久しぶりでございます、セイお姉様」
次期聖王として、巫女服に身を包むデイジーだ。巫女服だとあまり飾りつけはできないので、会場の中では逆に浮いてしまうシンプルな服装だな。
でもまあ、国家の方針としてそういうのなら、それは尊重した方がいいだろう。
「魔王、お久しぶりですね」
「これは聖王様。お久しぶりでございます」
「ふふっ、堅苦しい挨拶はいいですよ。この世界の真の平和を取り戻した英雄に畏まって頂くなど、私とはいえどおこがましいと思いますから」
「いやいや、デイジーの活躍あってこそのことですからね。その国の代表なのですから、敬意を払って当然というものでしょう」
「本当に謙虚ですね、あなたは」
俺と会話をしながら、聖王はくすくすと笑っていた。
何か変なことを言ったかな。
「おう、魔王。久しぶりだな」
「これは皇帝陛下。そちらもお元気そうでなによりです」
「うむ。東方帝国の立て直しはまだ道半ばだ。休んでいる暇などないというものだ」
皇帝は相変わらずのでかい態度である。
そういえば皇帝とデイジーは年が近いな。それなりにお似合いだとは思うが、将来の聖王と皇帝という組み合わせが意外とネックになりそうだな。
「どうかしましたか、魔王」
「ああ、いえ。なんでもないです」
ちらちらと二人を見ていた俺は、聖王に声をかけられて慌てて姿勢を正している。
周りは不思議そうに首を傾げている。
「魔王。陛下とデイジーがお似合いだなんて思ってるんじゃないですかにゃ?」
「おい、エイミー。俺の思考を読むな!」
「やっぱりにゃーっ!」
突然の指摘に俺がつい本音を漏らすと、エイミーが俺に飛び掛かってきた。
が、別に襲い掛かってきたというわけではなく、俺に顔を近付けて何かを言い始めた。
「やっぱりそう思いますかにゃ? いやぁ、年の近さというのはありますがにゃ、片やぐいぐい引っ張っていくタイプ。もう片方は献身的に尽くすタイプにゃ。これはお似合いだと思うのですにゃ」
「おい、お前は何を言っているんだ」
「私は調和の使徒にゃ。私はこの二人からひしひしと調和のエネルギーを感じるのにゃ」
ダメだこいつ。完全に皇帝とデイジーをくっつける気でいやがる。いや、本人たちはどうなんだよ。
俺はそう思って覗き込んでみると、なんともまあ、二人が初々しい反応を示していた。いや、こんなのありか?
「ふふっ、意外とお似合いかもしれませんよ? デイジーはあくまでもまだ候補の一人にすぎませんからね。もしそういうことになるようでしたら……」
聖王が視線をどんどんと動かしていく。そして、とある人物を向いたところで視線が止まった。
「えっ、私?」
驚いているのはセイ太だった。
まあ、セイ太は命の使徒レーヴェンの使徒だ。聖国がトップに据えるには何の問題もない。
「まあ、セイ太だったらいいかな」
「ちょっと、セイ? 私に一国の主になれというのですか?」
「何か問題でもあるのかよ」
セイ太が俺に詰め寄ってくるので、俺は理由を尋ねてみる。
「私は、使徒の使徒です。人間ではありませんから、あまり人間たちとの交流は避けえるべきだと思うんですよ」
「他には?」
「他にはって、私はセイの飼い犬だったんですよ? 今さらご主人様であるセイから引き離されるなんて、耐えられると思いますか?」
なんだかいいわけが駄々っ子じみてきたぞ……。
「何の問題もないじゃないか。聖国と魔王領はこの通り近いんだぞ?」
「ぐぬぅ……」
「それに、聖国の立ち位置からすると、命の使徒レーヴェンの使徒であるお前なら何の問題もないだろう。次の聖王候補が育ったら、王位を譲って引退すればいいんだしな」
「ええ、その通りですよ」
聖王からも退路を塞がれてしまい、セイ太は完全に参っているようだった。
「もう、どうしようもなくなったら引き受けますよう!」
やけになったセイ太は、聖王に即位する案を受け入れたのだった。
こうして、祝勝会は賑やかに始まりを告げたのである。
周辺四国と魔王領の主要なメンバーが集まって、外の世界を取り戻した祝勝会が開かれる。
俺はクローゼによって作られた新作のドレスに身を包み、主催として大広間に姿を見せていた。
「本当に魔王様は一段と輝いていらっしゃいますね」
「いやあ、本来なら照れるところなんだろうけどさ。俺は元々が男だけにそういう言葉は逆に恥ずかしいだけなんだよな」
隣に立つ参謀のキリエの言葉に、俺はつい頬をかきながら恥ずかしがってしまう。
獣人の女性となった俺の体型がよく目立つドレスだ。胸元も背中もこれでもかと開いている。
一応体毛のおかげで思ったより恥ずかしさは軽減されているんだが、それでもやっぱり恥ずかしいものは恥ずかしい。
ちなみに今日のキリエは、メイド服でも参謀のキリッとした服装でもなく、俺と同じようにドレスに身を包んでいる。控えめな体型ではあるものの、ドレスがいいせいかキリエの魅力を引き立たせている。さすがはクローゼといったところだぜ。
「まあ、お姉様。お美しいです」
「おう、デイジー。久しぶりだな」
「お久しぶりでございます、セイお姉様」
次期聖王として、巫女服に身を包むデイジーだ。巫女服だとあまり飾りつけはできないので、会場の中では逆に浮いてしまうシンプルな服装だな。
でもまあ、国家の方針としてそういうのなら、それは尊重した方がいいだろう。
「魔王、お久しぶりですね」
「これは聖王様。お久しぶりでございます」
「ふふっ、堅苦しい挨拶はいいですよ。この世界の真の平和を取り戻した英雄に畏まって頂くなど、私とはいえどおこがましいと思いますから」
「いやいや、デイジーの活躍あってこそのことですからね。その国の代表なのですから、敬意を払って当然というものでしょう」
「本当に謙虚ですね、あなたは」
俺と会話をしながら、聖王はくすくすと笑っていた。
何か変なことを言ったかな。
「おう、魔王。久しぶりだな」
「これは皇帝陛下。そちらもお元気そうでなによりです」
「うむ。東方帝国の立て直しはまだ道半ばだ。休んでいる暇などないというものだ」
皇帝は相変わらずのでかい態度である。
そういえば皇帝とデイジーは年が近いな。それなりにお似合いだとは思うが、将来の聖王と皇帝という組み合わせが意外とネックになりそうだな。
「どうかしましたか、魔王」
「ああ、いえ。なんでもないです」
ちらちらと二人を見ていた俺は、聖王に声をかけられて慌てて姿勢を正している。
周りは不思議そうに首を傾げている。
「魔王。陛下とデイジーがお似合いだなんて思ってるんじゃないですかにゃ?」
「おい、エイミー。俺の思考を読むな!」
「やっぱりにゃーっ!」
突然の指摘に俺がつい本音を漏らすと、エイミーが俺に飛び掛かってきた。
が、別に襲い掛かってきたというわけではなく、俺に顔を近付けて何かを言い始めた。
「やっぱりそう思いますかにゃ? いやぁ、年の近さというのはありますがにゃ、片やぐいぐい引っ張っていくタイプ。もう片方は献身的に尽くすタイプにゃ。これはお似合いだと思うのですにゃ」
「おい、お前は何を言っているんだ」
「私は調和の使徒にゃ。私はこの二人からひしひしと調和のエネルギーを感じるのにゃ」
ダメだこいつ。完全に皇帝とデイジーをくっつける気でいやがる。いや、本人たちはどうなんだよ。
俺はそう思って覗き込んでみると、なんともまあ、二人が初々しい反応を示していた。いや、こんなのありか?
「ふふっ、意外とお似合いかもしれませんよ? デイジーはあくまでもまだ候補の一人にすぎませんからね。もしそういうことになるようでしたら……」
聖王が視線をどんどんと動かしていく。そして、とある人物を向いたところで視線が止まった。
「えっ、私?」
驚いているのはセイ太だった。
まあ、セイ太は命の使徒レーヴェンの使徒だ。聖国がトップに据えるには何の問題もない。
「まあ、セイ太だったらいいかな」
「ちょっと、セイ? 私に一国の主になれというのですか?」
「何か問題でもあるのかよ」
セイ太が俺に詰め寄ってくるので、俺は理由を尋ねてみる。
「私は、使徒の使徒です。人間ではありませんから、あまり人間たちとの交流は避けえるべきだと思うんですよ」
「他には?」
「他にはって、私はセイの飼い犬だったんですよ? 今さらご主人様であるセイから引き離されるなんて、耐えられると思いますか?」
なんだかいいわけが駄々っ子じみてきたぞ……。
「何の問題もないじゃないか。聖国と魔王領はこの通り近いんだぞ?」
「ぐぬぅ……」
「それに、聖国の立ち位置からすると、命の使徒レーヴェンの使徒であるお前なら何の問題もないだろう。次の聖王候補が育ったら、王位を譲って引退すればいいんだしな」
「ええ、その通りですよ」
聖王からも退路を塞がれてしまい、セイ太は完全に参っているようだった。
「もう、どうしようもなくなったら引き受けますよう!」
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こうして、祝勝会は賑やかに始まりを告げたのである。
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