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第一章 大陸編
第84話 転生者、魔王城の秘密の一端を知る
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ドライアドの里から俺たちは無事に魔王城に戻ってくる。
ただ、その時の戻り方が予想もしなかった方法だった。
「あひゃひゃひゃひゃ。まさかこんな戻り方がっ!」
「人間サイズくらいなら余裕で乗せて走れるのですよ、クルクーは」
そう、クルクーの背中に乗って帰ってきたのだ。
そして、クルクーは仲間の後をついて走る習性がある。それを利用して、無事に4組のつがい8羽のクルクーを無事に魔王城まで連れてくる事に成功したのである。
当然ながら、魔王城に着いた時、門番に驚かれたのはいうまでもない。
魔王城の中は広く、一応ひと通りは案内してもらっている。
だが、クルクーを世話するのにどこを割り当てるか、俺は具体的にどこか決めていなかった。はてさて、どうしたものか。
俺が頭を悩ませていると、それに反応したのはカスミだった。
「そういうことでしたら、西の庭園を使いましょうか。同じドライアドであるウネが使っている庭園は北側。場所は魔王城の中でも奥まった場所ですから、外敵からもそんなに攻撃を受ける心配はございません」
淡々と説明を始めるカスミ。
「主要施設は南側に集中しておりますからね。日当たりもいいように一段高い場所にありますから、ドライアドにも過ごしやすいでしょう」
「そういうのなら、そこにしようか。カスミ、彼女たちを連れていってもらえるか?」
「もちろんでございます」
説明をしていたカスミにすべてを任せることにする。
だが、急に一つ疑問が浮かんできた。
「上層階にはどうやって移動するんだ?」
「ふふっ、それもお任せ下さい」
意味ありげな笑みを浮かべるカスミ。わけが分からないので、そのままカスミの後をついて行くことになった。
そうしてカスミに連れてこられた場所は、西の庭園の真下にある部屋だった。
「ここって確か空き部屋だったよな。ここに何があるんだ?」
俺は部屋の中をきょろきょろと見回しながらカスミに尋ねる。
すると、カスミは質問に答えずに部屋の奥へと向かっていく。どうするというのだろうか。
カスミが壁に手を触れると、その場所の壁が突然消えた。どうやら隠し部屋があったようだ。
「こちらです」
カスミが手招きをしてくるので、クルクーやドライアドたちを連れて壁の中へと進んでいく。踏み入った部屋の中には魔法陣が描かれていた。
「これは転送の魔法陣でございます。魔王城のあちこちに秘匿されているものでして、この魔法陣でしか移動できない場所もございます」
カスミが珍しく真面目なメイドモードで話をしている。おそらくドライアドがいるからだろう。
カスミの説明によれば、緊急移動用の転送魔法陣が魔王城のあちこちに隠されているらしい。魔王城に攻め入った時には、魔王のいる場所までほぼ一直線だったからあれこれまったく気が付かなったぜ。
確かに、魔王の執務室もかなり南に寄っていたな。
俺は王国に出向いた時などの事を真剣に思い出す。そうすると、城に入ってから執務室までずいぶん近かったような気がしてきた。
それはまあいいや。それよりも今はこの転送の魔法陣だな。
俺は軽く頭を振って思考を切り替えた。
「魔王様、何をしてらっしゃるのですか」
「いや、なんでもない。続けてくれ」
カスミにジト目を向けられる。まったく、やっぱり俺には容赦ないな。
ついでに大きなため息をついたカスミは、説明へと戻る。
「あたしでも全部を把握しているわけではありません。キリエ姉ならおそらく全部知っているでしょうが、魔王城の機密ですから教えてくれませんよ。前の魔王様もほとんど知りませんでしたから」
しれっと恐ろしい事実を話してくるカスミである。歴代魔王でも把握しきれてないのかよ……。
「説明はこれくらいで終わります。庭園に案内致しますので、魔法陣にお乗り下さい」
カスミが急かしてくるので、俺たちはクルクーをうまく誘導しながら魔法陣にすっぽりと収まる。
そして、カスミが手を前に突き出して魔力を発動させると、一瞬で目の前の風景が変化する。
飛んだ先は屋外だった。まさか、こんな開けた場所に魔法陣があるだなんて思ってもみなかったぜ。
「ここが西の庭園です。先程の魔法陣以外でも来ることはできますが、結構移動が面倒なんですよ」
「なるほどなぁ。具体的には?」
「階段の位置がずれてるんです。防衛上の理由だとは思いますけれど、ここまで来るには階段の昇り降りが結構あるんですよ」
カスミはため息をつきながら事実を話している。
ああ、なるほどな。ゲームなんかであるダンジョンみたいな構造になってるのか。
それで、一番奥の部屋から直接飛べるように、あの魔法陣を設置したってわけか。
「まったく、初代の魔王様は何を考えてこのような構造にされたのか……」
どうやら、古い魔王が作った時のままらしい。
「まあ、それはもういいでしょう。クルクーのための環境を整えませんとね」
カスミは一瞬で気持ちを切り替えていた。さすがはキリエの妹だな。
てきぱきとクルクーとドライアドのために環境を整え始めるカスミ。その際には、クルクーの世話をするドライアドに細かく聞きながら整えていっていた。
ちなみに俺は、その間ずっとクルクーと戯れていた。邪魔にしかならないからな。
そんなこんなで、カスミの手によってあっという間にクルクーを飼うための環境が整えられたのだった。
ただ、その時の戻り方が予想もしなかった方法だった。
「あひゃひゃひゃひゃ。まさかこんな戻り方がっ!」
「人間サイズくらいなら余裕で乗せて走れるのですよ、クルクーは」
そう、クルクーの背中に乗って帰ってきたのだ。
そして、クルクーは仲間の後をついて走る習性がある。それを利用して、無事に4組のつがい8羽のクルクーを無事に魔王城まで連れてくる事に成功したのである。
当然ながら、魔王城に着いた時、門番に驚かれたのはいうまでもない。
魔王城の中は広く、一応ひと通りは案内してもらっている。
だが、クルクーを世話するのにどこを割り当てるか、俺は具体的にどこか決めていなかった。はてさて、どうしたものか。
俺が頭を悩ませていると、それに反応したのはカスミだった。
「そういうことでしたら、西の庭園を使いましょうか。同じドライアドであるウネが使っている庭園は北側。場所は魔王城の中でも奥まった場所ですから、外敵からもそんなに攻撃を受ける心配はございません」
淡々と説明を始めるカスミ。
「主要施設は南側に集中しておりますからね。日当たりもいいように一段高い場所にありますから、ドライアドにも過ごしやすいでしょう」
「そういうのなら、そこにしようか。カスミ、彼女たちを連れていってもらえるか?」
「もちろんでございます」
説明をしていたカスミにすべてを任せることにする。
だが、急に一つ疑問が浮かんできた。
「上層階にはどうやって移動するんだ?」
「ふふっ、それもお任せ下さい」
意味ありげな笑みを浮かべるカスミ。わけが分からないので、そのままカスミの後をついて行くことになった。
そうしてカスミに連れてこられた場所は、西の庭園の真下にある部屋だった。
「ここって確か空き部屋だったよな。ここに何があるんだ?」
俺は部屋の中をきょろきょろと見回しながらカスミに尋ねる。
すると、カスミは質問に答えずに部屋の奥へと向かっていく。どうするというのだろうか。
カスミが壁に手を触れると、その場所の壁が突然消えた。どうやら隠し部屋があったようだ。
「こちらです」
カスミが手招きをしてくるので、クルクーやドライアドたちを連れて壁の中へと進んでいく。踏み入った部屋の中には魔法陣が描かれていた。
「これは転送の魔法陣でございます。魔王城のあちこちに秘匿されているものでして、この魔法陣でしか移動できない場所もございます」
カスミが珍しく真面目なメイドモードで話をしている。おそらくドライアドがいるからだろう。
カスミの説明によれば、緊急移動用の転送魔法陣が魔王城のあちこちに隠されているらしい。魔王城に攻め入った時には、魔王のいる場所までほぼ一直線だったからあれこれまったく気が付かなったぜ。
確かに、魔王の執務室もかなり南に寄っていたな。
俺は王国に出向いた時などの事を真剣に思い出す。そうすると、城に入ってから執務室までずいぶん近かったような気がしてきた。
それはまあいいや。それよりも今はこの転送の魔法陣だな。
俺は軽く頭を振って思考を切り替えた。
「魔王様、何をしてらっしゃるのですか」
「いや、なんでもない。続けてくれ」
カスミにジト目を向けられる。まったく、やっぱり俺には容赦ないな。
ついでに大きなため息をついたカスミは、説明へと戻る。
「あたしでも全部を把握しているわけではありません。キリエ姉ならおそらく全部知っているでしょうが、魔王城の機密ですから教えてくれませんよ。前の魔王様もほとんど知りませんでしたから」
しれっと恐ろしい事実を話してくるカスミである。歴代魔王でも把握しきれてないのかよ……。
「説明はこれくらいで終わります。庭園に案内致しますので、魔法陣にお乗り下さい」
カスミが急かしてくるので、俺たちはクルクーをうまく誘導しながら魔法陣にすっぽりと収まる。
そして、カスミが手を前に突き出して魔力を発動させると、一瞬で目の前の風景が変化する。
飛んだ先は屋外だった。まさか、こんな開けた場所に魔法陣があるだなんて思ってもみなかったぜ。
「ここが西の庭園です。先程の魔法陣以外でも来ることはできますが、結構移動が面倒なんですよ」
「なるほどなぁ。具体的には?」
「階段の位置がずれてるんです。防衛上の理由だとは思いますけれど、ここまで来るには階段の昇り降りが結構あるんですよ」
カスミはため息をつきながら事実を話している。
ああ、なるほどな。ゲームなんかであるダンジョンみたいな構造になってるのか。
それで、一番奥の部屋から直接飛べるように、あの魔法陣を設置したってわけか。
「まったく、初代の魔王様は何を考えてこのような構造にされたのか……」
どうやら、古い魔王が作った時のままらしい。
「まあ、それはもういいでしょう。クルクーのための環境を整えませんとね」
カスミは一瞬で気持ちを切り替えていた。さすがはキリエの妹だな。
てきぱきとクルクーとドライアドのために環境を整え始めるカスミ。その際には、クルクーの世話をするドライアドに細かく聞きながら整えていっていた。
ちなみに俺は、その間ずっとクルクーと戯れていた。邪魔にしかならないからな。
そんなこんなで、カスミの手によってあっという間にクルクーを飼うための環境が整えられたのだった。
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